9909

兎平

1999年2月13日 日帰り 17名グループ 雪

兎平 うさぎだいら(683.6m) 三等三角点 菅名山塊(新潟県) 5万 津川 御神楽岳 2.5万 馬下、高石
ガイド:片雲往来 PARTIII阿賀南の山々 p.43〜50

2月13日(土) 6:10 新潟発=(R.49、茅野山IC、R.403、兎谷、萩曽根、村松、笹目 経由)=7:20 電気橋たもと〜7:40 発―10:35 兎平―11:04 725点―11:21 兎平―13:02 電気橋たもと=(往路を戻る)=14:50 新潟着

 新潟周辺でも人気の菅名山塊には、多くの登山道が開かれているが、それらは新潟平野よりの西面に集中しており、東面は、大きな空白状態になっている。その中にあって、地図を見ると、菅名山塊南部の笹目の集落近くから北東に続く長い尾根が延びて、登山道を示す破線が記されている。この破線は、683.6m三角点付近に広がる台地で終わっているが、この一帯を兎平という。兎平は、いかにも兎が遊んでいそうなのどかな名前に相応しく、積雪期には広大な雪原が広がっている。現在は、この破線の道は薮で荒れており、積雪期でないと容易にはたどれない道になっている。兎平の先の725点で尾根は北西に向きを変えて三五郎山と風越山の中間部の稜線に突き上げており、兎平は菅名山塊縦走にあたっての東面からの入口のあたっている。
 今年は兎年であるが、兎の字にちなんだ山は、新潟周辺には、光兎山、兎ヶ倉山、兎岳、小兎岳、それにこの兎平がある。兎年生まれとしては、まだ登っていない兎平に、今年は是非とも登りたいところであった。峡彩ランタン会の2月の会山行として、兎平から咲花への菅名山塊縦走が取り上げられ、兎平までの日帰り組も組まれることになったので、参加させてもらうことにした。
 前夜の天気予報では、寒気団が南下するとのことで、日本海側に暴風雪警報が出されていた。朝起きると、降雪はそれ程無かったものの、風が強く、路面は凍結していた。こんな天気でも縦走をするのだろうか、いや出かけるだろうなという、半信半疑の状態で、集合場所に向かった。出発にあたっての集会では、外に立っているだけでも凍える寒さにも拘わらず、当然のように山に向かうことになった。登山口に向かう途中も時折地吹雪がみまう状態であった。前日からの降雪はほとんど無かったのが救いというべきか。笹目の集落を過ぎて、早出川を左岸から右岸に横断する電気橋を渡った先の脇道に車を停めた。
 取り付き地点は林道奥かと思ってワカンを履いて出発準備を整えたら、今回は、橋の方に少し戻った小沢から取り付くことになった。おかげで、除雪されて雪の無い道路の上をワカンを履いて、よちよち歩くはめになってしまった。道路の脇のコンクリート壁の裏側に入ると、水の流れる小さな沢があり、その左岸の草付きから登り始めた。急斜面の登りで、足元の雪のステップを崩さないように注意が必要であった。ひと登りすると尾根上に出て、杉林の中の登りになった。はっきりした尾根になっていないため、事前に付けられている赤布が頼りの歩きになった。昨年来、会員による偵察山行が何回か行われているようであった。それでも、杉林の中で向きを変えるところもあり、日帰り組の帰路確保用に、赤布を足しながら登った。雪は締まってきており、先頭にたってのラッセルでも膝下程度であった。山陰の杉林の中にいるためか、風もそれ程強くなかった。
 杉林のはずれ近くでひと休み。その先の伐採地跡なのか、潅木の枝が少しうるさい地帯に入ると、権現山が目の前に広がった。尖った山頂が印象的で、山頂下のカール状の谷も良く眺めることができた。権現山からもこの兎平への尾根を良く眺めることができたから、双方が目の前に見えるのも当然ではある。前方には、平たい三角形をした兎平を眺めることもできた。まだ、登りを頑張る必要がありそうであった。傾斜も少し強くなり、雪も次第に深くなり、また風も強まってきた。潅木帯で二回目の休憩。リーダーより、防寒態勢を整えるようにという指示があった。杉林の中では暑くなってフリースのセーターを脱いでいたが、再び着込み、目出し帽の準備もした。この間、手袋を外して作業をしていたら、たちまち指先がかじかんでしまった。
 潅木帯を登り切ると、広い雪原が広がり、そこが兎平であった。広い台地の先から尾根は左に曲がり、菅名山塊の主稜線に続いていた。風が強く、視界は時折白く閉ざされた。台地の縁近くの潅木にテープが付けられ、この下に三角点があるという。一応の日帰り班の目標地点までは達することはできたものの、台地の先の725点まで進むことにした。雪原の雪はある所では深く、またある所では凍って全く潜らない状態であった。突風が吹いてくると、足を停めてやりすごす必要があった。長く延びた列の脇を、白い兎が飛ぶかのように通り過ぎていった。吹く風の早さにも似た一瞬の出来事であった。兎平の名は、やはり兎が沢山いるためなのだろうか。
 725点で、尾根は大きく方向を変える。次第に高くなっている尾根の先の主稜線部は雲に隠れていた。稜線部は、かなり厳しそうな気象状況であった。天気が良ければ、三五郎山あたりまでついていくこともできるが、この天候とあっては、日帰り4名はここから引き返すことにした。10数名が歩いてしっかりと付いたはずのトレースは早くも消え始めていた。コースアウトをして引き返すわけにはいかない天候のため、次の赤布を確認しながらの歩きになった。右前方から風を受けて、顔も痛くなってきた。風当たりの弱くなった所まで下って、昼食のための小休止にした。ザックの中のビールは充分に冷え切っており、ラッセルで乾いた喉にはうまく感じた。杉林に入れば、風も和らぎ、気楽な雪道の歩きになった。最後の取り付き部は、草付きの上の雪がはげかかって滑りやすく、後ろ向きになって慎重に下る必要があった。
 下りの途中で、暖かいラーメンを食べたいという話が出て、五泉近くの地元で評判のラーメン屋でチャーシューメンを食べてから新潟に戻った。平野部では青空ものぞいていたが、菅名岳の山頂部には雲が流れ、厳しい状況が続いているようであった。

山行目次に戻る
ホームページに戻る