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雨乞立、臥牛山、諸上寺山

1999年2月28日 日帰り 単独行 雪

雨乞立 あまごいだて(247.3m) 二等三角点 山北(新潟県) 5万 温海 2.5万 鼠ヶ関
ガイド:新潟の低山薮山(白山書房)

臥牛山 がぎゅうさん(135.0m) 三等三角点 村上(新潟県) 5万 村上 2.5万 村上
ガイド:ふるさとの散歩道(新潟県観光協会)、新潟県森林浴の森100選(新潟日報事業社)

諸上寺山 しょじょうじやま(73.4m) 二等三角点 村上(新潟県) 5万 村上 2.5万 村上
ガイド:ふるさとの散歩道(新潟県観光協会)、新潟の低山薮山(白山書房)

2月28日(日) 7:20 新潟発(R.7、蓮野IC、R.113、荒井浜、R.345、村上、R.7、府屋、新中浜踏切、集落林道大須川線 経由)=9:45 峠先の路肩スペース〜9:55 発―10:58 雨乞立東の峠―1013 鞍部―10:23 雨乞立〜10:30 発―10:35 鞍部―10:47 林道分岐(集落林道大須川線終点の標柱)―10:56 雨乞立東の峠―11:00 峠先の路肩スペース=(集落林道大須川線、新中浜踏切、R.7、村上 経由)=12:20 臥牛山登り口―12:34 臥牛山〜12:45 発―13:00 臥牛山登り口=(瀬波温泉 経由)=13:25 諸上寺山公園駐車場―13:29 諸上寺山―13:32 諸上寺山公園駐車場=(R.345、荒井浜、R.113、蓮野IC、R.7 経由)=14:54 新潟着

 雨乞立は、県北の山形との県境線近くに位置する山である。新潟と山形を分ける県境線は、朝日連峰から、鼠ヶ関川と小俣川に挟まれた山地を経由して西に向かい、鼠ヶ関で日本海に終わっている。この県境線には、芋沢山や日本国といったピークがあるが、雨乞立は、この県境線から南西に派生した枝尾根が日本海に終わるところにある山である。
 村上市内にそびえる小高い岡が、臥牛山であり、地元ではお城山と呼ばれている。この山には、かつて、舞鶴城とも呼ばれた村上城が築かれていた。戦国時代、本庄繁長が城郭を構え、次いで村上義明、堀 直よりらが増築したが、江戸時代初期の元和4年(1618)、藩主となった直よりによって天守閣が設けられ、さらに城下町も整備されて城としてとしての形を整えた。寛文3年(1663)、松平直矩の時に作り替えられた三層の天守閣は、1667年落雷によって消失し、その後再建されなかった。享保5年(1720)年以降は内藤氏5万古石が領したが、戊辰戦争の際に、村上を撤退した藩兵によって城に火が放たれて消失したという。現在は、苔蒸した石垣によって往時を偲ぶだけであるが、城山であったため、周囲には古くからの自然が良く保たれており、新潟県森林浴の森100選にも選ばれている。西斜面は落葉広葉樹林帯が広がり、本州ではもっとも低い場所に自生するブナ林という。
 諸上寺山は、瀬波温泉の背後の岩船港の河口部にのぞむ山である。山頂一帯は公園化が進み、山頂近くまで車道が上がっている。

 登った山の記録を北からまとめている関係で、このところ県北の山に目が向いている。昨日は、悪天候の中のつかの間の晴天を利用して六万騎山に登り、ともかく登山成立としたが、日曜日は冬型が強まって寒い日になりそうであった。時間のかかる山には登れそうもなかったため、県北部で気にかかっていた雨乞立に登ることにした。
 いつもと変わらないような時間に起きて出発したが、郊外に出ると、道路には凍結している所も見られるようになった。強い風も吹いていた。府屋駅を過ぎた大川の河口部から、横に大きく広がり、小さいならが尖って目立つ山頂を持った雨乞立が目に入ってきた。河口部から山頂に向かって尾根が延びており、このルートも魅力的には見えたが、距離が長いのと、0m近くから登るのが難点であった。新潟の低山薮山にも書かれている、東に回り込む林道を使うことにした。新中浜踏切で羽越線をくぐると、車道は、畑の広がる段丘上に上っていった。右手前方より、雨乞立の山頂が近づいてきた。畑地の上部には、集落林道大須川線終点の標柱が立っていた。ここからは、右手にも林道が分かれて、その入口にはブルドーザーがとめられていた。舗装された車道が続き、除雪もされていたので、車で行ける所まで上がることにした。この分岐の先で、地図にもあるため池が右手に現れた。車道はさらに上がり続け、峠状の切り通しを越して、緩い下りになった。車の方向転換が出来るだけの道幅が無かったため、少し先の路肩スペースまで進むことになった。
 周囲の雪は少なかったものの、一応、ワカンを持って歩きだした。少し戻って、峠から稜線通しに歩き始めた。杉林の中は、下生えも少なく歩き易かった。小さなピークを越して、倒木をまたいだりしながら進んだ。杉林の中には、作業道なのか、所々道型が現れた。緩やかに右に方向を変えながら歩いていくと、小ピークの上に出て、雨乞立の山頂が目の前に迫った。どうやら、雨乞立の東に位置する小ピークのようであった。ここから鞍部にかけては、狭い稜線上に密に杉が植林されて、枝をかきわける必要があった。枝には昨夜からの雪が積もっており、たちまち頭から真っ白に雪をかぶることになった。鞍部からは、山頂めざしての一気の登りになった。山頂近くなると伐採地が広がり、足元に転がる木の枝に注意を払う必要も出たが、南方面の展望が広がった。台地状の山頂に上がって、三角点はと捜すと、日本海よりのやぶっぽい木立の中にあった。台地の南の縁に移動して展望を楽しんだ。大久保山は、目の前に。日本海の白波が、長く続いていた。蒲萄山塊で目につくピークは烏帽子岳であろうか。東には日本国が高くそびえていた。伐採のおかげで、眺めの楽しめる山頂になっていた。
 山頂を後にして下っていくと、左手の杉林の中に林道らしい白いラインが鞍部近くまで上がってきているのに気が付いた。登りに使ったルートも、そう悪くはなかったが、林道があるとなると、無視するわけにはいかなかった。時間もあるし、この林道がどこに続いているのか確かめることにした。林道は、雨乞立の山頂を巻くように、北西に緩やかに下っていった。このままの方向だとまずいなと思う頃、T字路に出て、右手に林道が分かれた。きっと先に見たブルドーザーのとめられていた林道に違いないと思い、歩き続けた。結局、この予想は当たっており、無事に車道に戻ることができた。車の回収のために、余計な車道歩きが必要になったが、それ程遠いわけでもなかった。
 結局、雨乞立の一番楽な登り方は、次のようになる。畑地の最上部に位置する集落林道大須川線終点の標柱の所から、右手に分かれる林道に進む。林道は、一旦下りになるが、トラバース気味に進んで行くと、T字路に出る。ここを左折し、緩やかに登っていくと、雨乞立の山頂が右上に迫ってくる。林道終点から少し進んだ所が、東の小ピークとの鞍部であり、ここからかすかな踏み跡をたどって、山頂めざしてひと登りする。林道は雪が無ければ、車も入れそうであったが、歩いても20分程である。
 山を下りて、日本海沿いの国道に戻ると、波打ち際は白く泡立ち、霧状になった飛沫が流れ、浪の花が風にまっていた。海は大荒れであった。風が強いために、家に向かって車を走らせ、時間も早いので、村上の臥牛山によっていくことにした。村上付近を通過する際に、何度ともなく眺めてきた山であるが、あいにくとまだ登っていなかった。お城山の登り口に車をとめた。入口に登山禁止の立て札が置かれ、通ってよいものやら躊躇したが、犬の散歩の女性が下りてきたので、先に進むことにした。七曲がりと呼ばれる頂上への道は、登城といった感じで幅も広く、歴史を感じさせてくれた。周囲の木立には大木も混じり、気持ちの良い道であった。途中で大木が道に倒れかかり、くぐる所があったので、これが通行禁止の理由だと、納得した。張り紙をするくらいなら、さっさと撤去すればよさそうなものだが、史跡とあっては、木を除くのにも、いろいろ手続きが大変なのだろうか。坂を上りきって山頂部の台地に出ると、四ツ門の石垣が現れた。苔蒸した石垣にそって坂道を上っていくと、なぜか荒城の月を思い出してしまった。九州の祖母山に登った際によった、滝廉太郎ゆかりの岡城も大規模な石垣をめぐらしていたが、この舞鶴城だって、こぶりながら風情がある。いつかこの城跡で月見の宴を行ってみたいものだが。天守跡の山頂には展望磐も置かれて、村上市街から日本海、蒲萄山塊が目の前に広がっていた。とりわけ、三角形の下渡山が目をひき、登山道をパノラム図風に眺めることができた。展望を楽しんでいる間にも、何人かの人が登ってきて、そのまま下山していった。どうも、地元の人から健康登山の場として親しまれているようであった。
 帰りがけに、二等三角点の置かれている諸上寺山に寄っていくことにした。瀬波温泉の新潟よりに、諸上寺公園の看板があり、坂道を上っていくと、山頂部の駐車場に出た。展望台の横を過ぎて、広場の奥の高みに向かうと、観音像の前のコンクリート敷きの中に三角点が頭を出していた。通常の三角点の設置法とは違っているので、この一帯に三十三観音を配置した者が、三角点までコンクリートで固めてしまったようである。標識を移動させたのでなければ、測量法に違反するかどうか微妙なところであるが。広場には、中部北陸自然歩道「諸上寺・三十三観音 環境庁」という標識も立てられていた。自然歩道は、諸上寺から道玄湖に延びているようである。各地で自然歩道を見たが、新潟周辺にも整備の手が及んできたようである。歩くコースが整備されるのは良いが、コンクリートや丸太で固められた遊歩道作りで、必ずしも賛成する訳にはいかない自然歩道である。情報を集める必要がある。山頂広場からは、白く泡立つ日本海を見下ろすことができ、海鳴りがとどろいていた。風は冷たく、早々に車に退却した。


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