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人ヶ谷山、大峰、鍋倉山

1998年4月12日 日帰り グループ12名 晴

人ヶ谷山 ひとがやにやま(831m)
大峰 おおみね(929.3m) 三等三角点
鍋倉山 なべくらやま(1107.0m) 三等三角点 川内山塊(新潟県) 5万 御神楽岳 2.5万 越後豊川、高石
ガイド:LATERNE 2巻 p.288-297、LATERNE 5巻 p.397

4月12日(日) 5:45 新潟発=(磐越自動車道、津川IC、R.49、三郷、上村、八田蟹、箕輪林道 経由)=6:45 大平橋〜7:02 発―7:15 尾根取り付き〜7:22 発―8:09 558点―8:45 人ヶ谷山〜8:50 発―9:32 大峰〜9:38 発―10:48 鍋倉山〜11:00 発―11:55 大峰〜14:10 発―14:20 下降点―16:05 312ピーク―16:20 林道―16:32 大平橋=(往路を戻る)=18:10 新潟着

 川内山塊の東部の、会越国境より流れでる室谷川の左岸に、谷沢川を挟んで日本平山と向かい合う、ひと続きの山稜がある。北より大鱒谷山、人ヶ谷山、大峰と続き、鍋倉山の先で、日本平山からの稜線が合流している。一般登山道の無いこれらの山も、箕輪林道を利用することによって、残雪期に登り易くなっている。
 川内山塊は、興味はあるものの難しい山が多く、おいそれと手が出ない。峡彩ランタン会の例会で、人ヶ谷―大峰―鍋倉山の環状縦走をするというので、喜んで参加することにした。鳥屋野公園で集合し、私の車も含めて三台で出発した。津川で高速を下りて、昨年の御神楽岳の思い出が残る、室谷に向かった。御神楽温泉への分岐を過ぎると、直ぐに御番沢川が右から合わさり、右岸から、舗装されて良く整備された箕輪林道に入った。予定では、林道を少し入った所から登り口まで1時間程歩く予定であったが、林道の雪は消えており、途中の溜まった所も除雪されており、結局、登り口の大平橋まで車で入ることができた。路肩に車を停めて、時間の短縮のできたことに感謝して、出発の準備をした。今回の山行は、ワカンとストック必携という連絡があった。沢の左岸の杉林の中に残雪を踏みながら分け入った。しばらく歩いて杉林を抜けると、小窪地に出て、正面に雪の落ちた急斜面が広がり、左手にやぶの出た痩せ尾根が始まっていた。頭上には、白い稜線が横たわっており、楽しい稜線歩きが待ちかまえているようであった。気温は高く、本格的な登りを前に薄着になった。ヤブの登りは、木の枝やツルがが絡まり、体力と根気がいった。次第に残雪も多くなり、頭上に見えていた稜線上のこぶまで登ると、残雪の回廊が続くようになった。歩き易くなった代わりに、急斜面の登りに耐える必要があった。雪は、キックステップの効く、硬からず柔らかずの歩きやすい状態であった。かなりのハイペースでの登りになり、体力温存に注意するようにした。558点は、前方に急斜面の登りを控えた、美しいブナ林の広がる台地であった。左手に人ヶ谷山を眺めながら登っていくと稜線上に出て、日本平山方面の眺めが始めて広がった。雪解けの進んだ林の中でひと休憩した。足元にはイワウチワの葉がつややかに広がっていた。雪の稜線歩きを続けると、第一の目標の人ヶ谷山に到着した。次の目標の大峰は、さらに高く、横に大きく広がっていた。先週に引き続いて、サングラスの必要な快晴の日になった。汗を拭くために外すと、残雪がまぶしかった。雪庇の張り出した谷の向こうには、左手に笠倉山の鋭鋒を従えた御神楽岳が鋭い稜線を見せていた。人ヶ谷山の山頂からは、雪原を駈け下り、再び、長い登りに喘ぐことになった。大峰手前の広尾根から、予定の下降点を捜したが、かなり下方のピークが目印で、尾根にうまく乗るのが難しそうであった。最後の急斜面を登ると東西に広がる山頂の一端であった。西端に進むと、小高くなって周囲の展望の広がる雪原があり、ここに昼の休憩用のテントを張り、ビールを雪の中に埋めた。
 鍋倉山は、まだ遠く、そして高かったが、その鋭い山頂を眺めると、ここで諦めるわけにはいかなかった。一名を残し、他のメンバーは鍋倉山をめざすことにした。大峰から、ブナ林の中をまず下った。稜線上は、大きく雪庇が張り出していたり、雪が消えていたりして、人ヶ谷山―大峰間とは違って、歩き難い所が出てきた。林の中を歩いていると、所々、道跡らしきものがあり、どのように続いているのか、興味を誘った。谷沢川を巻くように西に方向を変えていくと、鍋倉山の鋭鋒も次第に近づいてきた。最後の急斜面をキックステップを効かせながら登ると、南北には幅の狭い鍋倉山の山頂に到着した。前方に小ピークがあるので、深い谷を見下ろしながら細い稜線を渡って、西のピークにまで足を延ばした。地図を確認すると、始めのピークが三角点ピークのようであった。日本平山の稜線が目の前に広がり、西には、川内山塊の山が幾重にも重なっていた。ようやく川内山塊の入口に立つことができ、いつかはあの核心部へと、思いはさらに遠くの山に飛んだ。小休止の後に、再び来た道を戻った。雪も次第に柔らかくなり歩き難くはなっていたが、全般的には下りの道なので、助かった。最後の登りには、力を振り絞る必要があり、雪に埋めておいたビールが心の支えになった。
 テントの中に入って、ビールで乾杯。ゆっくりと時間をとり、酒と食料の豊富な、昼食会になった。下山は、一旦、人ヶ谷山方面に戻り、東に延びる尾根を使うことになった。ブナ林の中を気持ち良く下っていくと、尾根が左手に平行に走り、さらに下るとその間に沢が流れ始めた。歩いている尾根は、急斜面で落ち込み、ヤブが現れた。リーダーは、先週にも、偵察でこのコースを歩いたというが、雪が急速に無くなってしまったという。左手に走る尾根が本来のコースということで、残雪を拾ってトラバースすることになった。明瞭な尾根に乗ってひと安心したものの、再び尾根がヤブで閉ざされるようになった。根気良くヤブコギを続ける必要があったが、それでも、所々尾根が広がってブナ林に入ると残雪歩きになって、歩きがはかどった。小ピークを乗り越え、次のピークにヤブをかき分けながら登ると、ここが312ピークであった。林道も、左手下方に見え始めていた。一旦戻って、尾根から左手の谷間の雪原に下り立ち、そのまま下っていくと、小さな沢の中の道になり、最後は、沢の流れとともに、林道に下り立った。ひとまず、下山できたことにひと安心。尾根が分かれた時に偵察に出て、そのまま遅れてしまったサブリーダーを待つ必要があったが、ひとまず車を取りに登り口に戻ることにした。幸い、車まではそれ程歩く必要がなかった。一同が心配になり始めた時に、御番沢川の上流方向から、サブリーダーが下山してきて、一同胸をなでおろした。
 下りに歩いた大峰の東尾根は、下降点が分かりにくく、細かい枝尾根も入って、下りにのみ使うのは困難なコースであった。人ヶ谷山への尾根の往復の方が、主稜線に到達するには、確実なコースのように思えた。いつか、大鱒谷山へと足を延ばしてみたいと思うが、今年は雪の回廊は消え、来年以降の課題になった。

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