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甑岳
花渕山、大柴山


【日時】 1999年10月30日(土):甑岳、31日(日):花渕山、大柴山 各日帰り
【メンバー】 23日:単独行 24日:東北オフミ5名グループ(高橋、中野、宮本、岡本)
【天候】 23日:曇り 24日:晴

【山域】 船形連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 甑岳・こしきだけ・1016m・二等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/楯岡/楯岡
【ガイド】 分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山形百名山(無明舎)、東北百名山(山と渓谷社)

【山域】 栗駒山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
花渕山・はなぶちやま・984.9m・一等三角点補・宮城県
大柴山・おおしばやま・1083.2m・三等三角点・宮城県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新庄/秋ノ宮、鳴子/鬼首、鳴子
【ガイド】 分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、宮城の山ガイド(歴史春秋社)
【温泉】 琵琶沢温泉・クアハウス東赤倉 350円 備品(石鹸)

【時間記録】
10月29日(金) 19:20 新潟発=(R.7、蓮野IC、R.113、十文字、R.113、赤湯、R.13、楯岡 経由)
10月30日(土) =0:15 東沢公園着  (車中泊)
7:10 大沢公園発=7:40 林道終点登山口〜7:50 発―8:02 清水―8:14 馬立沼分岐―8:39 稜線分岐―9:04 徳内坂標識―9:16 甑岳南峰〜9:22 発―9:32 徳内坂標識―9:46 稜線分岐―10:03 馬立沼分岐―10:09 清水―10:18 林道終点登山口=(楯岡、R.13、天童、R.48、仙台宮城IC、東北自動車道、大和、升沢 経由)=14:40 旗坂キャンプ場着  (車中泊)
10月31日(日) 7:40 旗坂キャンプ場発=(吉岡、R.457、岩出山、R.47、鳴子、R.108 経由)=940 鬼首スキー場〜9:50 発=9:58 荒雄川神社〜10:04 発―10:25 林道終点―11:57 三叉路―12:36 花渕山〜13:19 発―13:53 三叉路―14:19 中山平分岐〜14:25 発―14:36 大柴山―14:48 展望台〜14:57 発―15:33 鍋倉山(山頂駅)=(テレキャビン、荒雄神社、R.108、鳴子、R.47、琵琶沢温泉入浴、新庄、R.47、立川、R.345、鶴岡、R.7、村上、R.345、荒井浜、R.113、蓮野IC、R.7 経由)=21:30 新潟着

 甑岳は、山形・宮城県境に広がる船形連峰の西に延びる尾根の末端、村山市の背後に位置する山である。山形盆地からそのどっしりとした姿を良く眺めることのできる。

 栗駒山の南に位置する鬼首環状盆地は、カルデラの中央火口丘の荒雄山を中心にして、外輪山の須金岳、禿岳、大柴山・花渕山に囲まれている。大柴山の北隣の鍋倉山にはスキー場のテレキャビンが上がってきて観光化が進んでいるが、一歩入り込んだ大柴山から花渕山の稜線は純度の高い自然が残されている。

 東北の山MLのオフミということで、宮城の船形山の登山口の旗坂キャンプ場で芋煮会を行うことになった。山形県や宮城県の山を訪れ、芋煮会なるものが気に掛かっていたので、喜んで参加することにした。目的地は船形山の登山口であったが、船形山は一度登っており、再度登るのは泉ヶ岳からの縦走の時までとっておくことにした。新潟からのアプローチを考えて、途中の甑岳に登ることにした。
 山形までは、小国経由のお馴染みの道。さらにR.13を北上し、楯岡の道の駅に到着して野宿と思ったが、トラックのエンジン音や通過車両がうるさかった。登山口近くにバラ園で有名な大沢公園があるので、そこの駐車場に移動した。大沢公園には大きな駐車場が設けられており、静かに眠ることができた。夜中に空が光っていたが、未明にかけて雨になり、目を覚ましても小雨が続いていた。しかたなくもうひと眠り。いつもと変わらないような時間に起き出すと、ようやく雨は止んでいた。頑張って山の梯子をと思っていたが、予定は狂ってしまった。
 とりあえず、甑岳の登山口をめざすことにした。夜中に走った時には、甑岳の登山口への入口の標識は見つからなかった。明るくなって車を走らせても、標識は見つからなかった。出だしからつまずいた。ガイドには楯岡駅から東に真っすぐに延びる道が左にカーブすると、間もなく右手の桑畑の中に林道の取り付きを見い出すとある。家並みが大沢公園の大駐車場まで続いており、道沿いには桑畑は無かった。自然歩道の標識はあるものの、甑岳への看板は見あたらなかった。小さなどぶ川に沿った道に入ると、奥にはリンゴ畑が広がっており、貯水池も現れた。未舗装の農道を進むと、山の神聖徳太子尊という石塔とともに甑岳登山口という看板がようやく現れた。ここの入り方は、雑貨屋の松田商店の手前の道に進むと書けば、一番判りやすい。山の神から先は、車のすれ違い困難な林道が続いた。路面の状態はなんとか普通乗用車でも走れる状態なので進んだが、いやな道であった。林道の終点も狭く、不用意に車を置かれると、車の方向転換に苦労しそうであった。麓に立派な公園があっただけに、登山道入口の整備がされていないことは予想外であった。
 丸太橋で小沢を渡ると、杉林の中に登山道が続いていた。少し歩くと、左から流れ込む沢の脇に、パイプから流れ出る水場が設けられていた。見晴らしのきかない道を登っていくと、馬立沼への標識が現れたが、沼への道は草で被われていた。急坂を登りきると、ようやく植林地帯を通り過ぎ、ナラやブナの林が周囲に広がった。紅葉も盛りで、木々の葉は黄色に染まっていた。そこからはひと登りで稜線の上に飛び出した。右手からは、東根市からのハチガ沢コースが合わさってきた。ここからは東斜面の展望が広がっていた。山の斜面は、一年に一度の晴れ着を着込んだかのように、赤や黄色に染まっていた。それ程遠くないところに、船形連峰の眺めが広がっていた。稜線沿いの道を進み、徳内坂の標識を見ると、登りの傾斜も少し強くなった。
 甑岳の標識のある広場に到着し、山頂到着ということでひと休みした。かたわらには、この地に生まれて北方領土探検を行った最上徳内を記念した「青雲の志」という碑が置かれていた。眼下には山形盆地の眺めが広がっていた。船形連峰の隣には二口山塊から蔵王連峰。昨夜からの雨の影響か、山頂部が雲で被われているのが残念であった。広場のかたわらには、表面の文字は消えた、四等三角点大の標石が置かれていた。ひと休みした後、紅葉を楽しみながら下山した。
 家に戻ってからガイドブックを読み返すと、山頂はさらに10分程進んだところにあるという。この山には、二等三角点が置かれているようなので、広場で見た標石は確かに違っていた。大きく甑岳と書かれていなければ、山頂を確認するところであったろうに、うかつであった。甑岳の南峰で引き返してしまったことになる。
 歩き出す時間が遅れたことで、旗坂キャンプ場に向かう途中で寒風山の登山口を通過するも、そのまま見送り。達居森へ短時間で登るために明ヶ沢温泉跡から歩き出したが、登山道はヤブに被われていた。じっくりと腰をすえないと登れそうもないため、これも断念。どうも、この日はつきが落ちていたようである。
 旗坂キャンプ場には、少し早めに着いたのであたりをうろついているうちに、皆も到着した。ブナ林の中に焚き火を起こして宴会を始めた。メインは山形風の芋煮に、三陸のカキやホヤにサンマ。お酒もたっぷりと用意してあった。前夜野宿と登山の疲れのためか、酔いが早く回って、そうそうに車に退却になった。皆はかなり遅くまで飲んでいたようである。翌朝、宮城風の芋煮の朝食をとり、後片づけをすまして、芋煮会は解散となった。
 芋煮会には山にあまり登らない人も参加しており、翌日の花渕山に向かうのは5名になった。高橋さんのスキーで傷めた足が完全に回復していないために、下りはテレキャビンを使うということで、まず鬼首スキー場に向かった。登りのコースは、鳴子ダムの西岸から花渕山にとりつくコースを辿る予定であったが、道路の通行止めのために、荒雄神社から登り始めることになった。結果的には、急登が続く手強いコースに、充実した歩きを楽しむことになった。スキー場の駐車場に車を二台おいて、荒雄神社に向かった。
 急坂の車道を上がると荒雄川神社の境内に出て、ここに車を置いて歩き出すことにした。神社の先に車道を進むと、墓地に出て、そこからは植林地の中の荒れた林道になった。しばらくは林道歩きが続いた。林道の終点は広場になって、ここまで、キノコ採りのものか、車が入りこんでいた。林道は、沢に向かって下っていたが、左の尾根に登山道が始まっていた。杉の植林地の境に続く道は、草が少し被っており、歩く者は多くはないようであった。尾根は左に回り込むように続き、断続的に急坂が現れた。右手には、テレキャビン上部のピークを見ることができるが、稜線に登り着くまでには、かなり奥に進む必要がありそうであった。尾根の周囲にはブナの大木が並び、紅葉に彩られた谷間の眺めが、きつい登りの慰みになった。昨晩の酒の影響か、登りがきつく感じられた。
 稜線の三叉路に到着して、ようやく一息ついた。二人連れが昼食をとっていたが、花渕山ではこれ以外の登山者には合わなかった。テレキャビンで登ることができ、紅葉の盛りとあって、もっとハイカーで賑わっていると思っていたので、予想外であった。この三叉路には花渕山まで2kmと書いてあった。後は稜線歩きと思って油断したが、小ピークを越していくアップダウンのある道が続いた。1001mピークは、右の尾根に一旦乗り換えるが、苔蒸した登山道の回りに赤茶色の幹のシロヤシオの林が続いた。花の時期に訪れてみたい所であった。足も草臥れ、腹も減ってきたが、もう一つ小ピークを越してようやく花渕山の山頂に到着した。
 花渕山は、なだらかな山頂を持ち、アンテナ施設が無ければ、そのまま通り過ぎてしまいそうであった。かたわらには、一等三角点が置かれていた。昼の休憩のために、北側のブナ林に入った。残念ながら展望は得られなかったが、落ち葉のクッションが気持ちよい静かな林であった。
 三叉路まで引き返した縦走路の先は、一旦大きく下った後に、急な登りになった。このピークが大柴山かと思ったが、中山方面からの道が合わさる1090mピークであった。緩やかな道を進んでいくと、そのまま大柴山を通り過ぎそうになった。中野さんの指摘で少し戻って三角点を捜すと、登山道の上に頭をのぞかせていた。次のピークは、展望台が設けられ、観光の家族連れもここまで足を運んでいた。展望台に上がると、良い眺めが広がっていた。遠くの山は見えなかったが、荒雄山、須金岳、禿岳など、登りたい山が目の前にあった。遊歩道を歩いていくと、テレキャビンの山頂駅のある鍋倉山に到着した。
 テレキャビンを使って、あっというまに麓に到着した。料金は700円であった。デポした車で、荒尾川神社に戻った。下山後の温泉を考えたが、鬼首の温泉は逆方向に走る必要があるので、R.47沿いに出てから入ることにして、ここで解散になった。鳴子付近でR.47の古川方面は渋滞していた、新庄方面の流れは幸いスムーズであった。鳴子峡一帯は、観光客で大混雑していた。山形県に入ったところで、国道脇の温泉を見つけて入浴した。

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