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棚橋山

1998年2月22日 日帰り 峡彩ランタン会会山行(24名) 晴

棚橋山 たなはしやま(674m) 三等三角点(668.0m) 飯豊前衛(新潟県) 5万 津川、2.5万 東赤谷
ガイド:駒文集第五号p.68

2月22日(日) 7:10 新潟発=(新潟中央IC、磐越自動車道、三川IC、上綱木 経由)=8:25 林道除雪終了点〜8:50 発―9:26 林道分岐部〜9:40 発―11:15 棚橋山・西ピーク〜11:24 発―11:35 棚橋山・東ピーク〜12:30 発―14:32 林道分岐部―15:17 林道除雪終了点=(往路を戻る)=16:45 新潟着

 飯豊連峰の大日岳から西に派生する尾根は、蒜場山を経て、俎倉山、馬ノ髪山と続き、棚橋山で終わる。近い距離に稜線を連ねる俎倉山、馬ノ髪山、棚橋山の三山は、俎倉山が良く整備された登山コースを持って日帰りハイキングの山として親しまれているのに対し、馬ノ髪山は登山道があるにもかかわらずほとんど知られておらず、さらに棚橋山にいたっては、登山道も無いといった不遇の山となっている。
 昨年6月に、馬ノ髪山に登って、稜線続きの棚橋山に是非登ってみたいと思った。ヤブも枯れた昨年の11月3日に、松本氏の山行報告を見て、赤谷測からチャレンジしたが、取り付きを誤ったのか、足場の悪い急斜面に、登ることを断念した。地図を眺めて、傾斜の比較的緩やかな林道綱木新谷線側から、残雪期をねらって登るしかないのかと思っていた。
 今年の冬の風邪は悪性で、はじめは喉の痛みであったのが、咳に変わって、二週間も続いてしまった。コタツに入っての長野オリンピック観戦にすっかりのめりこんでしまったが、週末になって、山に行かなければと思うようになってきた。土曜日は、天候もぱっとせず、ひとまず静養日にあてた。日曜日の会山行に合わせて、弥彦山に別コースで登ろうかと思っていたところ、夕方になって上村氏より、弥彦山のスキー山行は雪が少ないために中止になり、棚橋山に変更になったが行かないかという誘いの電話が入った。願ってもないことであったが、風邪による体調不調が不安材料であった。しかし、この機会を逃すわけにはいかず、山の高さの程も判っており、なんとか付いていくよう頑張ることにした。
 集合場所の鳥屋野公園には、思ったよりも多い、24人もの参加者が集まった。今回はスキー山行ということであったが、ワカン組の方が大多数であった。高速道を使うと、林道入口の綱木までは、新潟からはそれほど時間はかからなかった。棚橋山にとりつく際に問題になるのは、林道の除雪状態であったが、今回は、先週木曜日の上村氏の偵察によって、1.3km奥の地点まで、林道の新設工事のために除雪済みであることが判っていた。日曜日で休みになっている工事現場の先の除雪終了点に車を停め、歩く準備をした。
 ワカンで踏み出す雪の林道は、あいかわらず沈み込むものの、表面に硬さが出てきて、春のしまり雪も遠くない感じであった。雪に完全に覆われた林道を歩いていくと、快晴の空の元に、正面に馬ノ髪山、そして左手の山陰から目標の棚橋山が姿を現してきた。写真撮影を口実に一行の列からはずれ、風邪の影響か早くも苦しくなった息を整えた。林道の屈曲点をショートカットしながら約1.6km歩き、林道が南に大きく曲がるバックミラー手前が、山への取り付き地点となった。北に向かって作業道が分かれており、目印になっていた。林道を少し登った左手へのカーブ地点で、直進して雪原に足を踏み入れた。前方には、棚橋山がその全容を見せていた。山の右手は、真っ白に雪を一面に張り付けた急斜面になっていた。左手の斜面には、雑木がまばらに生えているのが見えた。二つの斜面が合わさる尾根は、黒々とした木立が続いており、急ではあるが登れそうであった。緩やかな雪原を登っていくと、右手から沢が回り込んできて、尾根にとりつくには大きく迂回する必要が出てきた。スキー班は、迂回コースをとったが、ワカン班は、一旦沢に下りて、少し下ったところで対岸に上がって、ショートカットをした。尾根の末端に取り付いて、急斜面に変わる手前の大きな天然杉の木の下で、ひと休みをした。登ってくる途中には、何本かの面白い形の天然杉があった。その先でスキー班とも合流し、その先からは全員がワカンに変わった。雪の上にワカンでステップをつけながら登り始めた。急な尾根であったが、木に囲まれているせいか、それ程恐い思いはしなかった。息が切れ掛かる頃、傾斜も緩やかになり、棚橋山の東西量ピークの中間部に登りついた。まずは、左手の三角点ピークに向かうことにした。稜線は、幅3m程の雪稜となり、雪庇も少し張り出し、両測は切り落ちていた。慎重に足を運び、小さなこぶを越したところが広場になっており、ここが三角点ピークのようであった。
 憧れの山頂にようやく立つことができた。汗を拭こうとサングラスをはずすと、太陽が雪に反射して立ち眩みが起きそうになった。周囲には素晴らしい展望が広がっていた。登ってくる途中では大きく目立っていた笠菅山は、すでに低くなって目立たなくなり、その背後には長大な五頭連峰が横たわっていた。右手の加治川の対岸には二王子岳と焼峰山が、春の日差しを思わせる太陽に白く輝いていた。振り返ると、雪稜の向こうに蒜場山、南には遠く御神楽岳や日本平山の連なりも望むことができた。眺めを楽しんだあと、再び、雪稜を慎重にわたり、東峰に向かった。東峰は、三角点ピークの西峰よりも高く、木立に囲まれた広場になっていた。一旦大きく下る稜線の向こうには、馬ノ髪山が、鋭い山頂を見せていた。写真を撮っている間に、雪原を整地し、雪壁をめぐらしてテーブルとベンチを彫り込んでの山の宴会の準備が進んでいた。2月の雪山とは思えぬ暖かい日差しのもとで、ビールがうまかった。
 急斜面の下りは、慎重に足を運ぶ必要があり、リーダーからも注意の声が飛んだ。日当たりの良い場所の雪は、足をのせると、そのまま崩れて、滑りやすくなっていた。急斜面を下りきった所で、ひとまずホット一息ついて、あとは、長く感じる雪道の歩きが待っていた。登山を終えたあとは、風邪気味のために温泉はパスして、そのまま新潟に戻る車に乗せてもらうことにした。

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