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葉山(村山)

1998年7月25日 前夜発日帰り 単独行 曇り

葉山 はやま(1461.7m)  一等三角点本点 月山周辺(山形県) 5万 月山、尾花沢 2.5万 富並、葉山
ガイド:アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山形百山(無明舎)、東北百名山(山と渓谷社)、一等三角点の山々(新ハイキング社)

7月24日(金) 20:00 新潟発=(R.7、蓮野IC、R.113、今泉東、R.287、寒河江 経由)=23:30 道の駅河北着 (車中泊)
7月25日(土) 4:50 道の駅河北発=(富並、大鳥居、山ノ内林道 経由)=5:53 山ノ内コース登山口〜6:13 発―6:19 乙女の渓谷―6:40 滝見台―7:02 水場〜7:07 発―7:38 梨ノ木平―7:56 烏帽子岩〜8:00 発―8:11 お花畑―8:37 座禅石〜8:43 発―9:00 奥ノ院分岐―9:03 奥ノ院〜9:08 発―9:12 奥ノ院分岐―9:23 葉山山頂―9:36 奥ノ院分岐〜9:49 発―10:04 座禅石―10:35 お花畑―10:45 烏帽子岩〜10:50 発―11:03 梨ノ木平―11:21 清水〜11:28 発―11:43 滝見台―12:00 乙女の渓谷―12:08 山ノ内コース登山口着=(往路を戻る、テルメ柏稜温泉入浴300円)=18:30 新潟着

 東北には、羽山、麓山、葉山と書いてはやまと呼ぶ多くの山がある。これらは、奥の山に対して、里に近い端の山という意味を持ち、里人の信仰の対象になり、山頂には奥の院が置かれている。村山市近くの葉山は、月山の東に位置し、古い火山で山頂部には爆裂火口を持ち、その縁をたどる稜線歩きが楽しめ、山麓には深いブナ林が広がっている。かつては、出羽三山のひとつに、月山、羽黒山とともに数えられ、修験道の山として信者を集めていたという。
 昨年の夏、葉山に登ろうとして登山口まで訪れたことがあったが、台風が接近しており、強い風が吹いていたため、林道への突入はあきらめ、同じ山形県の長井・葉山に登ってしまった。表には現れない中退ではあったが、気にはなっていた。
 葉山へのコースは、いくつもあり、最短のものでは、林道を利用して1時間で登れるとのことだが、ガイドブックで推賞しているコースを登ることにした。先回引き替えした大鳥居の集落から、林道に入った。この集落は、その名前に反して、大きな鳥居は見あたらなかった。富並川の源流の渓谷に沿った林道は、途中から、未舗装の車のすれ違い困難な道になった。草が車体の脇をこする所もあり、引き返そうかと、弱気も出始めた頃、ようやく登山口の駐車場に到着した。駐車場は、そこまでの心細い道とは違って、小砂利が敷かれ10台以上が停められるように整備してあった。
 標識に従って杉の植林地内の登山道を進むと、じきに沢に出て、飛び石伝いに渡ると、乙女の渓谷という看板が置かれていた。沢沿いに少し登ってから、トラバース気味に左手の尾根にとりつくと、この後は、細尾根上の急登が続いた。帰りに気が付いたことだが、この尾根には、そのまま尾根の末端に進む踏み後があり、帰りに注意しないと、沢への下降点を間違えるところであった。周囲には、美しいブナ林が広がっていたのが、急登の慰めであった。第一目標の滝見場にでると、尾根はやせて、周囲の眺めも良くなった。谷の奥に岩壁があり、滝が落ちていたが、水量は少なかった。登りの傾斜は、緩急を繰り返した。続いて水場に到着。左手に少し下った沢の落ち葉の下から水が湧いていた。水量は少なかったが、コップで水をすくって喉を潤すことができた。さらに登りを続けていくと、稜線がせまってきた所で、今まで以上の急な登りが始まった。潅木の枝を頼りに登っていくと、岩壁の下を左にトラバースするようになり、ここはロープが張られていたが、足元が泥まじりの岩場で、登りはともかく、下りは要注意の場所であった。
 登り切った所が烏帽子岩の左肩であった。鋭い岩峰には、少し手前から潅木の中を進めば取り付けるようであったが、足元も見えないので、あきらめることにした。大きく弧を描く爆裂火口の縁に登山道が続くのを眺めることができた。古い火山ということであったが、木々の緑に覆われていて、火山というイメージからは遠かった。小さく上下する稜線歩きが始まった。ガスが流れて、山頂の全景はなかなか現れなかった。しばらく歩くとお花畑に出た。その手前の高みからお花畑を見下ろすと、向こうには月山が広がっていた。お花畑は、小さな池塘が点在する湿原で、登山道は、その湿原の中を抜けていた。花はすでに終わっていたが、池塘の縁が赤く染まるほど密生していた。カメラをかまえて膝をつくと、湿原はスポンジのように水を含んでいた。普通なら、踏み荒らされるのを防止するために、木道が敷かれるところであるのだが。現在では、楽に登ることのできる登山道があるため、このコースの登山者は多くないのだろうか。秘密めいた美しい湿田であった。潅木帯の中を進んでいくと、前方のピークの上に、神社の社殿が立つのを眺めることができた。潅木帯の中に座禅石の表示が現れた。僅かに下ると崖の縁に出て、数メートル下に、1畳ほどの平らな上面を持った岩が露出していた。高度感はかなりありそうであった。座禅石にたどり着くには、潅木を掴んで1メートル程のステップを下る必要があり、怖そうなので、見るだけにした。ブナ林の中をひと登りすると草原に出て、岩野コースとの分岐に出た。ここから少し登って鳥居をくぐると、葉山神社の奥の院に出た。残念ながらガスが出て、展望は閉ざされていた。分岐に戻り、一等三角点のある大森山に向かった。大森山に登ると、縦走コースから脇に入る切り開きがあり、笹に囲まれた小広場の中央に三角点が置かれていた。
 展望も閉ざされ、あまり面白くない山頂なので、奥の院分岐の草原に戻って休むことにした。再び来た道を戻っていくと、烏帽子岩で、単独行と、高校の登山部の8名ほどのパーティーにであった。高校登山部は、顧問の先生と話をすると、体調を崩した者が出たので、烏帽子岩から戻るとのことであった。鳥海山の頭が雲のうえからのぞいていた。急坂に注意しながら下り、途中の水場と下り口の沢で、乾いた喉をうるおした。
 フェーン現象のためか、下界は猛暑になっていた。途中で見つけたテルメ柏稜温泉に入ると、アンケートの集計中ということで、お菓子、寿司、ウドンのサンプルと用紙を渡された。思わぬおやつに、アンケートの返事は、全て良いように書いてしまったが、参考になっただろうか。新しいデラックスな施設に低料金で、お勧めの施設であった。

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