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来拝山、大辻山

猿倉山・小佐波御前山、尖山

1998年5月8日〜5月10日 前夜発1泊2日 単独行 晴/晴

来拝山 らいはいやま(899m) 三等三角点 富山県東部(富山県) 5万 五百石 2.5万 大岩、小見

大辻山 おおつじやま(1361m) 三等三角点 富山県東部(富山県) 5万 五百石 2.5万 大岩、小見

猿倉山 さるくらやま(345m) 三等三角点
小佐波御前山 おざなみごぜんやま(754m) 二等三角点 富山県東部(富山県) 5万 五百石、八尾 2.5万 八尾、千垣

尖山 とがりやま(559m) 二等三角点 富山県東部(富山県) 5万 五百石 2.5万 千垣、五百石

ガイド:分県登山ガイド「富山県の山」(山と渓谷社)、とやま山歩き(シー・エー・ピー)、とやま山ガイド(シー・エー・ピー)

5月9日(土) 5:10 新潟発=(北陸自動車道、立山IC、岩峅寺、雄山神社、富山県立山博物館、林道大辻線 経由)=10:22 礼拝山登山口〜10:28 発―10:33 礼拝キャンプ場―10:57 礼拝山〜11:25 城前峠分岐―11:27 かんば平―11:40  礼拝キャンプ場―11:48 礼拝山登山口=林道大辻線 経由)=12:02 大辻山登山口―12:15 奥長尾山―12:29 カンバ平―12:39 ブナ平―12:52 北尾根分岐―13:05 大辻山〜13:18 発―13:28 北尾根分岐―13:37 白岩川コース分岐―14:21 林道―14:24 大辻山登山口=(林道大辻線、雄山神社祈願殿、岩峅寺、吉峰ハイツゆーランド入浴(600円)、下大久保、R.41、神岡、古川、R.360、荒町、月ヶ瀬、下小鳥湖、粟ヶ谷林道 経由)=18:00 粟ヶ谷林道ゲート  (車中泊) 5月10日(日) 5:08 粟ヶ谷林道ゲート発=(粟ヶ谷林道、下小鳥湖、月ヶ瀬、荒町、R.360、古川、神岡、R.41 経由)=9:05 猿倉山駐車場〜9:08 発―9:15 猿倉山〜9:18 発―9:24 猿倉山駐車場=(御前山林道 経由)=9:49 林道終点広場―9:58 獅子ヶ鼻―10:21 小佐波御前山―10:26 登山道開設の碑広場―10:31 小佐波御前山―10:51 林道終点広場=(R.41、下大久保、岩峅寺、横江 経由)=11:59 尖山登山口―12:16 稜線―12:24 尖山山頂〜12:40 発―12:46 稜線―13:00 尖山登山口=(岩峅寺、上市、魚津、R.8、黒部IC、北陸自動車道 経由)=17:05 新潟着

 立山より富山平野に流れ出る常願寺川の右岸には、立山から奥大日岳、大日岳を経て大辻山、来拝山に至る山稜が連なっている。かつては、「立山禅定道」のひとつとして、この峰々を越して剣岳にいたる修験道の道があったという。礼拝山は、その最初の山であったという。また、大辻山は、富山平野から眺めると、弥陀ヶ原を下から突き上げている三角形の山頂を持つ山であり、その山頂は、立山の絶好の展望台になっている。この両者とも、国立立山少年自然の家によって登山道が整備され、手頃な山歩きを楽しめるようになっている。
 尖山は、礼拝山よりさらに下流の、平野部との境界付近の低山である。鋭い三角形の山頂は、良く目立ち、登頂意欲をそそってくれる。古代のピラミッドだとかUFOの基地という説もあり、その山頂からは360度の展望が広がっている。
 神通川が富山平野に流れ出るところの右岸に連なるのが、猿倉山と小佐波御前山である。猿倉山は、山頂近くまで車で入ることができ、その山頂には風の城という展望台を兼ねた風力発電展示施設がある。また、その背後の小佐波御前山にも中部北陸自然歩道あるいはふるさと歩道として、登山道が整備されている。
 当初の予定と異なり低山ハイクに終始した五月の連休の疲れもとれないまま、奥飛騨の猿ヶ番場山に誘われ、再び遠出となった。走り出したものの、眠気がとれず、途中でひと眠りしたため、富山までは時間がかかってしまった。土曜日は時間調整のための低山ハイクということで礼拝山をまずめざした。登山口への林道の入口に雄山神社あったので、見学していくことにした。境内には立派な杉並木が続き、その隣りに富山県立山博物館があっって、小中学生で賑わっていた。良くあるような動植物の展示場かと思って、さほど期待もせずに、中に入った。展示内容は、立山信仰が中心テーマであり、前々から知りたかった立山曼陀羅や、是非実物にお目にかかりたいと思っていた、剣山で発見された錫杖頭と鉄剣が展示されていた。立山や剣山を登ろうとする人には、必見といえる博物館であるが、夏がくれば繰り返される雑誌の夏山特集でも紹介されたことがないように思うのだが、これは手抜きといってもよい。ここには、映画の上映施設の遥望館やまんだら遊苑という二つの施設もあったが、時間の関係で、次の機会に回すことにした。
 寄り道を終え、山に急いだ。国立立山少年自然の家の案内を目印に大辻林道を進んでいくと、施設手前のカーブ地点から左に入る林道の入口に、礼拝山の看板が立っていた。右手の空き地に車を止めた。林道の入口左手の空き地の中央には、火を燃やした跡があり、どうやらキャンプファイヤー広場になっているようであった。林道を進んでいくと、右手にキャンプ場が広がり、登山道が始まった。杉林の中を登っていくと、雑木林の中の急な登りが始まった。林間学校付属のハイキングコースと思って軽くみていたが、途中で岩場や固定ロープが現れて、足元に注意を払う必要があった。礼拝山の山頂は雑木林で囲まれていたが、鍬崎山が正面に鋭い山頂を見せていた。鍬崎山には、94年10月9日に登っっており、苦しい登りが続いたのだがと、この山頂を眺めて納得した。立山方面は、木立に遮られて、あまり良い眺めではなかった。東尾根を下ると、こちらは、さらに急で赤土で滑りやすかった。木の階段も設けられているが、崩れかかっている所もあり、ロープや木の枝を掴みながらの下りが続いた。急斜面の途中、木立が切れて、立山方面の眺めが広がった。尾根を下りた所で城前峠への道を分け、少し登りかえすと林の中のかんば平に出た。周辺では、山菜採りが林の中で物音を立てていた。西の方向を目指すように森を抜けていくと、大丸山への分岐に出て、ここで右の道に進むと、キャンプ場に戻ることができた。この一帯には、一連のコース表示が付けられていたが、どのようなコースがあるかが判っていなかったので、あまり役に立たなかった。
 車に戻って、続いての行動を考えた。大辻山の登山口が林道を進んだ先なので、続いて大辻山を目指すことにした。林道沿いには、かなりの車が止まっていたが、ヒメタケノコ採りの最盛期のようであった。長尾峠を越し、少年自然の家による林道沿いの「No.9」の標識が付けられた所に、ブナ林から流れ出る水場と、その脇に登山口があった。その先のカーブを曲がった所に駐車スペースがあった。登山道を少し登った所に、「大辻No.1」の標識が現れ、頂上まで通しの標識が付けられていた。稜線上に出てひと登りした所が奥長尾山「大辻No.3」であった。めざす大辻山まではかなりの登りがありそうであった。ミズナラやブナが広がる尾根を登っていくと、カンバ平「大辻No.5」となり、ここから登りの傾斜が増した。ブナ平「大辻No.6」を越し、左手から近づいてくる尾根の合流点を仰ぎながら、登りに汗した。北尾根との合流点「大辻No.9」について、次のNo.10まではすぐそこと期待したが、最後の区間はそれ以前よりも長かった。山頂の一隅にたどりついた所で「大辻No.10」となり、もう少し歩いて山頂の広場に到着した。山頂は、木立に覆われた広場になっていたが、東側が伐採してあり、立山方面の素晴らしい眺めが広がっていた。台形をした雄山が中心にすわり、左手には大日岳がひかえ、立山連峰の下には弥陀ヶ原が広がり、その広大な台地からは称名滝が白い一条の線となって落ちているのを見ることができた。まさに、立山曼陀羅の構図そのものであった。昔の人は、里山からこの風景を実際に眺めて、自然に畏敬の気持ちを持ったものと思う。山岳信仰の原点というべき眺めであった。
 下りは、山頂下の分岐から、別な道を下ることにした。天然杉の生えた尾根を下っていくと、小鞍部から白岩川コースが分かれていた。中尾根を下るつもりであったが、近道をしようと、このコースに入りこんだが、これは失敗であった。落ち葉や枯れ枝の積もる枯沢状の窪地を下っていくと、水の流れもしだいに多くなってきた。これはヤバイと思いながらも、新しいテープが吊るされているので、そのまま下り続けた。5m程の滝が現れ、これは左岸につけられた鎖で、水の飛沫をあびながら下った。踏み跡は、水の流れの脇に付けられているようであったが、春先で水流も多いのか、踏み石伝いに歩くのは容易ではなく、足を滑らせて靴の中にも水が入ってしまった。高さ10m程の大滝は、左岸の岩場に、ロープで作ったネットがかぶせてあったので問題なく下ることができた。次の高さ3m程の滝が、難所となった。足場のある所は、水が勢い良く流れ込んでおり、下半身ずぶぬれ覚悟でないと下りられなかった。右よりの乾いた岩にかろうじてホールドがあり、なんとか下りることができたが、通常のハイキングの範囲を越してしまうような歩きになっていた。中高年ハイカーあるいは子供を交えたファミリーハイカーが入り込んでしまうと、かなり難儀しそうであった。白岩川コースは、夏場の沢登りコースとしてなら楽しめそうであったが、水量の多い春先には通行注意の案内が必要に思われた。左右に踏み石伝いを繰り返していくと、堰堤に出て、その先で林道に飛び出した。ここには、「No.10」の標識が立ち、車を止めた所は少し戻ったところであった。
 岩峅寺近くの吉峰ハイツゆーランドで入浴し、猿ヶ番場山の待ち合わせ場所に向かった。下小鳥湖から粟ヶ谷林道に入ったが、林道終点付近には、誰も見つからなかった。林道を間違えていたかと思ったが、到着が遅れている可能性もあり、そのゲート前で野宿態勢に入った。夜が明けても誰も現れなかった。5時まで待った所で、諦めることにした。まむけな羽目になったと思いながら、ともかく、新潟方面に戻りながら、低山に登ることにした。
 神岡から富山へは、神通川沿いに下ってくることになるが、その右岸に、猿倉山から小佐波御前山に至るハイキングコースがあった。猿倉山には、風の城という風力発電の展示施設があり、国道沿いからも、白く光る建物を眺めることができた。案内標識に従って猿倉山に向かっていくと、猿倉スキー場が現れ、車道終点の駐車場まで上がった。周辺は、遊歩道として整備されており、山頂まで階段登りになっていた。山頂には、猿倉城跡の碑も立てられており、神通川から富山平野を見下ろすことができた。風の城の上部は、展望台になっていたが、肝心の立山方面の眺めは、送電線が目の前を横切っており、損なわれていた。続いて、車に戻って、小佐波御前山の登山口をめざした。林道終点から歩き出すと、すぐに、右に獅子ヶ鼻への道が分かれた。トラバース気味に歩いていって、南面の露岩帯に出ると、崖の少し下に岩塔がそそり立っていた。途中の踏み跡を辿っていくと、小佐波御前山への登山道に近道をすることができた。尾根上に、幅5m程の広い道が続いた。小さな起伏を越えて、傾斜がきつくなると、小佐波御前山の山頂に出た。右手の木立に三角点、左手の広場に祠が置かれていた。富山平野の眺めが広がっていた。ブナ林の広がる台地をさらに進んでいくと、登山道開設ノ碑の立つ広場に出た。ここから南にはふるさと歩道、東には中部北陸自然歩道が続いていた。北斜面の中からは、刈り払いの機械音が聞こえ、そちらの方面にも道を付けているようであった。
 車に戻って、昨日登ろうか迷った尖山に向かうことにした。再び立山への道に戻り、横江の道路脇に立つ案内標識に従って、集落の中を通り抜けて、林道に入った。林道は曲がりくねっており、道幅も細かった。林道分岐から右手に分かれる林道に進むと、尾根コースの入口があったが、さらにその先の林道終点に進んだ。終点の小広場に車を止めて歩き出した。沢沿いの道では、山菜採りに専念している者も多かった。沢から離れてひと登りすると稜線上に出て、急な登りが始まった。山頂を時計回りに巻くように階段登りも交えながら登っていくと、尖山の山頂に到着した。山頂の広場からは、周囲360度の展望が広がっていた。昨日登った来拝山や大辻山を前衛として、立山連峰が左右に大きく広がっていた。剣岳や毛勝三山、僧ヶ岳も遮るものは無かった。腰をおろして、展望を楽しんだ。僅かな登りで、これだけの展望を楽しむことができるとは、低山ならではの楽しみであった。
 新潟に戻る前に、僧ヶ岳や毛勝三山をもう少し眺めてみたく、一般道を魚津方面にしばらく走った。ここ数年、五月の連休は、北陸道を通過しているが、いつもの年と比べて、格段に雪は少なかった。山は黒地が目立ったが、それでも、谷を埋めた白い残雪は稜線付近まで続いていた。

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