庚申山、高山

庚申山
高山


【日時】 2009年6月14日(土)〜15日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 14日:曇り一時雨 15日:曇り一時雨

【山域】 足尾山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 庚申山・こうしんざん・1892m・なし・栃木県
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/足尾、男体山/足尾、中禅寺湖、皇海山、袈裟丸山
【コース】 銀山平より周回
【ガイド】 アルペンガイド「奥日光・足尾・西上州」(山と渓谷社)、新分県登山ガイド「栃木県の山」(山と渓谷社)、栃木百名山ガイドブック(下野新聞社)、山と高原地図「赤城・皇海・筑波」(昭文社)
【温泉】 かじか荘 600円

【山域】 日光
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
高山・たかやま・1667.5m・三等三角点・栃木県
【コース】 滝上より千手ヶ浜、小田代原、戦場ヶ原周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/男体山/男体山、中禅寺湖
【ガイド】 分県登山ガイド「栃木県の山」(山と渓谷社)、栃木の山140(随想社)

【時間記録】
6月13日(金) 19:00 新潟=(関越自動車道、北関東自動車道、伊勢崎IC、大間々、R.122 経由)
6月14日(土) =13:00 草木湖  (車中泊)
4;30 草木湖=(R.122 経由)=5:34 銀山平―6:23 一の鳥居―7:34 庚申山荘〜7:40 発―8:27 お山巡り分岐―9:40 庚申山―10:10 お山巡り分岐―11:40 猿田彦神社跡〜12:30 発―13:20 一の鳥居―14:15 銀山平=(R.122、日光、R.120 経由)=17:00 三本松  (車中泊)
6月15日(日) 5:27 滝上―6:34 高山―6:58 熊窪分岐―7:20 湖畔分岐―7:43 千手ヶ浜〜9:34 発―11:08 小田代原入口―11:36 戦場ヶ原分岐―12:36 滝上=(R.120、沼田IC、関越自動車道 経由)=17:00 新潟

 庚申山は、足尾の奥にある岩山で、江戸時代から明治にかけて庚申講登山が盛んに行われた。日本百名山として人気の高い皇海山は、康申山の奥ノ院という位置づけになっている。

 高山は、奥日光の戦場ヶ原と中禅寺湖を分ける山である。奥日光のハイキングコースとして親しまれている。

 2006年6月10日に庚申山から皇海山への周回コースを歩いたが、その時は、コウシンソウの生息地の情報を充分調べておらず、先も急ぐことから花を見損なってしまった。気にかかっており、今回花を目的に出かけることになった。
 金曜日の晩に高速に乗っても、土曜日に日付が変わらないと高速を下りられない。最終パーキングでひと眠りをしてから高速を下りて、草木湖近くで夜を過ごした。
 早朝再び車を走らせ、銀山平の登山口に到着した時は、5時過ぎの早朝であったが、すでに駐車場は六割ほどが埋まっており、登山者が歩きだしていた。予想以上の早立ちにつられるように、手早く歩きだす準備をした。
 1時間程の車道歩きが続く。早足の登山者が多く、つられてこちらも早足になった。
 一の鳥居から登山道になる。水面沢沿いに幅広の登山道が整備されており、美しい渓谷の眺めを楽しみながらの登りが続く。はじめは緩やかな傾斜であるが、やがて傾斜は増し、夫婦蛙石や仁王門といった大岩が現れるようになる。
 ひと汗かいて傾斜が緩やかになると、お山巡りの開始部の猿田彦神社跡に出る。登山道脇には、クリンソウの群落が広がっていた。先に庚申山を登ることにして、庚申山荘に進んだ。この分岐からは、僅かな距離で庚申山荘の前の広場に到着する。
 庚申山荘は、大きな山荘で、ここに一泊して皇海山を目指す登山者が多いようである。三荘前の広場にはベンチも置かれて良い休憩所になっているのだが、新しくバイオトイレが設けられており、使用の度に浄化層を攪拌する機械音がうるさく、雰囲気を損なっていた。
 先回は気がつかなかったのだが、山荘裏手に一面のクリンソウのお花畑が広がっていた。到着したおばさんグループが、コウシンソウでは一緒に撮影できないので、クリンソウと一緒の写真を遺影用にと騒いでいた。段咲きする花の姿を仏塔の屋根にある九輪に見立ててクリンソウという名前が付けられているので、ムシトリスミレの仲間のコウシンソウよりは、遺影写真には相応しいともいえる。
 ひと休みの後に庚申山への登山道に進む。取り付き部にもクリンソウの群落地があった。岩の基部をトラバースしながら登っていく道が続く。GPSのログは岩場に遮られて正確に取ることはできなかったが、地図の破線と実際の登山道とはかなり違っているようであった。しばらくは破線通りに登っていくが、左方向のトラバースが続いて、破線とは離れていく。この破線の上部はお山巡りで歩いたログに近づいていくので、現在では登山道がかなり替えられたようである。
 登山道脇の岩場を見上げると、ユキワリソウの花が沢山咲いていた。このあたりではコウシンソウは無いはずだが、一応目をこらずもののやはり見つからない。ハシゴや鎖場も現れて、気を抜けないコースである。
 お山巡りとの分岐に出て、庚申山へは左方向の道に進む。この先も岩棚を抜けたり、足場の悪いザレ場の通過もあって、難路は続く。ようやく傾斜が緩むと、コメツガの原生林が広がるようになった。
 コウシンソウを見逃したかと思ったが、ようやく群生地に出会うことができ、写真撮影に時間をかけた。
 庚申山の最高点は祠があるだけで見晴らしはないため、その先に進むと、下り斜面の縁の展望台に出る。鋸山と皇海山の眺めが広がっており、休むのに良い場所になっている。ここからの眺めを知ると、皇海山は、やはり庚申山から歩かなければと思わずにはいられない。
 山頂は、休む登山者で賑わっていたので、眺めを楽しんで、すぐに下山に移った。足元に注意してお山巡りとの分岐に戻った。
 お山巡りの紹介として、「関東ふれあいの道として整備され、一部クサリ場などあるものの快適なハイキングが楽しめる」とあったが、どうして、そうたやすいものではなかった。岩場の基部をトラバースし、梯子を伝ってアップダウンする道が続いた。桟道が掛けられていたが、傾いているものもあり、滑らないように注意が必要であった。梯子の上部末端が地面から離れており、足を延ばして乗り移る所は緊張した。どうも、一旦整備されたものが、現在では老朽化してきているようである。整備されているからこそ歩けるコースなので、この先が少々心配である。
 石門の下をくぐったり、岩峰の下を通過したりで、八犬伝の舞台になったこともうなずける眺めであった。紅葉の季節も楽しそうであるが、一眼レフを首から下げたままで歩くのは、少し厳しい。
 途中で、コウシンソウの群落地を見つけて、写真撮影を楽しむことができた。涸れ沢を登って岩場の基部を通過すると、難所は終わり、笹原の下りになった。気も楽になって下りの足を速めると、猿田彦神社跡に下り立つことができた。
 お山巡りの途中では気も抜けなかったので、昼食を延ばしてきたが、ここでようやく大休止をすることができた。腰を下ろしていると、あたりは暗くなってきた。歩きだそうとすると雨も降り始めたので、雨具の上着を着て傘をさした。
 一の鳥居までは、周囲の風景を楽しむ余裕もあったが、林道歩きは疲れてきて、登山口への到着が待ち遠しい歩きになった。
 駐車場に戻り、すぐ下のカジカ荘に移動して温泉に入った。登山口に温泉があるのもありがたい。
 二日目は、日光千手ヶ浜のクリンソウが盛りのようなので、そのお花見を第一の目的に、高山を合わせて登ることにした。
 足尾から日光へは近い距離にあり、途中に細尾峠があるものの、日足トンネルのおかげで一気に通過できる。コンビニを捜すために日光の町中に向かったが、渋滞状態であった。久しぶりのいろは坂を登り、トイレのある三本松の駐車場で夜を過ごした。
 夜の間に小雨が降り出したが、朝になると曇り空になっていた。竜頭の滝上の駐車場に移動した。
 千手ヶ浜へは、赤沼駐車場から小田代原経由で低公害バスが運行しているが、かなり混み合うようである。高山を登ってから中禅寺湖畔に出れば、千手ヶ浜はそこからすぐ近くである。
 湯川を渡った先が高山への登山口である。少し奥に引っ込んだところにある山荘の手前から登山道が始まっている。鹿柵の扉を開けて進む。戦場ヶ原周辺の食害はかなりの問題になっているようで、鹿柵が張り巡らされていた。
 トラバース気味に緩やかに登っていく道が続いた。先回の2005年5月に登った時も、雨のために燕巣山から四郎岳へと歩くのを諦めて、代替えの山として登っている。今回もガスが垂れこめて、乳白色の風景が広がっていた。
 幅広尾根を歩いていると、何度か鹿の鳴き声や物音が耳に入ってきた。最後に背の低い笹原をジグザグに登ると高山の山頂に到着した。広場になっており、休憩に良い山頂であるが、ガスが広がって展望は閉ざされていた。
 高山からはジグザグの下りになる。岩の上を歩くところもあって、足元に注意が必要なところもある。
 巨木が立ち並ぶ開放的な斜面が広がるようになると、熊窪と呼ばれるらしい峠部に到着する。右手に下りると小田代原であるが、ここは左に向かう。緩やかに広がる窪地を下っていくと、沢の流れが出てきて、最後は中禅寺湖の湖畔に出た。
 歩いている途中で、雷の音が聞こえてきていたが、雨が降り出してきて、木陰で雨具を着込むことになった。
 湖畔の道を辿っていくと、千手ヶ浜に到着した。車道の終点部にクリンソウのお花畑があったが、こんなものではないはずである。湖畔沿いの道をさらに進んで、柳沢川の橋を渡るとクリンソウの群生地に到着した。
 一面にクリンソウが咲いている様は、予想以上の見事さであった。一般に見られる赤や白のものに加えて、それが混じったピンク系のものなど、色とりどりであった。早朝のバスでやってきたのか、見物客もかなりいた。地元の新聞でも、千手ヶ浜のクリンソウが見頃になったという記事が載るようである。
 雨も止んでおり、写真撮影を楽しむことにした。花のアップや沢沿いの眺めなど、様々な構図を楽しむことができる絶好の撮影スポットであった。
 途中で休憩してから、もう一回りして撮影を行った。この頃には、見物客も多くなってきた。入場料を取ってもおかしくないお花畑で、一見の価値がある。
 千手ヶ浜からは、しばらく車道歩きが続く。通行規制が行われているので、のんびり歩くことができた。車道脇の草地を見ると、湿った所にはクリンソウが自生しているのが見られた。
 小田代原までの車道歩きは、いささか疲れた。小田代原から戦場ヶ原に出て滝上に戻るまでは、長い木道歩きが続き、足も痛くなってきた。戦場ヶ原を歩くハイカーは多かったが、木道も二本整備されているので、ストレスなく歩くことができた。
 千手ヶ浜のクリンソウ見物には、高山経由で入り、湖畔の道を歩いて戻るのが良さそうであった。

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