9904

真木山

1999年1月24日 日帰り 単独行 晴

真木山 まぎやま(542.2m) 三等三角点 五頭山塊(新潟県) 5万 新発田、2.5万 天王、上赤谷
ガイド:片雲往来 PARTIII 阿賀北の山々 p.219〜236、ランタン通信193号

1月24日(日) 8:00 新潟発=(R.7、豊栄、月岡、R.290、荒川、林道新発田南部線 経由)=9:00 ゲート〜9:10 発―9:38 尾根取り付き〜9:45 発―10:27 真木山山頂〜11:02 発―11:22 尾根取り付き―11:48 ゲート=(林道新発田南部線、荒川、R.290、出湯、水原、R.49 経由)=13:25 新潟着

 新潟市に近い五頭山塊は、学校登山あるいは日帰りハイクとして、人気のある山である。しかし、登山者で賑わうのは、菱ヶ岳から五頭山を経て松平山の間と、南の端の宝珠山くらいのもので、大きな山塊のかなりの部分が一般の登山の対象からはずれている。真木山は、五頭山塊北部の山であり、稜線上のあまり目立たないピークであるが、三角点が置かれている。五頭山塊が、加治川に向かって高度を下げていく中で、地形図にその名前が記載されている500m級の最後の山になっている。
 真木山は、登山道の無い山である。一般的な登山コースは、残雪期をねらって、松岡の集落から林道を辿り、真木山の北西尾根に取り付くというもののようである。上村氏の報告では、スキーを利用して、登りに4時間を要している。ところが、ランタン通信に出た小島氏の報告では、この尾根の途中を工事中の林道が横切っているという。添付の地図を見ると、この林道の横断点からなら、真木山の山頂まではひと登りのようであった。少々大回りでも、スキーでも使ってこの林道を辿った方が楽だし、安全かなと、真木山へのアプローチのためにこの林道のことを記憶に留めた。
 雨の土曜日に、五頭山塊周辺の真光寺山と権現山を登って、山は終わりにした。時間も早く、岳岡山の偵察でもすることにした。岳岡山の南の車道に回り込んだところで、この道は、工事中の林道新発田南部線、別名ふるさと林道に続くことを思い出した。小島氏の報告によれば、松岡から真木山へ登る尾根を途中で横切るという。道路の雪も少ないので、どこまでこの林道を進むことができるか、確かめることにした。舗装道路が続き、谷間に入った所で、剣龍峡という、案内板やトイレにあずま屋も設けられた、遊歩道が現れた。林道は、谷を離れて高度を上げるようになったが、車のすれ違いも問題の無い良い道が続いた。道路は除雪がされており、除雪後に残された数センチの雪も、轍が付いているのと、暖かい気温でグズグズになって、車の運転に支障は無かった。どこまでこの林道は続くのだろうと思う頃、鎖が掛けられたゲートに出た。松岡側の谷には入っていないので、真木山から395ピークに続く尾根の手前のようであった。ここから車道を歩いて、真木山への尾根に取り付けば、後はたいした登りはなさそうであった。さっそく山頂を目指したかったが、雨が本降りになったのと、山頂部が記されている上赤谷の地図を持ってこなかったので、今回は諦めるしかなかった。林道は、工事のために除雪を行っているようで、春の早い季節から車の走行も可能になりそうであった。そうなれば、残雪を利用して、真木山から折居山を目指すこともできるかどうか。登る作戦を考えながら、家路についた。
 晩の天気予報によれば、北から高気圧が張り出して、日曜日は、晴との予報が出た。このチャンスを生かさない手は無く、真木山に登ることにした。
 日曜日は、山に行くにもかかわらず、いつもと同じ様な時間に起きてゆっくりと出発した。林道には、雪融け水が流れており、早朝は凍結している恐れがあった。豊栄に近づくに連れ、少し霞んだ五頭山塊や二王子岳の眺めが広がり、春を思わせる陽気になった。昨日も走った林道に入ると、日陰では路面は凍結しており、最徐行の運転になった。幸いガードレールもきちんと整備されており、重大事故に陥る心配は無かった。ゲートの手前に車を止めて歩き出す用意をした。ここの標高は、およそ350mであった。
 ゲートの鎖をまたいで越して、ほとんど水平に延びていく林道を辿った。395mピークに続く尾根を越し、松岡川の支流を巻くと、林道工事の作業小屋が現れた。資材置き場やトイレに水道も設けられていた。その先に見える切り通しの付けられた尾根が、真木山へ延びる尾根のようであった。手前は、尾根に向かって急斜面になっていたので、付近の地形の確認も兼ねて、先に回り込んでみた。こちらの方が緩い登りで、尾根に取り付くことができた。前方の尾根には送電線も走っており、この尾根に間違いは無さそうであった。ここの標高は、450m。林道歩きで100mかせぎ、後は山頂まで100mの登りにしかすぎない。
 ここからは、ワカンをつけての登りになった。雪の表面は少し硬いものの、中は昨日の雨と暖かさのためにグズグズで、一歩毎に膝上まで潜ってしまった。尾根に上がって、潅木の枝を避けながら進み、小さなこぶから一旦下ると、山頂めざしての急な登りになった。カモシカのトレースが付いていたが、行き先は違っていた。潅木の枝を嫌って、白く見える雪原のラインをねらったが、かえって雪が深かったのかもしれず、一歩ずつもがきながらの登りになった。傾斜が緩くなって潅木を払いながら登っていくと、真木山に到着した。
 幅の狭い真木山の山頂は、潅木で覆われていたが、雪で一段高くなっているため、周囲の展望が開けていた。稜線の南には、折居山が大きくそびえていた。雪の締まった残雪期なら、日帰りで往復するのもそれ程難しくはなさそうであった。西には蒜場山から飯豊連峰、二王子岳の展望が広がっていた。西の斜面を見下ろすと、くすんだ色をした日本海が空に溶け込んでいた。ひさびさの青空のもと、雪の上に腰をおろして、展望を楽しんだ。
 下りは、雪に埋もれるのは同じでも、登りと違って体力的には楽であった。あっさりと林道に下りたつことができた。この林道を使えば、五頭山塊北部の主稜線に短時間で立つことができる。あまり注目されることの無かった五頭山塊北部の山にも、光が当たるようになるのだろうか。

山行目次に戻る
ホームページに戻る