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白根山


【日時】 1999年11月14日(日) 日帰り
【メンバー】 吉田、鈴木眞、岡本
【天候】 晴

【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 白根山・しろねやま・918.1m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/粟ヶ岳
【ガイド】 新潟の低山薮山(白山書房)、LATERNE4巻
【温泉】 七谷コミュニティーセンター100円  備品(無し) 沸かし湯

【時間記録】 5:50 新潟発=(R.8、三条、R.289、下田、大谷地 経由)=7:00 会越産業駐車場〜7:09 発―7:35 林道終点(鉄の橋)―8:01 二俣左沢の渡渉点〜8:07 発―8:22 上の二俣―9:47 踏み跡合流点〜9:50 発―9:57 分岐―10:02 746ピーク―11:05 白根山〜12:06 発―12:38 746ピーク―12:43 分岐―12:49 踏み跡合流点―13:04 沢出合―13:35 上の二俣〜13:40 発―13:52 二俣左沢の渡渉点―14:25 林道終点(鉄の橋)―14:50 会越産業駐車場=(大谷地、森町、上谷地、R.290、七谷、加茂、新潟小須戸三条線)=17:00 新潟着

 白根山は、粟ヶ岳の南、笠堀ダムとの間に位置する川内山塊の山である。北の駒出川と南の親沢、さらに東の笠堀川に囲まれて、粟ヶ岳と烏帽子岳に稜線が続いているものの、西面のみが開けた山になっている。川内山塊入口にあり、山頂付近からは、粟ヶ岳や矢筈岳、青里岳、駒形山、光明山、烏帽子岳といった山々を眺めることができる。この山は、積雪期の登山が一般的のようであるが、地形図にも記載されている親沢沿いの破線をたどって山頂に至ることができる。

 白根山への思いは、今回のメンバーそれぞれに異なっていた。鈴木さんは、今年の9月に白根山をめざして親沢沿いの破線を辿ったものの、薮の濃い季節であったために中退となり、再挑戦の機会をねらっていた。また、吉田さんは、烏帽子岳に先週登って、向かい合う白根山に目が向いていた。これに対し、私自身は、この一帯の山にはまだ手が回りきれずに、白紙状態であった。鈴木さんが先回の山行で薮の中で落としたストックを拾いに行こうかと思うという話から、同行させてもらうことにした。
 いつものように鳥屋野公園に集合して、鈴木さんの車で下田に向かった。明るくなると、霧の上に、新潟周辺の山々の展望が広がった。良い登山日和になりそうであった。八木鼻の絶壁を眺め、大谷地にある会越産業の入口ゲート手前の林道から採石場の敷地内に入った。親沢沿いの林道の入口には鎖が掛かっていたため、採石場の奥の空き地に車を停めて歩き出すことにした。しばらくは一般車の通行も可能な林道が続き、もうひとつの鎖から先は草がかぶり気味の荒れた林道になった。親沢の対岸の烏帽子岳へ続く斜面は、スラブとなって切り落ちていた。鉄製の橋が枝沢に渡されている手前で、林道も終点になった。この先も崖際には林道の石組みが残されていたりするものの、次第に道は細くなっていった。道をススキなどの草が被うようになり、ズボンの裾は朝露で濡れた状態になった。幸い気温は高く、日が昇ればズボンも乾きそうであった。11月中旬の山行とは思えない陽気であった。
 長い沢沿いの歩きが続いた後、二俣に出て、ここは左のなめ滝状の沢を跨ぎ越して、右の沢沿いに進んだ。踏み跡は草で被われ気味で、崩壊個所のへつりもあって気の抜けない歩きになった。次の二俣に出ると、対岸には赤布が付けられ、踏み跡が続いていた。ここが地図における、水色の沢マークが途切れる二俣にあたる。この渡渉個所は、対岸の岩を登るのが難しそうであったため、沢の上流部から、木の枝を頼りに踏み跡に這いあがった。二俣の中尾根をひと登りすると、へつり道が始まった。草付きに落ち葉が乗って滑りやすく、しかも手がかりも乏しいという難所が現れた。鈴木さんが前回歩いた時は、この少し先で道を見失ったという。このようなへつり道が続くようだと、危険だということで、尾根に上がって746ピークをめざすことになった。尾根の上には踏み跡は無いものの、体力のことはともかく、危険性はなさそうであった。ここから薮こぎの開始となった。ひと登りしたところの尾根の上に杉の大木が生えており、枝の下を這って通過することになった。この杉は、上からも良く見えて、良い目印になった。その先で、鈴木さんの前回落としたストックが見つかった。この尾根を歩いた者は、最近はいないようである。尾根が広がる所もあるが、ほどほどの痩せ尾根が続いた。尾根上にちょっとした岩場も現れたが、右手から薮を漕いで回り込むことができた。急斜面の登りに、枝を掴んで体を引き上げる必要があり、次第に腕の力が抜けてきた。
 稜線まであともうひと頑張りかと思った所で、予期しないことに、はっきりとした踏み跡に飛び出した。どうも地図に書かれている破線の道が上がってきているようであった。丁度、地図で746ピークから尾根を真っ直ぐに下ってきた破線が、北に向きを変えるあたりのようである。その先も急な登りが続いので、道の有難さを痛感した。道が水平に変わる所で、左に踏み跡が分かれた。この角の木の幹には、そう昔のことではなさそうな赤ペンキが塗られていた。この先は、通行量が二分されたかのように、それぞれの踏み跡は、あまり明瞭ではなくなっていた。746ピークは左の踏み跡へ進めば良いとして、この直進する道はどこに続いているのか疑不思議に思った。大きく迂回して烏帽子岳へ続くのか、あるいは笠堀川源流部に下りていくのか。さらに、なんの為の踏み跡なのかの、判らないことが多い。
 左の踏み跡を進むと、ネマガリダケが被さり気味になり、ナタを振るいながらの歩きになった。746ピークは、薮で被われた稜線上のちょっとしたコブであった。その先から、踏み跡はところどころ不明瞭になったが、尾根を辿っていくうちに、鉈目や踏み跡が再び見つかった。尾根が痩せて展望が開けた所からは、矢筈岳、青里岳、駒形山といった、川内山塊核心部の山々の眺めが広がった。これらの山々は、入り組んだ谷が守って、人を容易には寄せ付けそうもなかった。ようやく山頂かと思うと、その先にも登りが続いた。鉈を振るう腕にも力が入らなくなった頃、ようやく白根山の山頂に到着した。
 そう広くない山頂には、三角点が頭をのぞかせていた。三角点の回りの刈り払って、休憩の場所を整えた。北には、粟ヶ岳が眼前に大きく広がり、一本岳を経て堂ノ窪山への稜線が長く続いていた。見慣れない方向からの粟ヶ岳の眺めであった。西への尾根に踏み跡が下っていた。古い地図に載っているという林道終点付近からの道であろうか。長い歩きを覚悟する必要がありそうで、この踏み跡を下るわけにはいかなそうであった。腰を下ろして、今年の山やこれからの山の話をした。青空が広がり、休んでいても寒さは感じなかった。
 下りは薮もそう気にならず、展望を楽しみながら746ピークに戻ることができた。再び地図にある道に戻って、来た尾根を薮コギで戻るか、この道を下ってみるか相談した。明瞭な道が続いているので、この道を下ることになった。トラバース気味に下っていくと、沢に出合った。落ち葉が積もって判り難いかったが、左岸沿いの一段高い所に踏み跡が続いていた。ノコで引いたと思われる切り跡も所々で見つけることができた。急な下りや足元の不安定なへつりも現れて、慎重に歩く必要があった。左に滝となった岩壁が現れた。鈴木さんは、前回はここまで来て道を見失って、少し戻った所から尾根に登ったという。ここは、踏み跡が沢の方に回り込んでいるので、登りの際には判り難いかもしれない。その先で、行きに苦労したへつりになった。結局、ここが一番の難所であった。上の二俣は、テープの下がった尾根の末端部で、木の枝にぶるさがるようにして沢に降り立って通過することができた。その先も足元に注意する必要のある個所もあったが、最後は林道歩きになって緊張もほどけた。
 MLの会話の中から浮かんできた白根山山行であったが、一人ではとうてい無理な良い山に登ることができた。

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