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マンダロク山
御神楽岳


【日時】 1999年10月23日(土):マンダロク山、24日(日):御神楽岳 各日帰り
【メンバー】 23日:単独行 24日:新潟オフミ7名グループ(会田、久保田、今野、佐藤、長島、皆川、吉田、岡本)
【天候】 23日:曇り 24日:晴

【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 マンダロク山・まんだろくやま・865.9m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川、御神楽岳/馬下、高石
【ガイド】 鈴木眞、吉田さんの登山ML報告
【温泉】 新三川温泉・クアハウスローズベリー 300円 備品(シャンプー、ボディーシャンプー)

【山域】 会越国境
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 御神楽岳・みかぐらだけ・1386.5m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/御神楽岳/御神楽岳
【ガイド】 LATERNE 第6巻
【温泉】 御神楽温泉・あすなろ荘 500円 備品(シャンプー、ボディーシャンプー)

【時間記録】
10月23日(土) 7:40 新潟発=(R.49、五十島、三月沢橋、日倉橋 経由)=9:15 林道舗装終点部〜9:24 発―9:42 日倉山・又六山登山口―9:57 滝見場―10:02 展望台(独標)〜10:06 発―10:32 小岩峰―11:00 830mピーク―11:09 マンダロク山(前日倉山)―11:14 860mピーク〜11:19 発―11:32 マンダロク山(前日倉山)―11:42 830mピーク―12:10 小岩峰―12:31 展望台(独標)〜12:36 発―12:39 滝見場―12:49 日倉山・又六山登山口―13:12 林道舗装終点部=(日倉橋、三月沢橋、五十島、R.49、三川、新三川温泉・クアハウスローズベリー入浴、三川、R.49、三郷、上川、八田蟹、室谷 経由)=16:50 室谷登山口  (車中泊)
10月24日(日) 5:00 室谷登山口発=(室谷、八田蟹、蝉ヶ平 経由)=5:35 栄太郎新道登山口〜6:00 発―6:16 鉱山跡―7:01 湯沢出合〜7:10 発―7:37 稜線上〜7:42 発―8:12 股ずり岩―9:07 高頭〜9:12 発―9:58 湯沢の頭〜10:10 発―11:08 雨乞峰―11:20 御神楽岳〜12:28 発―12:36 雨乞峰―13:10 大森〜13:16 発―13:36 最後の水場〜13:41 発―14:45 室谷登山口=(室谷、八田蟹、蝉ヶ平 経由)=15:33 栄太郎新道登山口=(みかぐら荘入浴、八田蟹、上川、三郷、R.49、津川IC、磐越自動車道 経由)=16:40 新潟着

 マンダロク山は、川内山塊の早出川右岸にある山である。日本平山から日倉山を経て菅名岳方向に北進する稜線の一画にあることから、前日倉山とも呼ばれている。国道49号線脇の五十島の集落から眺めると、谷の奥に肩を張った上に三角形の山頂を持つこの山を望むことができ、その標高以上に存在感を示す山である。

 御神楽岳は、新潟と福島との県境にあり、東面には壮絶な岩壁、西面はブナの原生林に覆われた隠れた名峰である。御神楽岳の名前は、山中にて神楽の音が聞こえることに由来するといわれている。会津高田にある奥州二ノ宮の伊佐須美神社は、はじめこの御神楽岳に置かれ、その後、博士山から明神ヶ岳、そして現在の地に移ったと言われている。この山の登山道は、新潟県側より東面の岩壁を眺めながら登る栄太郎新道、福島県側より本名御神楽岳経由で登るコースの二つが利用されてきた。それに加えて、古くからの登拝道でありながら廃道となっていた室谷道が1997年に整備中され、現在では容易に登ることのできるこのコースを利用する登山者が多くなっている。しかし、御神楽岳の魅力は、栄太郎新道を歩いてこそ味わうことができるものである。

 春の鏡山における新潟オフミの後で、秋には岩壁と紅葉の眺めを楽しむために御神楽岳で行いたいと話した。秋口から仕事で忙しくなったため、吉田さんにリーダーをお願いすることになった。御神楽岳への登りは栄太郎新道、下りは室谷道ということにしても、早朝発が必要なコースタイムになり、遠来の参加者もいることから、前夜に室谷登山口に集合ということになった。
 集合は土曜日の夕刻ということになったため、とりあえず近くの山に登ることにした。以前に鈴木さんや吉田さんから登山情報をもらっていながらそのままになっていたマンダロク山に登ることにした。少し前は登山道はヤブが濃かったようだが、昨年の吉田さんの報告によれば、マンダロク山までの登山道は整備されているようであった。
 日曜日には高気圧が移動してくるが、土曜日は高気圧の谷間に入って天気が一時的に崩れるようであった。果たして、朝起きると強い風が吹いており、布団から出る気になれずに様子見となって、出発の時間が遅れてしまった。途中で雨がぱらついたものの、次第に天気は回復してきた。五十島の集落を過ぎると谷の奥にマンダロク山が姿を現した。両脇に谷が入っているためか、実際の標高以上に高さを感じさせる眺めであった。高石に向かう道を進むとT字路に出て、ここには日倉山登山道の案内図が置かれ、また「登山口は農道終点」とも書かれていた。まず右に曲がって三月沢橋で五十母川を渡る。すぐに左手の道に入り、地図には書かれていない日倉橋を渡ると、林道は尾根に向かって高度を一気に上げていった。途中で枝道が分かれたが、舗装された林道を直進すれば良い。切り通しで尾根を巻きながら上っていき、谷の奥にマンダロク山の山頂が姿を現すようになると、舗装区間は終わった。先をうかがうと路面は荒れていそうなため、ここから歩き出すことにした。
 林道の回りは側溝の工事中で、路面は注意すれば車の通行にはさしつかえない状態であった。車で登山口まで入るべきだったかと後悔したが、地図上で林道がどのように続いているか確認するためには、林道歩きは無駄ではなかった。思ったよりも林道は奥まで続いており、台地上に広がる栗林に出ると、前方にマンダロク山の全景が現れた。栗林の上部に進み、左手に尾根が近づいた所に、日倉山・又六山登山口という標柱が立っていた。
 登山道の入口は夏草が繁っていたが、20m程草をかきわけて進み、栗園の鉄条網の隙間から尾根に上がると、そこには一般登山道並みの明瞭な道が続いていた。雑木林に囲まれた尾根を登っていくと、滝見場という標識に出た。ここからは、左手の谷向こうに細く落ちる一条の滝を眺めることができた。滝の眺めは小さくとも、水音はしっかりと届いていた。その少し先で展望台(独標)という標柱の立てられた454.8mピークに出た。ここには、四等三角点(点名:亦六)が置かれている。北の五十島方面の眺めが開けていた。尾根の登りを続けていくと、次第に傾斜もきつくなってきた。小岩峰を越えるとやせ尾根の上に出て、山頂に向かって一気に立ち上がる稜線を一望することができるようになった。山肌はスラブとなって、岩肌と潅木の作り出す模様が美しかった。紅葉の時期が遅れて緑の色が濃いのが残念であった。眺めを楽しみながら、ヤセ尾根の上に続く登山道を進んだ。三角形のピークめざして急坂を登り切ると、ここは830mピークで、本当の山頂は、その奥でもうひと登りする必要があった。麓の五十島方面から見て、尖って見えていたのは、この830mピークのようであった。高度が上がって色づき始めた潅木を握りしめながら最後の急坂を登りきると、前日倉山という標識の置かれた山頂に到着した。先行の三名グループも到着したところで、周囲を眺めていた。山頂からの眺めでは、菅名山塊が目の前に大きく広がっていた。
 山頂から先にも刈り払い道は続いていた。どこまで、整備の手が入っているかを確かめるために、先に進むことにした。南隣りの860mピークの木立の中の小広場で払い道は終わっていた。稜線沿いのヤブの中をのぞくと、かすかな踏み跡と赤布はあるものの、完全なヤブ漕ぎコースの状態であった。日倉山は日本平山と結んでの周遊コースをいつかの楽しみということにして引き返すことにした。この860mピークの広場は、大人数の場合の休憩場所として利用価値はありそうであった。眺めを楽しみながらマンダロク山へ引き返した。
 マンダロク山は、それ程歩行時間もかからない割には、川内山塊ならではの急峻な山を楽しむことができた。アプローチの林道や登山道も整備されており、新潟周辺の日帰りの山としてもっと登られても良い山であると思う。
 冬も近づき、登山後には体の芯まで冷えきって、温泉が欠かせなくなってきた。明日の御神楽岳の後は、みかぐら荘で温泉に入ることになりそうなため、道順を考えて、先週も入った新三川温泉・クアハウスローズベリーに向かった。300円で安い料金の割に設備が整っていることが魅力である。コンビニで夕食を買い込み、集合場所の室谷登山口に向かった。
 先回の山行で室谷登山口に下山したのは登山道の整備が完了する前であったため、林道の入口などの案内板は無かった。しかし今回は、室谷を過ぎて室谷大橋に向かうあたりから御神楽岳登山口という表示が出てきて、判りやすくなっていた。すでに吉田さんと会田さんが到着してテントを張っていたが、シチュウを作るということで、外のシートの上に座り込んで酒盛りを始めた。当日集合の皆川さん以外も到着してきて、酒盛りも本格的になってきた。ビール、ワインに日本酒の栓が開けられるにつれ、かなり飲んでしまった人もいたようである。明日の御神楽岳を控えて、過去二回の経験者の私は、お酒は控えめにしておくことにした。体調が万全でないと辛い山である。登山口には、他にひとパーティーがテントを張っており、早々と寝込んでしまったため、8時には眠りにつくことになった。テントを張るのもおっくうになって、いつものように車の中で寝てしまった。
 目覚まし時計で、4時のまだ暗い中に起き出し、二台の車に分乗して栄太郎新道登山口へ移動した。山の反対側に回り込むのにかなりの時間がかかり、山の大きさを実感することになった。栄太郎新道登山口の駐車場は、10台ほどの車で、ほぼうまっていた。このコースの往復は時間を要するために、すでに出発している者が多かった。まずは朝食をとって、出発の準備をした。
 栄太郎新道は、まず、広谷川にそってのほぼ水平な道が続く。足慣らしといっても、広谷川を見下ろす崖際の狭い所もあり、それなりの注意は必要である。標識には鉱山跡まで十分とあるが、もう少しかかって、最初のチェックポイントに到着した。三つ並んだ慰霊碑の脇に登山届けの箱が置かれていた。かつては広谷銅山として稼働していたとのことだが、山間の広場はひっそりと静まり返っていた。谷に向かって落ち込むスラブの眺めや、色づき始めたブナ林を楽しみながら、谷沿いの道を進んだ。途中の枝沢の通過は、足元が苔のために滑りやすく、ロープが張ってあるものの、要注意である。ひと汗かいて湯沢出合に到着した。出合からは、御神楽岳の岩壁が始めて目に飛び込んできた。ザックを下ろして、水を飲みに沢に下った。河原には、渓流釣りのものか、テントが二張り置かれていた。冷たい水を飲んで、いよいよ本番の登りに備えて気を引き締めた。
 沢から分かれて急斜面を登っていくと、皆の覚悟の程を試すかのように、かなり傾斜のきつい岩場が現れた。靴底も泥で汚れて滑りやすい為、慎重に三点支持に心掛けて岩場を通過した。岩場の上では展望が広がり、湯沢の頭から落ち込む岩壁の眺めが目の前に広がった。足をとめて、眺めに見入った。この眺めがあるため、何度もこの山に来てしまうのかもしれない。その後は、僅かな登りで稜線部へ到着した。左右に広がる岩壁の中を、登山道の付けられたヤセ尾根が高みに向かって続いていた。潅木に縁どられたスラブは、朝の光の中に輝いていた。整備されているといっても、体力とともに集中力が必要なヤセ尾根の道がこの先は続く。稜線歩きを始めてすぐの小岩峰では、鎖の掛けられた岩場の通過になった。始めは岩場に戸惑った人もいたようだが、この先も何本も現れることになる鎖場の通過は、次第にスムーズになっていった。続いて、このコースの難所として有名な、股ずり岩(ラクダの背)と呼ばれる、蟻の戸渡り状の6m程の幅の狭い岩場となる。そのまま上を踏み越えて通過する大胆な者もいるが、跨いで通過すれば、足場も切られておりそれ程恐いものでもない。高頭(地図にはたかつむり。標識や藤島玄著「越後の山旅」には、こうつむりと振り仮名。)に到着してひと息いれるが、湯沢の頭はまだ高く、しかも御神楽岳の山頂はまだ目に入ってこない。さらに、湯沢の頭に向かっての急な登りを続けた。
 湯沢の頭に到着して、ようやく頂上までの道筋が目に入ってきた。一旦下った鞍部の殺生窪から登りつめたところが雨乞峰で、そこから左に僅かに登った所に御神楽岳の山頂がある。時間にも余裕はあり、いそぐことははい。展望を楽しみながらひと休みして鋭気を取り戻した。今年の紅葉は遅れており、枯葉状態でそのまま落ちてしまうものの多いようだが、このあたりからは美しい紅葉が広がるようになった。緩やかに下って小岩峰を通過すると、草付きの中の急登が始まった。さすがに足は重くなったが、最後の登りと思って頑張った。潅木帯の中から草原に出ると、ようやく長かった登りもほぼ終わった。振り返れば、湯沢の頭に向かって急な尾根が続いていた。以前は、草原をトラバースして、雨乞峰と御神楽岳との鞍部に登り着いたが、残雪期は危ないためか、直接雨乞峰へ直接登る登山道が切り開かれていた。
 雨乞峰にでると、室谷からの広い登山道が合わさってきた。ビニールシートを広げて昼食中のグループもおり、急に賑やかになった。山頂までは、もうひと頑張り。すれ違う登山者も多くあった。潅木帯の中を登り詰め、石の祠を見ると、その先で御神楽岳の山頂に到着した。山頂は大勢の登山者で賑わっていたが、幸い場所を確保することができた。さっそくビールの栓を抜いて、乾杯をした。室谷コースを下山コースにする利点は、頂上でお酒を飲めることである。栄太郎新道を下るとなったら、アルコール禁止令を発動するしかない。吉田さんが豚汁をつくり、皆もその相伴にあずかった。
 御神楽岳の山頂からは360度の展望が広がっていた。飯豊の主稜線は雲で隠れているのが残念であったが、棒掛山や高陽山を見分けることができた。津川周辺の低山の左には、鍋倉山を中心として川内山塊の山々。その後ろには、菅名岳、白山、粟ヶ岳、守門岳、浅草岳。日尊ノ倉山と狢ヶ森山は近く、その奥には会津朝日岳。本名御神楽岳に向かって下っていく稜線の左には笠倉山が鋭い山頂を見せていた。もっと遠望が効いたらと思わないではなかったが、素晴らしい展望を楽しむことができた。
 充分休んでから記念写真を撮り、下山にうつった。山頂から見下ろす雨乞峰周辺は、紅葉が美しかった。雨乞峰に登り返した後、室谷道に進んだ。山の西側の室谷道周辺には、栄太郎新道とは対称的ななだらかな斜面が広がっている。振り返ると、高原状の台地の上に御神楽岳がかわいらしい三角形の山頂をのぞかせていた。先回の峡彩ランタン会の宴会場となった草原を過ぎると、尾根の下りになった。この前は刈り払い直後で、足元で笹の切り跡がボキボキ音を立てる状態だった道も、歩く者が多いためか、ぬかるんだ道に変わっていた。大森の見晴らしでまずはひと休み。下から登ってくると、山頂までの最後の頑張りに入るところであろうか。この大森の標高は1150mで、地図にある大森山三角点の位置とは違っている。尾根からはずれて山の斜面をじぐざぐに下っていくと沢に出て、ここでもひと休み。ここには、最後の水場という標識がたっている。沢に出ると麓も近いような気がするが、この先にもまだ長い下りが残されていた。山間の平坦地に降り立って北に方向を変え、最後にセト沢沿いの道を続けると、室谷登山口に戻ることができた。
 ここで解散とし、車の回収のために栄太郎新道登山口に戻った。みかぐら荘の温泉で、山行の締めくくりとした。家路に戻る途中からは、バラ色に染まった飯豊を眺めることができた。

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