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古賀志山不動岩・岩トレ

井戸沢/流石山

1998年7月11日〜7月12日 前夜発1泊2日
 古賀志山不動岩・岩トレ 10名フループ 曇り
 井戸沢/流石山 9名グループ 雨

流石山 ながれいしやま(1802.5m) 那須連峰(栃木県、福島県)5万 那須岳 2.5万 那須岳
ガイド:アルペンガイド「奥日光・足尾・那須」(山と渓谷社)、栃木の山120(随想社)、南会津・鬼怒の山50(随想社)、山と高原地図「那須・塩原」(昭文社)

井戸沢 いどさわ 2級
ガイド:関東周辺の沢(白山書房)

7月10日(金) 19:30 新潟発=(磐越自動車道、会津坂下IC、R.49、会津坂下、会津本郷、大戸町、R.118、湯野上、R.121、会津田島、R.121、山王峠 経由)=23:50 鬼怒川着 (車中泊)
7月11日(土) 5:50 鬼怒川発=(R.121、今市、R.121、文挟 経由)=6:40 古賀志不動岩入口駐車場 岩トレ 夕刻より森林公園にて宴会 (テント泊)
7月12日(日) 4:50 森林公園発=5:30 宇都宮発=7:50 井戸沢出合着〜7:20 発―7:45 最初の3m滝―7:45〜8:17 15m滝―9:35 10m滝―10:15 15m 階段滝―10:35 二俣―11:15 10mチムニー―11:17 最後の二俣―12:23 尾根―12:28 流石山〜12:50 発―13:45 大峠〜14:00 発―14:13 峠沢〜14:16 分岐―15:15 井戸沢出合着〜15:50 発=(奥那須大正村幸乃湯温泉入浴 500円、那須IC、東北自動車道、磐越自動車道 経由)=21:30 新潟着

 那須連峰の主脈は、福島県に属する甲子山から赤崩山、三本槍岳、茶臼岳、南月山、黒尾谷岳にかけて、栃木県北部に南北に連なっており、表那須とも呼ばれる。これに対し、三本槍岳から西に大峠を越して流石山、三倉山、大倉山へ連なる県境尾根が分かれており、これらの山々は裏那須と呼ばれている。裏那須は、表那須と比べて登山者は少なく、大峠から流石山にかけては那須連峰随一のお花畑が広がっている。流石山の読み方は、三省堂の日本山名辞典では「りゅうせきやま」と記載されているが、ガイドブックには「ながれいしやま」と呼ばれている。
 井戸沢は、流石山の山頂の少し西の南面に突き上げる沢である。那須連峰の沢では比較的多くの遡行者を迎え入れており、直登可能な小滝とナメが連続し、明るく開けた渓相を有している。沢のグレードは2級上で、初心者同行の場合にはザイルが必要とされている。
 井戸沢前日に、岩トレの続きを行うことになった。時間もあったため、お金の節約のために、会津坂下から山王峠を越していくことにした。会津西街道、20年前に尾瀬から檜枝岐に出て、バスで一日がかりで鬼怒川に出て東京に戻ったことがあったが、車で走ってみるとあっさりと栃木県に入ることができた。真夜中も近づき、野宿の場所を考えながら走っていると、鬼怒川の先で公園の駐車場があったので、ここで夜をあかすことにした。翌朝、今市から杉並木を眺めながら、車を走らせると、古賀志山は遠くはなかった。
 再び、不動岩入口で待っていると、伊達さんと大山さん、続いて白石さんと田代さんが到着した。前夜からの雨は上がったものの、岩は、完全には乾いておらず、まずは初心者コースで練習を行うことになった。今回は、軽登山靴で登ってみることにした。一番左のIII級のコースを登ってみたが、1週たって岩の感じを忘れたか、あるいは軽登山靴では濡れた岩が滑るためか、かなり怖い思いをした。2回目は、その右隣のIV-級に登り、下りはエイト環を使っての懸垂下降の練習となった。昔、高校のワンゲル部が、学校の壁でやっているのを見て、どえらいことをやっているなと感心して見たものだったが、実際にやってみると、難しくはなかった。もっとも、実際に行う時には、ロープのかけ方など、いちいちチェックしてもらう必要はあるだろうけれど。この年になって、高校のワンゲルにようやく追いつくことができたようである。過ぎ去った時には追いつけないだろうけれど。宮本さん、庄司ご夫妻、池田さん、箭内さんもやってきて岩場も賑やかになった。粉屋の娘ルートにもロープがかけられたが、ここは私の手にはおえず、皆のクライミングを見物することにした。その左の一般ルートにもロープがかけられ、挑戦してみたものの、最後の一手がのびず、手も疲れてきたため、翌日のことを考えて見学に専念することにした。池田さんの登りも、見させてもらったが、クライミングは体力だけでは無いようだった。伊達さんからも、長い山の経験の程がにじみ出てくるような登りを見せてもらった。一週前とは違って、岩場には、何本もロープがかかって大盛況となった。そう何本も登ったわけではなかったが、体には疲労感が出てしまった。
 夕方になって、森林公園に移動し、テントを張って宴会となった。少し遅れて幡谷さんと熊坂さんも到着し、沢参加のメンバーが揃った。山の話は、自己紹介から横道にそれて、一巡する頃には、飯ごうも炊き上がり、イカや鮭も焼き上がった。水ぎょうざをはじめ、食べ物も酒も充分にあった。山の話に酒を重ね、寝たのは翌日の山行が危ぶまれる11時の遅い時間になっていた。
 ぐっすり寝てしまい、目覚まし時計で無理矢理目を開けると、外は本降りの雨であった。中止という声はどこからも上がらず、不安の少々残る中、テントの撤収を行った。まずは宇都宮で池田さんをピックアップし、那須に向かった。酒の酔いか寝不足か、運転をしていても目が閉じそうになり、沢に入る前から付いていくのがやっとの状態になった。途中のコンビニで、食料を買いこんだ。深山湖で、白石さんの車に同乗させてもらい、2台の車で林道に突入した。林道は、途中からオフロード車でないと無理な荒れた道になった。三斗小屋宿跡には、苔蒸した石塔などが並んでおり、昔の賑わいをかいま見ることができた。その少し先で、車を降りた。坂を下ると、三斗小屋温泉へ続く木の橋が湯川にかかっており、その手前に那珂川源流の碑が立っていた。ここで、今回のために買ったウェーディングシューズ、沢用スパッツ、シットハーネス、ヘルメットを身に付けて、沢に入る準備をした。
 池田さんを先頭に、井戸沢に出発した。井戸沢は、はじめは水は無く、ガレた石を乗り越しながらの歩きになった。石の下から水流が現れるはじめると、水の量も増してきた。はじめての滝は、3m滝で、慎重に越した。続いて、15m滝がお出迎え。左岸のブッシュ帯の高卷きとなり、ここは、白石さんが先に登って、確保のロープを下ろしてもらった。岩トレの成果があったのか、無事に登ることができて、後続を待つ間に先にヤブを進んだが、下降点が判らず、池田さんが登ってくるのを待つことになった。高卷きの下降点の判断は難しく、経験を積む必要がありそうであった。ひとまず大きな滝を通過できたことで、続いて現れる小さな滝を楽しむ余裕も出てきた。もっとも、一つの滝を乗り越すと、緊張のせいか、喉がカラカラになっていたが、幸い飲む水はふんだんにあった。手がかりが少なく滑りそうなナメ滝や6m滝の高卷きでは、ロープを出してもらって無事に通過することができた。水の中をジャブジャブと歩いたり、滝のしぶきを浴びて登るのも楽しくなってきた。背後を振り返ると、白笹山から南月山の稜線の高さが次第に近づいてきて、沼原池を見下ろすようになった。先週、南月山に登って流石山を眺めておいたのも、気持ちに余裕を持たせるうえで役にたっているようであった。雲行きは少し怪しいものの、ときどきは薄日が差し込んで、沢は明るく照らされた。登るに連れて、沢は明るく開けるようになった。ナメ滝が連続する先の高みに、緑なす稜線が横たわる光景を見て、一同から歓声が上がった。二俣に出て、ここは右に入った。ナメを越していくと、次第に水量も少なくなって、沢も終わりに近づいてきた。10mチムニー状滝を越すと、最後の二俣に出た。左俣には、ケルンが積んであったが、ガイドにもあるように右俣を進んだ。少し進んだ所で、沢に草が被ってきたため、沢の右岸側のササヤブの直登になった。幸い、ササの丈はヒザ丈しかなく、歩くのにはそれ程支障は無かった。ただ、急斜面で、ウェーディングシューズが滑るために、ササを握って体を持ち上げなければならず、体力が必要であった。稜線近くになると、ニッコウキスゲとハクサンフウロのお花畑の中に入り込んでしまった。山頂付近はガスがかかって、山頂を見とおすことができなかったが、先行した幡谷さんと熊坂さんの声を頼りに右手に方向を変えながら登っていくと、登山道にひょっこりと出て、あとはササのかぶり気味の道を少したどると流石山の山頂に到着した。
 無事に、初めての沢登りも終了。沢の道具をしまい、小雨の状態になったので雨具を着て軽登山靴に履き換えた。登山道を下るのなら、少しは経験もあり、自力の範囲内。昼食を軽くとっていると、遅れた仲間も到着した。風は冷たく、体が冷えるため、先に下山させてもらい、大峠で待たせてもらうことにした。晴れた日なら、さぞ素晴らしい展望が広がっているだろうと思わせるササ原の稜線を下っていくと、草原帯の急降下になった。登山道は、ぬかるんで、足元が極めて滑りやすい状態になっていた。草原は、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、ミネウスユキソウのお花畑になっていた。天気が悪いのは残念ではあるが、来年にでも晴れた日をねらって、三倉山・大倉山をめざし、このお花畑を再訪することにしよう。楽しみな課題がひとつ増えただけの話で、残念がる必要はない。大峠には、石碑も置かれ、歴史のある峠の風情がただよっていた。他の登山者も休んでいたが、大部分は、会津方面からの入山者のようであった。一同がそろうのを待って、三斗小屋温泉への道を下った。峠沢を渡った先で、井戸沢出合に通ずる道に入った。この道は、地図には記載されていないものの、ブナ林の下生えのササ原の中の刈り払いもしっかりとされていた。途中で、中ノ沢と峠沢の渡渉が二回あり、特に後のものは、石が滑りやすく、対岸に渡ってひと安心したとたんに尻餅をついてしまった。涸れ沢に飛び出したと思うと井戸沢で、登り口に戻ることができた。
 行きがけに沢で冷やしておいたスイカとブドウを小雨の中で食べた後、山を下った。深山湖で自分の車に戻り、幸乃湯温泉に入って山の締めくくりにした。一同と別れて一路新潟へ。高速道のおかげで、東京方面組よりは、早い時間に家に戻れたかどうか。
 白石さんの報告によれば、他に見られた花は、シモツケソウ、ミヤマコウゾリナ、ネバリノギラン 、ウラジロヨウラク、コヨウラクツツジ、ウサギギク、キンコウカ、 ミヤマキンポウゲ、コメツツジ、コバノコゴメグサなどとのこと。図鑑をめくって花を確かめた。

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