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土倉山、引入沢山

1999年4月4日 日帰り 単独行 晴

土倉山 つちくらやま(624.7m) 三等三角点 飯豊連峰前衛(新潟県) 5万 津川 2.5万 津川
ガイド:片雲往来 阿賀北の山々、新潟の低山薮山

引入沢山 ひきいれさわやま'(460.9m) 三等三角点 津川周辺(新潟県) 5万 大日岳 2.5万 日出谷
ガイド:無し

4月4日(日) 6:40 新潟発=(磐越道、津川IC、R.459、鹿瀬、角神、草倉林道 経由)=8:12 伐採地の下〜8:17 発―8:41 東の肩―8:58 土倉山〜9:03 発―9:17 東の肩―9:44 伐採地の下=(林道荒砥沢線、R.459、鹿瀬、深戸、林道深戸線、越戸峠、林道深戸花立線 経由)=10:50 引入沢山取り付き発―11:11 尾根上―11:48 引入沢山〜12:02 発―12:31 尾根上―12:34 南西尾根取り付き=(深戸、R.459、津川、R.49 経由)=14:20 新潟着

 飯豊連峰の大日岳の西に位置する烏帽子岳から南西に延びる尾根上には、筆塚山、大段山、棒掛山といった登山道の無い秘峰が連なっている。その末端近くで、山の険しさも無くなって高原状になった所に、三角形の頭を持ち上げているのが土倉山である。かつて、この山の南面には草倉銅山があったという。現在では、植林伐採のために草倉鉱山跡を起点あるいは終点とする草倉林道及び荒砥林道が開かれて、山頂近くまで容易にアクセスできるようになっている。
 阿賀野川左岸の福島県境近くの、津川周辺には、兎ヶ倉山を代表とするトンガリピークが幾つもあるが、黒崎山の東隣りにある引入沢山もその一つである。この山は、南北に二つのピークが並んでいるが、北峰の方が僅かに高いようで、三角点が置かれ、地図の山名はこの北峰のみをさしているようである。
 先週は、飯豊の端山の棒掛山に登ったが、予想以上に雪融けは進んでおり、あれこれ考えていた山の計画にも変更が生じてきた。そろそろ林道も開通していそうなので、土倉山をめざすことにした。土倉山の登山コースとしては、北面の新谷林道から雪を利用して登った記録(片雲往来 阿賀北の山々及び新潟の低山薮山)や登山メーリングリストの友人の鈴木眞さんによる南面の草倉鉱山跡から登った記録があるが、林道を車で上がれるならば、南面からのアプローチの方が短そうであった。
 青空に残雪を纏った山々が浮かび、春を感じさせる陽気になった。角神から眺める棒掛山も、先週と比べて、めっきり雪が少なくなっていた。角神から草倉鉱山跡という標識に従って左折し、清川に抜けるらしい林道に入り、なだらかな稜線近くまで上ると、右に草倉林道が分かれた。ここからは未舗装の林道になり、入口には、パイプのゲートが倒れていた。土倉山の登山は、この林道を通ることができるかどうかがまず第一関門であった。日陰の部分では残雪も現れたが、除雪済みであった。ほとんど高低差の無いままに、林道はうねうねと続いていった。途中で、道がえぐられて、タイヤを落とすとスタックしそうな所があった。車を下りて偵察すると、土倉山までは、歩くにしても距離があり、脇をなんとか通り過ぎることができそうであった。慎重に通過すると、幸い後は問題の無い道が続いた。土倉山の下部に出て、取り付き部を考えながら進むと、舗装道路に変わり、そこには林道荒砥沢線という標識が立てられていた。尾根を巻いて荒砥沢に下ると、草倉鉱山跡の標識が現れた。
 現在位置を確認し、取り付き部を考えた。鈴木さんは、草倉鉱山跡の遊歩道から村界尾根に登っているが、通り過ぎてきた舗装道路開始部付近には、伐採地が広がり、ここからの方が標高差も少ないし、楽に歩けそうであった。車を戻して、尾根を回り込んだ所の伐採地の下部に車を停めた。良く見ると、伐採地の上部に向かって、古い作業道が続いていた。土倉山の山頂は見えなかったが、ここから取り付けば良さそうであった。
 登り始めるとすぐに、小さな沢を左に渡った。伐採地の中をジグザグに続く作業道をショートカットしながら登っていくと、左手の尾根に登り着き、土倉山の山頂が目の前にせまってきた。伐採地は、東の肩部まで広がっており、右手の尾根に沿って進めば、容易にそこまで到達できそうであった。伐採地は、木の枝が積み重なり、歩きにくかったが、薮漕ぎよりは遥かに楽であり、残雪を拾いながら歩くこともできた。
 東の肩部に到着してひと息いれた。山頂に向かっては、残念ながら、踏み跡は無かった。伐採地を振り返ると、御神楽岳、鍋倉山や日本平山、菅名山塊等が白く輝いていた。伐採によって展望が開かれていることには抵抗を感じないわけでは無いが、そのおかげで素晴らしい眺めであった。
 ここからは、いよいよ薮漕ぎの開始になった。なかなか手強い薮漕ぎで、体を斜めにしてすりぬけたり、稜線部に連なる杉の根を足がかりにしたりで、一歩ずつ足を進めるしかなかった。長く感じた薮漕ぎの後に到着した土倉山の山頂は、木立に囲まれて見晴らしは無く、頭を出している三角点のみが、登頂のご褒美であった。
 車に戻った後、来た道を戻るのも芸が無いし、林道荒砥沢線が舗装されているのにひかれて、この道を下ることにした。道路地図には、この林道は記載されていないが、R.459のどこかに出るはずであった。草倉鉱山跡を過ぎて下っていくと、未舗装に変わり、だまされたという気持ちになった。路面の荒れたところもあり、先の林道とたいして変わらない状態であった。結局、林道は大きく迂回し、角神温泉先の荒砥沢にかかる鉄橋の右岸でR.459に飛び出した。
 角神のダムサイトの駐車場でひと休みし、次の山として、引入沢山に向かうことにした。引入沢山は、津川周辺のトンガリピークの中でも良く目立つ山である。1997年9月に黒崎山に登った際に、越戸峠手前から林道が分かれ、引入沢山の下を通り過ぎているのを見た。引入沢山の偵察に林道を進んだが、登山道らしいものは見つからないままに、南のピークを過ぎた先で工事のために林道は不通になっていた。引入沢山は傾斜があるが、西に尾根が張り出しており、この尾根の末端部は林道と平行に走っている。この尾根にどこから取り付くかが問題であった。林道深戸花立線に入って、左手の尾根を見上げながら車を進めた。送電線の巡視路があったので登ってみたが、尾根上には道らしきものは無かった。ここからだと、小ピークを越して、引入沢山の取り付きまでは少し距離があるため、一旦車に戻ることにした。南西の尾根を巻くように林道が南に方向を変える手前で路肩が広くなっており、西に延びる尾根は、すぐ近くまで高さを落としていた。尾根までの間に広がる林も間隔が開いて、歩くのに支障は無さそうなんで、ここから取り付くことにした。
 切り通しの高さの低い所から林に入ると、踏み跡らしきものがあり、容易に尾根の上に出ることができた。尾根の反対側の斜面には杉の植林地が広がっていた。尾根の上には、明瞭な踏み跡が続いていた。引入沢山に向かうと急な登りになり、岩場が現れた。道路も下に見え、転落に要注意であった。歩く者が少ないためか、岩角がはがれて乗っている所もあり、慎重に通過した。岩場を過ぎると、僅かに下った後に、山頂めざしての急な登りが始まった。幸い、踏み跡は細いながらも続いてくれて、薮漕ぎの部分は僅かであった。山頂近くで踏み跡は消えたが、最高点めざして進むと、薮を刈り払った小広場が現れ、その中に三角点が頭をのぞかせていた。山頂の回りは潅木で囲まれていたが、北面は窓を開けたように木立が切れて、棒掛山が顔をのぞかせていた。先週歩いた杉林から南尾根を目で辿ることができた。引入沢山は、低山ではあるが、それなりの楽しさを味わさせてくれる山頂であった。山頂を越して南峰に向かって踏み跡はあるかと捜してみたが、ここまでのようであった。南峰には、ここからでは距離もあり、送電線の抜けている南東尾根から杉林の中をたどるべきかもしれない。もっとも、名前が判らないと登る気にはならないのだが。ここまでの踏み跡は、村界尾根という訳でもないので、測量のためのものであったのだろうか。踏み跡が付く程、登山者がいるとは思えない山である。黒崎山にも登山道が計画中であるとか。引入沢山だって、せっかく踏み跡があるのだから、ほっておくのはもったいないことである。


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