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若ぶな山、蛇崩山

1999年4月18日 日帰り 単独行 曇り

若ぶな山 わかぶなやま(629.9m) 三等三角点 飯豊連峰前衛(新潟県) 5万 小国 2.5万 小国
ガイド:武田氏の個人情報、新潟の低山薮山(白山書房)

蛇崩山 じゃくずれやま(530.4m) 三等三角点 飯豊連峰前衛(新潟県) 5万 小国 2.5万 小国
ガイド:KATERNE6巻p.467、新潟の低山薮山(白山書房)

4月18日(日) 6:30 新潟発=(R.7、蓮野IC、R.113、十文字、R.113、越後片貝 経由)=7:50 若ぶな高原スキー場林道ゲート〜8:10 発―8:28 クワッドリフト終点―8:50 第3ペアリフト終点〜8:56 発―9:19 若ぶな山山頂〜9:35 発―9:53 第3ペアリフト終点―10:10 クワッドリフト終点―10:25 若ぶな高原スキー場林道ゲート=(越後片貝、R.113、金丸大橋 経由)=10:40 金丸大橋下〜11:43 発―11:50 金丸線105号電柱―12:53 蛇崩山〜13:14 発―13:42 金丸線105号電柱―13:48 金丸大橋下=(金丸大橋、R.113、十文字、R.113、蓮野IC、R.7 経由)=16:10 新潟着

 若ぶな山は、飯豊連邦と朝日連邦との境をなす荒川にのぞむ飯豊連峰前衛の山である。若ぶな山というよりは、若ぶな高原スキー場の方が通りは良いかもしれず、スキー場の知名度に比べて、この山に登ったという者は少ない。若ぶな山は周囲からも良く望むことができ、その山頂からも周囲の展望が広がっている。登山コースとしては、大里峠からの山スキーという方法もあるが、スキー場のリフト終点から踏み跡があるので、これを辿るのが簡単な方法である。
 蛇崩山は、新潟と山形との県境近くの、荒川沿いの越後金丸の背後に屏風のように切り立った山肌を見せる山である。荒川は、この山にぶつかって迂回しており、狭い川岸を通る国道を走り抜ける時、この山は、頭上から崩れ落ちてこないかと思わんばかりに、迫ってくる。
 新潟は、日曜日もまずまずの天気になり、昨日に続いて山に誘われることになった。まずは、飯豊連峰前衛の若ぶな山をめざした。ここのスキー場には何度か通ったことがあったが、山には登ったことが無かった。スキー場は閉鎖され、スキー客用の駐車場も入り口に鎖が掛けられていた。スキー場の右手に、ゲレンデの上部に向かう林道があった。大里峠への道を右に分けて、この林道に進むと、少し上った所で鎖で閉鎖されていた。その先がゲレンデであったので、少し高度をかせぐことができたことに満足し、脇の空き地に車を置いて歩き出すことにした。ゲレンデの中の林道は、遠回りをしていたので、初心者用のわかぶなコースを登ることにした。滑ってみるとそれ程の傾斜ではないのだが、歩くとなると、汗の吹き出てくる登りになった。ゲレンデの草は短く刈り込まれて、歩くのに支障はなかった。クワッドリフト終点近くには、家畜用の柵も設けられて、夏には牧場に使われているようであった。前方の斜面にはゲレンデが横に広がり、若ぶな山の山頂が頭をのぞかせていた。若ぶな山の左肩まで第3ペアリフトが上がっていたが、その終点めざして直接登るのは、上級者用の急斜面で大変そうであった。まず、稜線が下がってきている左寄りに登ってから、稜線伝いにリフト終点まで歩いた。このコースは、中級用の迂回コースといったところか。ゲレンデの草地には、フキノトウがのびのびと育っていた。
 第3ペアリフトの終点の後ろには、マイクロウェーブの中継塔が立ち、コンクリート丸太の階段が設けられていた。階段を上って、尾根上に踏み跡を探したが、藪が濃かった。リフト終点部かとも思って、一旦戻って様子をうかがったが、斜面を削ってできた崖には、道らしき物は無かった。結局、階段上から尾根に取り付くことにした。ツルがうるさい藪をかき分けて、リフト終点部の崖の上に出ると、踏み跡が現れてきた。入り口の藪は、不用意に山頂を目指す者がいないようにわざと残してあるものか。それとも皆は崖をよじ登っているのだろうか。地図上では、山頂までの距離はそれ程遠くはなかったが、枝をかき分けながらの歩きは、思ったよりも時間がかかった。それでも、踏み跡があるので、完全な藪こぎというわけでもなかった。山頂近くなって、残雪も現れて、楽に歩くことができるようになった。山頂部は、雪が融けて、三角点が頭をのぞかせていた。周囲は、少し藪っぽいものの、良い展望が広がっていた。若ぶな山から大里峠への稜線は、いくつかのピークが間にあって、辿るのは容易ではなさそうであった。その先には、杁差岳を中心とする飯豊連峰が真っ白な姿を見せていた。荒川の対岸の朝日前衛の山では、頭布山がひときわ白く、険しい姿を見せていた。西には、朴坂山と高坪山、その間には日本海、の眺め。山々に囲まれ、楽しめる眺めであった。
 次の山として考えていた、荒谷沢をはさんで向かい合う蛇崩山は、山頂から少し下った所で眺めることができた。蛇崩山は、麓からだと屏風の用に切り立った崖を巡らした山であるが、若ぶな山からだと、細長く続く山頂を見下ろすことができ、こちらからの方が、名前に相応しい形に見えた。枝を掴みながら尾根を下っていくと、すぐにゲレンデに戻ることができ、ひと息ついた。ゲレンデからは、葡萄鼻山が目の前に大きく望むことができた。登りたい山が、ここにも。
 続いて、蛇崩山に向かうことにした。蛇崩山は、松本氏によって、道と山頂小屋があることが報告されていた。頂上部には雪崩防止柵があり、別な道があるのではという疑問が投げかけられていた。越後金丸駅付近は道路の幅に余裕が無く、交通量も多いため、まず、金丸大橋から旧道に下りて、橋の下の空き地に車を止めた。別な道は無いかと山の斜面を眺めながら周辺を偵察すると、旧道の橋に向かい合う尾根に踏み跡が続いていた。試しに登ってみると、少し上の杉林の中で、踏み跡は消えてしまった。結局、別な道は見つからず、松本氏の報告したルートを辿るしかないようであった。ただ、日当たりの良い尾根は、カタクリやキクザキイチゲが満開で、あたり一面を埋め尽くしているのを見物できたので、無駄足にはならなかった。
 いささか余計な時間を費やしてしまったが、蛇崩山に向かって出発した。金丸大橋の下の空き地から杉林の中に入る踏み跡があり、すぐ先で小規模な送電線の下に出たので、これを左の越後金丸駅方面に進んだ。米坂線の線路に沿って進むと、前瀬橋の前に、堰堤の設けられた小さな沢があり、これを越すと再び小さな沢に出て、この手前で、踏み跡が来た方向に戻るように山に向かって分かれた。この踏み跡は少し判り難いので、電柱番号105号を目標にすると良いであろう。注意深く踏み跡を辿って杉林の中を登っていくと、先に越してきた沢の右岸の尾根に出て、その上で再び杉林の中のつづら折りの登りになった。藪をかき分けるわけではなく、しっかりした道がついてはいるものの、枯れ草で覆われ気味で、道を見失わないように注意を払う必要はあった。杉林を過ぎてブナの大木のめだつ林に入ると、傾斜は次第にきつくなった。国道と荒川の眺めは遠くにはならず、下に見え続けた。麓近くの杉林の中には、大きな岩が転がっていたが、山頂近くになると岩場も現れて、ここらから落ちていったもののように思えた。岩場近くの急な斜面には丸太階段が設けられ、左の尾根に向かっての登りになった。残雪の下からは、固定された鎖も顔をのぞかせていたが、鎖場という程のことはなかった。雪崩の防止柵が現れると、右手に方向が変わり、ようやくきつい登りも終わって山頂に到着した。
 山頂部には雪崩防止柵の列が続き、その先に小屋が現れた。帰りにのぞくと、中にはストーブが設けられ、薪や土木作業の道具が置かれていた。JRのり面除草作業計画などといった書類も転がっており、JRの小屋のようであった。鍵もかかっていないし、しっかりした小屋なので、非常の場合には役に立ちそうであった。小屋の前は、残雪が残る枯れ草の小広場になていた。へりで資材を運搬した際の、荷下ろし場であったのかもしれない。この広場が山頂かと思って三角点を探したが、見あたらなかった。再び地図を確認すると、もう少し先のようであった。踏み跡を先に進むと、少し小高いところの藪の中に、頭を赤いペンキで塗られた三角点があった。三角点周囲は藪に囲まれていたため、小屋の前の広場に戻って、休むことにした、頭布山をはじめとする、荒川対岸の山々の眺めが広がっていた。
 蛇崩山は、急斜面の登りがあるだけ、登頂後の充実感をあり、また途中の美しいブナ林など、楽しめる山であった。登山道もあり、もっと登る者がいても不思議は無い山である。


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