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鏡山

1998年9月19日 日帰り 単独行 晴

鏡山 かがみやま(1338.9m) 三等三角点 飯豊連峰(福島県) 5万 大日岳 2.5万 大日岳
ガイド:会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)、山を訪ねて(歴史春秋社)、新潟の低山薮山(白山書房)

9月19日(土) 6:00 新潟発=(磐越自動車道、津川IC、R.49、徳沢、R.459、奥川飯里 経由)=7:20 弥平四郎〜7:35 発―7:46 堰堤―8:10 尾根取り付き―9:01 弥生分岐―9:14 清水〜9:18 発―9:36 七森峰〜9:40 発―10:16 鏡山〜11:00 発―11:30 上ノ越〜11:30 発―12:30 祓川山荘分岐駐車場―13:25 弥平四郎=(往路を戻る)=16:00 新潟着

 飯豊連峰の実川源流部の左岸、三国岳から南東に延びる尾根上には、疣岩山、卷岩山、鏡山、七森山、立石山、高森山、高陽山といった峰々が連なっている。現在の登山地図には載っていないが、福島県側における飯豊の代表的登山口の弥平四郎から鏡山に登り、北上して疣岩山に至り、従来から歩かれてきた飯豊本山へのルートに合わさる登山道が整備されている。鏡山は、実川を挟んで大日岳と向かい合っており、その山頂からは飯豊連峰の大展望を楽しむことができる。飯豊連峰の展望台というべき山はいくつも挙げられるが、その中でもトップを争う山頂といって良い。
 この水曜日に台風が日本列島を駆け抜けた。飯豊本山小屋の屋根が吹き飛んで宿泊できなくなったという情報がインターネットを通じて入ってきた。週末は天気は良さそうなので、展望が良いということで登りたいと思っていた鏡山を訪れることにした。先日の高陽山への道を奥川沿いにさらにさかのぼって弥平四郎の集落に出た。それ程大きくはない山奥の集落に、旅館が二軒。飯豊の代表的登山口のひとつならではのことか。集落のはずれのゲートの前の空き地に車を停めた。ゲートは開放されていたが、今回は周遊コースをとる予定なので、あえて林道の奥に車を進める必要は無かった。四ツ沢の出合には、鏡山への標識も設けられていた。稲刈りの始まった田圃を眺めながら林道を進んでいくと、堰堤に出た。ここまでは、細いながらも車の通行は可能で、堰堤下にも車やバイクがとまっていた。どうやら、キノコ採りが入山しているようであった。ここから登山道が始まった。沢沿いに登っていくと、杉林からブナ林になった。ブナは大きな木が多く、沢グルミやドングリが登山道の上に落ちていた。キノコのほだ木なのか、短く切った丸太が所々に並べられていた。秋の実りを感じさせる林であった。作業道なのか、道が分かれる所があったが、鏡山を示す標識が立っていて、迷う心配はなかった。左岸から始まった沢沿いの道も、丸太橋で左右に何回か渡った後に、長松沢の右岸沿いに枝沢を渡った先から、尾根の登りが始まった。登山道は良く整備されており、滑りやすい斜面にはステップが切ってあった。途中でキノコ採りに会い、なにを採っているのかと聞いたら、マイタケとのことであったが、まだ見つかっていないようであった。様々なキノコが生えていたが、どれが食用なのやら。尾根上に乗っても、木のせいであまり展望は良くなく、登りに専念した。今週の台風のせいかブナの木が登山道上に倒れ込んでおり、枝を乗り越えたり、くぐったりしなければならなかった。988mピークに向かって登っていくと、山頂直下でコースは右手にそれた。崩壊地をトラバースすると、これからたどる尾根が目に入ってきて、鏡山を眺めることができた。鏡山は、背後の疣岩山と比べれば低いものの、すっきりした三角形の目立つピークであった。988mピークの上には出ず、北側の台地に出ると、弥生からの登山道との合流点に出た。弥生からの登山道も、良く刈り払われていた。七森山へ稜線歩きを続けていくと、山頂へとりつく所で水場が現れた。登山道から少し下った所に、沢水の水場があった。気温が高くなっており、汗がしたたりおちる状態になっており、冷たい水をむさぼり飲んだ。再び急登を頑張り、七森山の頂上に出ると、飯豊連峰の眺めが飛び込んできた。少し木が邪魔をしていたが、鏡山での展望を期待させるに充分な眺めであった。緩やかに下った後に、鏡山への登りになった。弥平四郎から鏡山までは900mの標高差であるが、小さなピークの上り下りが間にあり、なかなか汗を流させてくれる。
 ようやく鏡山の頂上に到着。目の前には飯豊の大パノラマが広がっていた。牛首山から大日岳、御西岳、飯豊本山、草履塚、種蒔山、疣岩山までの、実川源流部が一望のもとにあった。7月に登ったおんべ松尾根を目の前にあり、きつかった登りを思い出しながら目で追った。御西岳の山小屋も肉眼でとらえることができた。山頂は、こんなに木を切り払っていいのかなと思う位に整理され、飯豊の展望台になっていた。腰をおろして、飯豊連峰と向かい合った。大日岳周辺の険しさがとりわけ目を引き、御西岳から種蒔山にかけてはなだらかな稜線に見えた。飯豊本山は、盟主の地位を大日岳に譲らなければならないようだ。御西岳下の雪田も僅かに残るだけであった。たおやかな稜線に比べて谷は深く、稜線に突き上げる沢には、滝がかかっていた。二王子岳や蒜場山、飯豊の展望台といわれる山はいくつも挙げられるが、この鏡山の眺めは屈指のものであった。稜線の緑は色を変え始め、紅葉の季節も近いようであった。残雪の季節も素晴らしそうであった。季節を変えて訪れたい山頂であった。他に2組4名の登山者がおり、飯豊の端山としては、人気の山といって良いのか。
 下山は、北上して上ノ越から祓川山荘分岐に下りることにした。こちらの道は、あまり踏まれていない感じが強くなったものの、整備された登山道が続いていた。下降点の上ノ越まで小ピークが間に入り、気温が高くなったこともあり、登りに辛い思いをした。上ノ越からは一旦来た方向に戻るように下った後に尾根に乗り、小ピークの登り返しの後に一気の下りになった。左から沢音が近づいてくると下りも終わり、小さな沢を越すと祓川山荘分岐の駐車場に飛び出した。ここからの林道歩きは、1時間かかり、長く感じた。

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