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大谷山、花見山、鳴沢峰

1998年11月14日 日帰り 単独行 曇り時々雨

大谷山 おおたにやま(660m)
花見山 はなみやま(649.1m) 三等三角点
鳴沢峰 なりさわみね(880.1m) 四等三角点
  菅名山塊(新潟県) 5万 新津、津川 2.5万 馬下
ガイド:LATERNE No.3 p.324-326、登山メーリングリストにおける鈴木眞さんの報告

11月14日(土) 6:30 新潟発=(R.49、馬下橋 経由)=7:20 馬下保養センター〜7:50 発―9:01 沢渡渉点―8:13 第一の鉄塔(鹿新幹線No.68)―8:34 第二の鉄塔(飯豊幹線No.8)―9:19 第三の鉄塔―9:27 鹿返道―9:30 大谷山―9:44 花見山〜10:04 発―10:23 大谷山―10:25 鹿返道―10:45 小山田分岐―11:00 鳴沢峰〜11:15 発―11:22 小山田分岐―11:44 鹿返道〜12:00 発―12:04 第三の鉄塔―12:28 第二の鉄塔―12:43 第一の鉄塔―12:52 沢渡渉点―13:00 馬下保養センター=13:20 小山田彼岸桜駐車場―13:40 稜線あずまや―13:45 第一の鉄塔―13:56 第二の鉄塔―14:10 分岐―14:30 花見山〜14:35 発―14:47 分岐―14:54 第二の鉄塔―15:01  第一の鉄塔―15:05 稜線あずまや―15:18 小山田彼岸桜駐車場=(馬下保養センター入浴(400円)後往路を戻る)=17:25 新潟着

 阿賀野川左岸に広がる菅名連峰は、新潟市内からも良く眺めることができるが、とりわけ目を引くのは、左に位置する鳴沢峰の鋭鋒である。この鳴沢峰から西に延びる尾根上に、大谷山と花見山というピークがある。地図上にも名前が記載されておらず、また背後の主稜線に目がいって見落としやすいピークであるが、花見山には三角点が置かれている。最近までは、送電線の巡視路を利用し、ヤブコギでようやく立つことのできたこのピークにも、現在では登山道が切り開かれている。
 馬下保養センターから鳴沢峰に登る途中から、花見山に道が切り開かれているという情報を登山メーリングリストを通じて、鈴木眞さんから教えてもらった。さらに花見山から西に延びる尾根にも道が付けられているが、どこに通じているのだろうという疑問がなげかけられた。山形の倉手山に出かけるつもりで家を出たところ、雷がなって雨が降ってきたため、飯豊の展望は無理と行き先を変えることにした。ちょうど良い機会と、気になっていた大谷山に出かけることにして、家に戻って山の資料を入れ替えて再出発した。毎度、山の後の温泉でお世話になっている馬下保養センターの駐車場に到着したのと同時に激しい雨になり、しばらく様子見をした。けっこう前に、駐車場の奥に鳴沢峰登山口という標識があるのを見つけていながら、このコースをまだ歩いていないのが気にかかっていた。車の中で朝食をとっているうちに雨がやんだので、出発することができた。杉林の中を緩やかに登っていくと、左手から沢が近づいてきた。菅名山塊の北部一帯には、送電線が何本も通っているため、巡視路も何本も枝分かれした。沢を左にまたぎ越すと、急な階段登りが始まった。尾根にたどり着いてやれやれと思うと、道は下りに転じ、小さな枝尾根を3本ほど越していくトラバース道になった。足が止まりそうになる急斜面を登り終えると送電線の鉄塔下に出て、まずは始めの休止になった。汗をふきながら振り返ると、新潟平野が大きく広がっていた。傾斜は少し緩やかになり、ナラやブナの潅木で囲まれた気持ちの良い尾根道になった。黒い雲が通過すると雨粒がパラついてきたものの、雨具を付ける程ではなく、傘のみで歩き通すことができた。第二の鉄塔を過ぎて第三鉄塔を目指していくと、前方に、丸みを帯びた大谷山と右に少し低い花見山の連なりが目に入ってきた。登山道は、一旦大谷山に上がってから、左手に方向を変えて鳴沢峰に向かっているようであった。鉄塔の建設予定地かと想像してしまうような整地された台地を通過すると、第三鉄塔に出た。もうひと頑張りすると山頂部の潅木帯に出て、鹿返道という大きな看板の立てられた、Y字路に出た。菅名山塊は、あちこちに鐘が設けられているが、ここにも吊されていた。鳴沢峰は、登頂意欲をそそる姿をしていたが、まだひと汗もふた汗もかく必要がありそうであった。
 まずは、今日の目標の花見山に向かうことにした。鈴木さんの情報通り、高みに向かって踏み跡が続いていた。枝をまたぎ越してから気づいたが、どうやら立ち入り禁止の印に組んだもののようであった。踏み跡をたどると、すぐに潅木に囲まれた最高点に達した。この大谷山山頂部になにか標識らしきものは無いかと思って捜したが、木の枝に古いタオルが結び付けられているだけであった。この先は、潅木帯の急な下りになった。細い木の枝が密に生えており、ヤブコギだと相当苦労しそうであったが、踏み跡に助けられて、一気に鞍部におりたった。鞍部付近は、気持ちの良いブナの林が広がっていた。登り返しは案じた程でもなく、直に傾斜も緩くなった。なだらかに広がる山頂の奥に進んでいき、両脇が切り落ちて細尾根状になった所に三角点が頭を覗かせていた。展望の良い山頂であった。眼下には新潟平野が広がり、阿賀野川の対岸には五頭山塊が大きかった。振り返ると、大蔵山から菅名岳、鳴沢峰に至る稜線がぐるりと取りまいていた。花見山は、主稜線から西に外れた位置にあるため、菅名山塊の展望台として好位置にあることが判った。それにしても気になるのは、その先の尾根に続いている刈り払い道であった。大谷山付近に比べると、しっかりした道になっていた。少し先まで下りてみたが、麓まで続いているようであった。山頂で休みながら地図を広げた。尾根の先には、小山田彼岸桜樹林があり、しかも尾根にそって送電線も走っている。送電線の巡視路か、小山田彼岸桜樹林の遊歩道にでるのであろうか。刈り払い道を下ってみたい誘惑にかられたが、車の回収がやっかいであった。後で、登り口を捜すことにして、とりあえず鳴沢峰まで足を延ばすことにした。
 来た道を戻り、大谷山へ登り返す途中で、他の登山グループが下ってくるのに出合った。まさか人に出会うとは思っていなかったので驚いたが、地元の人なら、この刈り払い道がどこに続いているのか教えてもらおうと思って声を掛けた。どうも地元の人ではないようで、そうなるとどのような情報に基づいて歩いているのか疑問が湧いてきた。最後尾の人が答えるには、登山メーリングリストの情報ということであった。驚いて、名前を尋ねると三条の飯野さんであった。予期せぬ出会いであった。鈴木さんの情報が、思わぬ出会いを作ってくれた。斜面での途中での立ち話の後、それぞれの目的地に向かった。
 鹿返道から道は一旦大きく下った後に、鳴沢峰に向かっての急な登りが始まった。落ち葉で滑りやすい急斜面を足をとめずに登り続けるには力を振り絞る必要があった。五葉尾根との分岐に出ると、その先は傾斜も少し緩やかになり、良く踏まれた道になった。振り返ると、大谷山は、低いながら、どっしりした姿を見せていた。さらに登りを続けて、先月歩いた咲花温泉への下降点を通り過ぎると、ようやく鳴沢峰に到着した。鳴沢峰への登山道は、咲花コース、馬下保養センターコース、五葉尾根コース、どれをとっても急斜面の連続になってしまう。山頂には、三名グループが休んでいた。あいにくと、遠くの展望は隠されて、目の前の五頭山塊が見えるのみであった。風も冷たく、そうそうに下山にうつることにした。
 落ち葉で滑りやすい急斜面を注意しながら下り、大谷山への登り返しで、再び汗を流した。鹿返道に戻ると、看板の脇で、飯野さん一行が休んでいた。話をしながら、一緒に下ることにした。木の枝につかまるような急斜面があるといっても、下り道は早かった。最後の第一鉄塔からのトラバース道での小さなアップダウンは、疲れた体には結構辛く感じた。馬下保養センターコースに戻って、目の前の温泉に一目散と行きたいところであったが、もうひと頑張りすることにした。
 飯野さん一行と分かれて、小山田登山口に向かった。入口を見落として大蔵登山口の入口まで行ってしまったが、引き返すと、菅名岳登山口の標識は、村松の方を向いていた。判らないはずであった。以前にも間違えたような。送電線の巡視路の標識がないか、注意しながら車を走らせた。小山田彼岸桜樹林の駐車場に車を停めて、かたわらの看板を眺めると、小山田彼岸桜樹林(花見山)という標識が立っていた。どうやら、ここから道が続いているようであった。時計を見て少し迷ったが、ザックを背負って、偵察に出かけることにした。せめて稜線の上まで。でも、そこまで行けば、頂上をめざすことになりそうであったが。
 橋を渡って対岸の杉林をひと登りすると、堰堤の設けられた沢沿いにはっきりした道が上がってきた。こちらの方が、桜見物の遊歩道のようであった。杉林の上の斜面に登ると、道の両脇に桜の大木が並木状に連なるようになった。下生えの草もきれいに刈られ、花の季節には、斜面に腰を下ろして、桜見物といきたいところであった。斜面の途中と稜線に出たところに、新しそうなあずまやが設けてあった。問題の踏み跡はとみると、尾根沿いに上がっていくはっきりした道があった。杉林の中をひと登りで、第一の鉄塔に出た。どうやら巡視路のようで、山頂直下まで続いているようであった。刈り払い道を辿ると、第二の鉄塔に出て、花見山に続く尾根を見通すことができた。時計が気になったが、あと1時間で行けるところまでということにした。小ピークを越してヤセ尾根を辿ると、再び急な登りになった。足も重くなり、おとなしく温泉に入っていれば良かったと後悔した。頂上までかなり近づいた所で、直進と左に分かれる道の分岐に出た。左の道の方が良く踏まれていたが、先をうかがうと、山頂下の鉄塔に続いているようであった。先ほど、山頂から踏み跡の先をうかがった時には、尾根を真っ直ぐ下っているようであった。山頂はこちらだと決めて、尾根とおしの道に進んだ。潅木帯を登り終えると、見覚えのある三角点に再会することができた。ようやく、道をつなげることができ、心の中の?マークを消去することができた。
 一日二回の山登りに草臥れて休んでいる間にも、五頭山の方で、ごろごろと雷が鳴りだした。これはやばいと、アフターバーナーを点火して山を下ることにした。途中で雨が降り出したが、樹林帯まで下っていたので、傘をさしただけで歩き続けた。杉林の中は、足元が見えないくらいに、暗くなっていた。無事に車に戻り、今度こそ入浴のために馬下保養センターに向かった。

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