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茶臼山

奥三界岳

鉢盛山

1998年8月26日〜8月30日 前夜発3泊4日 単独行 雨/曇り/雨

茶臼山 ちゃうすやま(1415m) 二等三角点 奥三河(愛知県、長野県) 5万 根羽 2.5万 茶臼山
ガイド:分県登山ガイド「愛知県の山」(山と渓谷社)、三遠信の山歩き(風媒社)

奥三界岳 おくさんがいだけ(1810.5m) 三等三角点 東美濃(岐阜県、長野県) 5万 上松 2.5万 奥三界岳
ガイド:日本300名山登山ガイド西日本編(新ハイキング社)

鉢盛山 はちもりやま(2446.4m) 一等三角点補点 北アルプス前衛(長野県) 5万 塩尻 2.5万 古見、贄川
ガイド:日本300名山登山ガイド西日本編(新ハイキング社)、一等三角点の山々(新ハイキング社)、名古屋から行く隠れた名山64(七賢出版)
朝日町役場 390-1188 長野県東筑摩郡朝日村大字小野沢296-5 TEL 0263-99-2001

8月26日(水) 16:10 長岡発=(長岡IC、北陸自動車道、上越IC、R.18、中郷IC、上信越自動車道、長野自動車道、飯田IC、R.151、御所平 経由)=23:00 茶臼山高原第三駐車場  (車中泊)
8月27日(木) 5:30 茶臼山高原第三駐車場発―5:36 自由の丘―5:50 茶臼山〜5:52 発―6:03 自由の丘―6:11 茶臼山高原第三駐車場=(R.151、豊川、R.23、蒲郡、R.247、西浦 経由)=12:00 西浦温泉  (たつき別館葵泊)
>8月28日(金) 12:10 西浦温泉発=(西浦、蒲郡、三河湾オレンジロード、音羽蒲郡、東名高速道、小牧JCT、中央自動車道、恵那IC、R.19、大桑、伊那川ダム 経由)=18:00 今朝沢ゲート=(伊那川ダム、大桑、R.19 経由)=19:00 道の駅賎母  (車中泊)
8月29日(土) 6:35 道の駅賎母発=(坂下、川上、夕森公園)=6:35 川上林道ゲート〜6:45 発―6:59 カモシカ供養塔―7:03 銅穴ノ滝―7:08 天然公園分岐〜7:08 発―7:16 つり橋―7:57 林道口―8:40 林道分岐―8:57 登山道口―9:16 沢下〜9:22 発―10:11 夕森庭園―10:07 奥三界岳〜10:25 発―10:32 夕森庭園―11:07 沢下―11:23 登山道口―11:38 林道分岐―12:18 林道口―12:48 つり橋―12:53 天然公園分岐―12:57 銅穴ノ滝―13:00 カモシカ供養塔―13:15 川上林道ゲート=(夕森公園、川上、坂下、R.19、棧温泉入浴(800円)、洗馬、朝日村役場 経由)=18:00 ウォーターパーク舟ヶ沢  (車中泊)
8月30日(日) 5:20 ウォーターパーク舟ヶ沢発=(御馬越林道 経由)=6:05 岳沢登山口〜6:20 発―6:55 かもしか棚―7:08 岳沢泉―7:17 アキンド平、ハト峰分岐―7:21 鉢盛坂新道―7:46 権現の庭―7:49 鉢森山荘―7:54 鉢盛山〜8:00 発―8:02 鉢森山荘―8:05 権現の庭―8:18 鉢盛坂新道―8:25 アキンド平、ハト峰分岐―8:32 岳沢泉―8:43 かもしか棚―9:05 岳沢登山口=(朝日村役場、新村、R.158、松本IC、長野自動車道、上信越自動車道、中郷IC、R.18、上越IC、北陸自動車道0=14:30 新潟着

 茶臼山は、奥三河の長野・愛知県境の山である。名だたる名山の屹立する長野県にあっては、1415mの標高といい、なだらかな山容といい、とくに注目する山ではない。しかし、愛知県側からみれば、県の最高峰となって、重要な山ということになる。
 奥三界岳は、木曽川の支流の川上川源流の山である。木曽五木(ヒノキ、サワラ、コウヤマキ、ネズコ、アスナロ)やシャクナゲに覆われた山とされていたが、現在では、山奥まで林道が延び、一帯の伐採が進んでいる。
 鉢盛山は、松本平の南西、北アルプスと中央アルプスに挟まれた、木曽川源流の山である。2500mと充分な標高を持っているにもかかわらず、知名度は高くないが、これは人気の山が周囲に有りすぎるためか。
 愛知県三河の西浦温泉に学会で出かけることになった。新潟から愛知へは、長野県を挟んだひとつおいた県にもかかわらず、極めて行きづらい。本当なら新幹線を乗り継いで行くべきだが、週末の山を考えて車で行くことにした。学会の講演会は昼過ぎからということで、前夜発ならば、午前中に軽いハイキングコースを歩けそうであった。愛知県には、100名山はおろか300名山も無いため、これまで登った山が無かったのが残念であった。ガイドブックを見て、中央自動車道沿いか、飯田から蒲郡に抜けるR.151の途中にある県最高峰の茶臼山に登る予定で出発した。順調に車を走らせ、思ったよりも早い時間に中央道に入ることができた。これなら、一般道を走る時間的余裕もあるということで、飯田で高速を下りた。地図を見て、予想はしていたものの、R.151は、山間部の曲がりくねった道であり、しかも激しい雨になった。なんとか愛知県に入り、R.151から分かれて茶臼山への県道に入った。茶臼山の山頂近くは、スキー場や牧場、野外研修施設ですっかり開けていた。冬はスキー客で賑わうらしい大駐車場に車をとめた。周囲は、ガスがかかって激しい雨になった。山中奥深くでないのが救いであったが、心細い夜になった。
 翌朝は、雨が小降りになった。登山道は、駐車場と林道に挟まれたゆるい尾根の登りで始まり、すぐに周囲には草地が広がるようになった。草地でどこでも歩けてしまうためか、かえって正規の登山道がわかり難かった。ひと登りしたところで、ベンチの置かれた自由の丘に出た。晴の日には、お弁当を広げるのに良さそうな草地が広がっていたが、あいにくとガスで展望は閉ざされていた。ここから樹林の下の登山道が始まった。登山道の脇に作られた見晴らし台を過ぎると、緩やかなトラバース気味の登りになった。長野県側への道から分かれて、左の道に入ると、丸太階段のジグザグの急な登りになった。汗ばんでくる頃には、傾斜も緩やかになって茶臼山の山頂に到着した。山頂には、展望台が設けられていたが、見えるのはガスだけであった。簡単に登ることのできた山であったが、新潟から遠い山に登ったことに満足した。
 下山後車を走らせると、激しい雨が降ったり止んだりになった。これ以上の山登りはあきらめて学会場に向かうことにした。
 学会終了後、私用のある教授を恵那に送り届けて、気分一新、山に向かった。今回の目標のメインの山は、中央アルプスの越百山。しかし、中津川に出た所で、激しい雨になった。ラジオのニュースでも、栃木から福島にかけて豪雨に見舞われているようで、全国的に雨に対する警報が出ていた。時折激しくなる雨の中を、大桑の先から伊那川沿いにさかのぼり、田光の集落から林道に入った。林道は細く、崖からの落石が心配になる道であった。伊那川ダムの先からは、荒れた路面になり、左手に広場が現れると、鎖のかけられたゲートに出た。国道からは30分程の道のりであったが、長く感じられる道であった。傘をさして車を下り、周囲の偵察を行うと、よってきた蚊にたちまち、3、4ヶ所喰われてしまった。雨も激しくなった。このまま豪雨にあうと、林道奥に車ごと閉じこめられる恐れがあり、山を下りる決心をした。ニュースでも明日の天気は雨のようで、歩行時間の長い越百山は難しそうであった。300名山の奥三界岳か、ファミリーハイククラスの山を候補として考えることにした。再びR.19を引き返し、道の駅賎母に戻って野宿態勢に入った。その夜は、時折激しくなる雨の中、木曽川の増水を知らせるのか、サイレンと聞き取れない放送の声が流れていた。
 翌朝は、雨が上がっていた。奥三界岳に向かうことにした。奥三界岳登山口の夕森公園は、釣り場やキャンプ場が設けられ、すっかり開けていた。案内場を過ぎて、坂を上るとT字路に出て、ここを右に曲がったところのキャンプ場を通り過ぎると、林道に鎖がかけられていた。奥三界岳登山口とは書かれてはいなかったが、ここから歩き出せばよいはずであった。曇り空に感謝しながら林道を歩きだした。谷の奥に進んでいくと、山の神という案内が出ていたが、山際にはカモシカ供養塔という柱が立っているだけであった。その少し先で、左手に銅穴ノ滝が現れた。先日沢登りに連れていってもらったせいか、この滝は登れるのだろうかと、滝を見る目も少し変わったよう。谷を左岸に渡る橋から上流を見ると、朽ちかけた木の橋がかかっていた。ガイドには、山の神から細道になると書かれていたが、林道が先に延びていることが判った。未舗装に変わった林道を少し登った所で、奥三界岳への登山の分岐に出た。広場の奥から尾根に取り付くと、すぐに谷に向かっての急降下の道になった。昔の林道か軌道敷の跡なのか、沢沿いの広い道に下りたった。右に少し進むとツリ橋があり、再び右岸に渡った。歩き始め30分程で、暑くなってシャツを脱いでザックにしまいこんだところ、水筒を忘れたことに気が付いた。車に戻るのも面倒なので、そのまま歩いてきたが、ここでビニール袋に水を汲んでコッフェルに納めて、水を確保した。少し登ったところでアゼ滝・一ツ滝への道から分かれると、急坂のジグザグの登りになった。道はしっかりしているものの、檜なのか、針葉樹の植林地の中で、薄暗く見晴らしもなかった。若木の根元には、食害防止のためか、プラスチックのネットがかぶせてあった。左から尾根が近づいてくると登山道の傾斜は緩やかになって林道に飛び出した。
 林道は、ススキが倒れかかっているものの、車が走ってくるのではと思うほど、路面の状態は悪くはなかった。長い林道歩きが始まった。谷向こうに夕森山が近づいてくると、林道が山腹を巻いて遥か先まで続き、周辺の山の斜面は伐採されて、虎刈りの植林地になっているのが目に入ってきた。プレハブの作業小屋を過ぎた所で、林道を崖から崩れた岩石が覆っていた。崖を見上げながら、恐る恐る通過した。林道歩きを続けても、奥三界岳の山頂は、どこなのか判らないままであった。谷の奥に見えていた滝に近づいていくと、その前を、上下二段の林道が横切っていた。滝を渡った先が林道の分岐で、奥三階岳へは、上の林道で渡り返すことになった。分岐の先は、路肩の崩壊も見られる荒れた林道になった。林道終点にも作業小屋があり、ここから登山道が始まった。
 ロープと梯子の助けをかりて崩壊地の斜面を登ると、植林地の広がる尾根になった。カモシカ避けなのか、何カ所かの扉が設けられていた。ピークを右に巻きながらトラバースしていくと、沢の下部に出た。一服するのに良い水場になっていた。右岸の尾根を登り出すと、すぐに沢の中の道になった。雨続きのせいか、沢には水が流れていたが、靴を濡らすほどのこともなかった。カレ沢状態になって尾根の上にでると、木立の向こうにようやく奥三界岳の山頂が姿を現した。緩やかに下っていくと、このコースで始めての黒木の原生林に出た。ここで下山してきた4名グループに出合った。登ってくる途中、登山道の上の足跡で、先行者がいるのかと思っていたものの、物音が聞こえてきた時は、クマかと身構えてしまった。前夜は、キャンプ場のバンガローに泊まったとのことであった。下生えのササ原の中を一直線に登ると県境尾根に出て、左にコースを変えると夕森庭園という標識が立っていた。周囲は変哲もない草原であった。林の中に入ると、湿地帯となり、黒い水溜まりがあり、これが鏡池のようであった。ここからひと登りで奥三界岳の山頂に到着した。山頂付近の木立は伐採され、訪れる者も少ないであろうに、場違いな感じの展望台が設けられていた。展望台の上に登ったが、恵那山と思われる山も、雲に山頂は隠されていた。この山が300名山に選ばれたのは、どのような理由からだったのだろうか思いながら、静かな山頂で一服した。奥三界岳は、傷だらけの名山というべきか。帰り道では、上部の林道歩きが長く感じられた。幸い、奥三界岳を下山するまで、天気はもってくれた。
 翌日は、鉢盛山に登る予定であった。山を眺めながら、中山道を塩尻に向かい、途中、棧温泉で温泉に入った。夕食を買い込み、朝日村役場を目指した。鉢盛山登山口への御馬越林道を利用するには、朝日村から許可を得て鍵を借りる必要があり、先週、電話で役場に申し込みをしておいた。鍵は、役場の正面玄関に入った所の郵便箱の中に、名前を書いた封筒に入れて置かれていた。三通の封筒が置かれていた。明日の登山予定者は、他にもいるようだが、さてどうなることやら。鍵を手に入れ、ひと安心といったところであったが、雨が激しくなった。川のほとりに作られた公園の駐車場で夜を過ごした。
 翌朝、ガスの中を出発した。標識に従い御馬越林道に入るとゲートが現れたが、借りた鍵で無事に通過。ひと登りすると、谷の奥に向かっての緩やかな上りが続いた。林道の途中には、工事のための重機が何台も置かれていた。登山口を見落としていないよなと不安を覚える頃、林道はジグザグに高度を上げていき、工事で通行止めのゲートに出ると、ここが鉢盛山の登山口であった。車でなければ上がってこれない長い林道であった。あいにくと、雨が降り始め、雨具を着込んでの出発になった。薄暗い針葉樹の原生林の急登が始まった。雨は時折激しくなった。カモシカ棚と書かれた崩壊地を覗き込みながら登っていくと、トラバース道になった。足元のササが、登山道を隠し気味になった。岳沢泉と書かれた水場に出たが、連日の雨続きにもかかわらず涸れていた。急坂を登ると、村界尾根に出て、右手に向かってアキンド平・ハト峰への登山道が分かれた。ここからしばらくは、緩やかな尾根道が続いた。鉢盛新道という標識が現れると、最後の登りが始まった。傾斜が次第に緩やかになってくると、湿原も現れて、権現の庭という標識が立てられていた。そこからは僅かな歩きで鉢盛山荘に到着した。山荘と名前は立派だが、工事のためのプレハブ小屋を譲り受けたもの。見た目はぱっとしないが、避難小屋としては充分といったところか。鉢盛山荘の標識に、「除草剤をまくな」という書き込みがしてあった。目の前の山頂めざして登り始めると、登山道周囲のササが茶色に変色し、ボロボロになって枯れていた。除草剤の意味が分かったが、その効果に恐ろしくなった。山に除草剤が巻かれるようになっては、健康のための登山と言ってられなくなる。誰がまいたものやら。鉢盛山の山頂は、祠が四つに、一等三角点、山頂標識、展望盤、と賑やかであった。山頂の奥には、アンテナが木立の上に頭をのぞかせていた。素晴らしい展望が楽しめるようであったが、雨にうたれながらの山頂になった。小さな羽虫がよってきて、頭上を雲のように取り囲むので、足をとめるわけにいかず、早々に下山にうつった。下山の途中、結局他の登山者には合わなかった。鍵を返しに役場によって郵便箱の中をのぞくと、他の二通はそのままになっていた。
 松本ICへの途中、上高地へ通じるR.158に出て、おやきをお土産に買った。長野に向かうにつれ雨はあがった。高速のおかげで新潟への道のりもずいぶんと近くなった。

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