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黒山、人品頭山


【日時】 1999年12月4日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 五頭山塊周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 黒山・くろやま・527.6m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/津川、馬下
【ガイド】 鈴木眞:MML[mountain13130]黒山

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 人品頭山・じんひんとさん・377.4m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/東赤谷
【ガイド】 鈴木眞:MML[mountain09056]人品頭山、新潟の低山薮山(白山書房)
【温泉】 新三川温泉・クアハウスローズベリー 300円 備品(シャンプー、ボディーシャンプー)

【時間記録】 6:30 新潟発=(R.49、岩谷、岩津、岡沢、新道道線 経由)=7:52 峠〜8:10 発―8:52 鹿新線No.42鉄塔―9:05 鹿新線No.44鉄塔下―9:24 鹿新線No.45鉄塔〜9:32 発―9:55 黒山〜10:03 発―10:19 鹿新線No.45鉄塔〜10:22 発―10:34 鹿新線No.44鉄塔下―10:44 鹿新線No.42鉄塔―11:06 峠=(岩谷、岩津、新谷 経由)=11:35 人品頭山林道ゲート前〜11:50 発―12:02 作業道分かれ―12:35 人品頭山〜12:42 発―13:07 作業道分かれ―13:15 人品頭山林道ゲート前=(新谷、新三川温泉入浴、岩津、岩谷、R.49)=16:20 新潟着

 R.49あるいは磐越自動車道を津川に向かう際、五頭山塊と菅名山塊によって挟まれた阿賀野川の谷の奥の正面にドーム型をした山が目に入ってくる。この良く目立つ山を地図で調べると、527.6mピークであることが判るが、地図には名前は記載されていない。「新潟の低山薮山」にもこの山の記録はのっているが、527.6mピークとして記載されている。インターネットの国土地理院の基準点成果閲覧サービスでこの山の三角点の点名を調べると、黒山と記載されており、一応の名前を知ることができた。

 人品頭山は、飯豊連峰から流れ出る新谷川の右岸にあるお椀を伏せたような小山である。人品頭山(じんひんとさん)と変わった名前を持っているが、そのいわれは知られていない。

 黒山は前々から気にかかっており、鈴木さんが登ってきたというので、その山行記録をプリントアウトして出かける機会を待っていた。冬を前に1週間以上も続いたみぞれ混じりの天候もようやく中休みになったので、黒山に出かけることにした。アプローチの林道は、地図にある将軍スギから北の延びる林道がさらに延長されて、岡沢の集落と岩谷とを結んでいるようであった。林道の状態は後で確認することにして、まずは将軍スギ入口から岡沢をめざした。
 岡沢集落の手前の「理研ダイヤモンド工業」入口を過ぎた所から、西に延びる農道に入ると、田圃を抜けて右手から沢がせまってきた所で、左にカーブするように林道「新道道線」が始まった。舗装された林道は尾根に上がっていき、舗装の途切れた所の峠で、頭上を送電線が通過していた。路肩に寄せて車を停めた。
 歩き出す準備をしていると、一台の車が上ってきた。山仕事の格好をしたおじさんだったので、山の名前を尋ねてみた。ここと取上との間にある山といって尋ねてみたが、「岡沢の集落の背後にある山なのでこの一帯を岡沢山と呼んでいる。」とのことであった。「山は好きで、3000m級の山に登っている。」とも言っているが、地元の低山の名前は気にも懸けていないようであった。キノコ取りのためにやってきたようで、この山は、山菜やキノコ採りの場であっても、登山の対象になるとは思っていないようであった。
 峠の切り通しから「鹿新線」の巡視路に進んだ。思ったよりもしっかりした道が続いていた。杉林を過ぎると、下生えの少ない美しい雑木林の中の道になった。急坂にかかると、細かくジグザグを切る道になった。厚く積もった落ち葉は長雨で濡れており、足元が滑りやすかった。幾つかの炭焼き跡も現れて、単なる送電線の巡視路ではなく、生活道として利用されているようであった。黒山
の裾野は、阿賀野川にそのまま落ち込んでおり、R.49は取上洞門として通過している。昔、新潟から津川までの間は水運が発達していたというが、この道は山越えの間道として使われていたのではないだろうか。山の斜面のトラバースになると、南の展望が広がった。正面にはマンダロク山が三角形のどうどうたる姿を見せ、日倉山から日本平山に至る稜線が横に広がっていた。眼下には蛇行する阿賀野川の流れが長く続いていた。山々は白黒まだらになり、冬の訪れを告げていた。
 送電線は、前方の一段高い尾根に続いており、もうひと登り頑張る必要があった。No.42の鉄塔への急登を終えると、台地上の歩きになった。雑木林の中に、天然杉の古木が点在し、小川も流れて、公園の中を歩いているような雰囲気になった。鈴木さんは、カモシカを見たというが、木立の中を音を立てて逃げていく物音が聞こえた。これもカモシカであったのかもしれない。この山を縄張りにしているカモシカがいるようである。
 No.44鉄塔下で、道が二手に分かれた。鉄塔に続く直進の道に進んでひと登りすると、尾根の上の鉄塔で道は終わっていた。分岐に戻り、左の道に進んだ。右上に黒山の山頂も見えるようになった。台地の歩きをしばらく続けてNo.45鉄塔に到着すると、この先の道は下りになり、新潟方面の展望が広がった。鉄塔の基部からは、ホウキブナの山頂が阿賀野川の対岸にのぞむことができた。その右手の菅名岳はすっかり白くなっていた。
 風景を眺めながら、ひと休みした。この道は、どこに下っているのだろうか。送電線下部の取上三角点(237.1m)との間には谷が入っている。昔ながらの生活道だとすれば、石戸の集落あたりに続いているのかもしれない。黒山越えとでも称して歩いてみるのも楽しいかもしれない。
 ここから黒山めざしての薮コギの開始になった。少し入ると、明瞭な踏み跡が現れてきた。境界見出し標がうたれており、最近ノコで切ったと思われる切り跡も見られた。ユズリハが目立ち、歩くのにそれほどの苦労はいらなかった。尾根は明瞭で、切り跡と、ユズリハの枝を折って目印にするだけで充分であった。
 狭いピークに登り着いたが、ここには三角点は無く、踏み跡はさらに奥に続いていた。5m程下って、その先の台地状の高みに進むと、少し左に曲がった先に三角点が頭をのぞかせていた。周囲は、木立に囲まれて、葉がすっかり落ちたこの季節でも展望は得られなかった。
 No.45鉄塔への下りは、切り跡に注意を払う必要があったが、その後は、林や展望を楽しみながらの気楽な歩きになった。峠に戻って、地図を見ながら、林道を進んでみることにした。未舗装ではあるが、走り易い道が続いた。再び舗装道路に変わると、将軍スギの駐車場脇に出た。地図に記載されている林道が延長されていることを確かめることができた。
 黒山に続いて、これも宿題のひとつであった人品頭山をめざすことにした。10月17日に焼山と要害山(三川)を登った後で、鈴木さんの積雪期登山の情報をもとにして、人品頭山を偵察した。人品頭山林道を歩いてみたが、そこからの登山道らしきものは無かった。林道入口脇から山に向かう作業道が見つかったが、山腹を大きく巻いて、そのまま北の稜線を越していた。結局、この作業道が南西部で再接近したところで薮コギをして、山頂をめざすのが良さそうであった。
 新谷の集落をめざす途中からは、青空をバックに、白さが勝った馬ノ髪山から棚橋山の眺めが広がった。その右手には、蒜場山が純白の姿を見せていた。飯豊はすっかり冬の衣替えを済ませたようである。春のようなきらめきを見せる新谷川べりの道を進んだ。左手にお椀を伏せたような人品頭山が見えるようになると、広い空き地の奥に建築は終わっているが、休業状態の木造の建物が現れるので、その前庭から林道に乗り入れた。少し登った所には、遊具やテーブルが並べられた園地が広がっており、右に曲がって山に向かう林道に進んだ。カーブを切りながら畑の中を登っていくと、杉の植林地の境界部で人品頭山林道のゲートが現れるので、その手前のスペースに車を停めた。
 畑と杉林との境界部を右手に進むと、小さな沢が流れ込んだ先で、山の上に向かう道が現れる。直ぐに沢を渡ると、右岸沿いの道になる。前方に人品頭山の山頂がうかがえるようになった先で、道は左手に方向を変えるので、ここから薮に突入することにした。
 まず、右上に走る尾根に向かってひと登り。杉林の中は、倒木や潅木の枝がうるさく荒れ気味であった。続いて、雑木林の中を、高い方に向かって真っ直ぐに登ることになった。特徴的な尾根が無いために、赤布を短い間隔で付ける必要があった。薮のうるさい急斜面を登り終えて傾斜が緩くなると、薮も少しは薄くなった。山頂付近になると、一層の雪が地面をおおうようになった。東に進んだところが最高点であった。薮をすかして、鋭い三角形の山頂を見せる馬ノ髪山やボリューム感のある棒掛山を眺めることができた。続いて、三角点捜しになった。数センチの雪を足の先でかき分けていったが、なかなか見つからなかった。潅木の中に3m幅の草地があり、ここだろうと思って念を入れて捜すことにした。倒れて積み重なった草をどかすと、その下から三角点が現れた。ようやく、登頂というすっきりした気分になった。
 下りは、充分に赤布を付けたと思っていても、コースを外しそうになって注意が必要であった。真っ直ぐに登っていると思っていても、薮の濃い所を外すために、無意識にコースを変えているようである。実際に歩いた時間よりは長く感じる薮コギであった。
 この日の晩には、山関係の忘年会が二つ入っていたので、山はこれにて終わりにして、すっかり常連となった新三川温泉・クアハウスローズベリーで温泉に入った。時間がまだあったので、荒倉山への林道の偵察をしてから帰宅した。


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