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飯森山

1997年9月20日 前夜発日帰り 単独行 晴

鉢伏山 はちぶせやま(1576m) 三等三角点
飯森山 いいもりやま(1595m) 一等三角点穂点 飯豊連峰周辺(福島・山形) 5万 熱塩 2.5万 飯森山 

ガイド:分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)、一等三角点の山旅55コース[東京周辺](山と渓谷社)、ふくしまの山BEST50(歴史春秋社)、越後の山旅 上巻(富士波出版社)

9月19日(金) 20:30 新潟発=(磐越自動車道、津川IC、R.49、会津坂下、喜多方、 経由)=22:50 日中ダム  (車中泊)
9月20日(土) 5:50 日中ダム発―5:54 飯森山登山口―6:33 見晴台―7:10 薬師―7:59 地蔵―8:40 大倉ノ頭―8:49 血ノ池―8:59 高倉窪キャンプ場―9:18 鉢伏山〜9:25 発―10:12 飯森山―10:14 飯森山神社〜10:20 発―10:22 飯森山〜10:35 発―11:22 鉢伏山〜11:40 発―11:55 高倉窪キャンプ場―12:02 血ノ池―12:07 大倉ノ頭―12:45 地蔵―13:16 薬師―13:35 見晴台―13:55 飯森山登山口―13:59 日中ダム)日中温泉ゆもとや入浴後往路を戻る)=18:30 新潟着

 飯森山は、福島・山形県境の、飯豊連峰と吾妻連峰の間に位置する山である。飯森山は、また古飯豊山(ふるいいでさん)と呼ばれることもある。飯豊神社は、会津芦ノ牧温泉近くの本元飯豊山にあったのが、古飯豊山に飛び、次いで飯豊本山に飛来したといわれている。飯森山には、飯豊本山と吾妻一切経山に置かれた一等三角点本点を補う形で、一等三角点補点が置かれている。
 飯森山の登山口になる日中ダムは、喜多方から米沢を結ぶ大峠道路を通る際に、下に見下ろすことから、その位置については知っていた。飯森山の行動時間は長いために、前夜のうちに日中ダムまで入った。翌朝は、台風も過ぎ去って雲がまだ残っているものの、まずまずの天気になった。ダムサイトの駐車場から歩き出すと、直に石の鳥居の置かれた飯森山登山口についた。登山届けのポストがあり、記入かたわら中のカードを見ると、8月から4枚のカードが記入されているだけであった。書かなかった者もいたかも知れないが、登山者は極めて少ない山のようであった。最大傾斜線に沿って一気に登る急登が始まった。登山道には、落ち葉がつもり、前夜までの雨のせいで、滑り易くなっていた。尾根の末端に登り着くと、見晴台という看板が現れた。振り返ると、木々の間から会津盆地を眺めることができたが、見晴台というほどのものではなかった。尾根上に出ても、しばらくは急登りは続いた。登山道脇には、いくつか石の祠も置かれ、信仰の山であったことがうかがわれた。登山道の回りにはブナ林が広がるようになり、いつしか傾斜も緩やかになって、登山道の上に頭を出したキノコを眺める余裕も出てきた。登山道は、時折、東側の崖の縁に出て展望が開けたが、遠くの山々は雲で覆われ、めざす飯森山はその前衛の山に隠されて見えなかった。ブナ林の中では明瞭な登山道も、高度が上がって潅木が目立つようになった大倉ノ頭の先あたりからは、草が覆ったり、木の根が斜めに張り出したりして歩き辛くなってきた。途中で、赤沢からの登山道が合わさるはずであったが、行きも帰りも、判らないうちに過ぎてしまった。かなり歩いたなと思う頃になって、ようやく前方に三角形の頭を持った鉢伏山が近づいてきた。鞍部には、高倉窪キャンプ場という標識がかかっていたが、草むらにテントがひと張りがやっとで、水場もなさそうで、誇大表示のような気がした。鉢伏山の山頂は、小広場になって、三等三角点と崩れ掛かった石の祠が置かれていた。山頂からは、東西に展望が開けていたが、めざす飯森山を眺めるには少し先に進まなければならなかった。峰を横に並べた重厚な姿をした飯森山にようやく対面できたが、その山頂に至るには、一旦大きく下って登り返す必要があった。鉢伏山からの下りは、草が被って下が見えないような荒れた道になった。下った所で草地に出て、足を踏み入れようとすると、そのまま沈みこんでしまい、登山靴の中まで水が入ってきた。湿地の迂回はできないため、縁の沈みこまなそうな所を、ストックで探りながら通過した。その次は、頭を覆うササのヤブコギになった。鞍部を過ぎて登りにかかると、幸い、道はしっかりしてきた。飯森山の三角点は、奥のピークの登山道脇の高みにあった。登山道をそのまま進んで僅かに下ると、石の祠が二つ置かれた広場に出た。祠には、御神酒を捧げられ、地元の信仰が続いていることがうかがわれた。広場の先にも、踏み跡が続いていた。山頂の標識にある沢コースのようであったが、少し先に進んだ所で、道はかすかになってしまっていた。稜線は栂峰に続いていたが、栂峰には山形県側から登り直さなければならないようであった。宿題がまたひとつといったところか。三角点ピークに戻って、ひと休みした。飯豊と吾妻連峰の眺めが良いといわれているが、あいにくとそれらの山頂部は雲で覆われていた。普通なら、目的地の山頂で大休止となるところであったが、ヤブコギが気がかりで、鉢伏山に戻ってから昼食にすることにした。鉢伏山の鋭い山頂が目印になって、コースを辿るのに問題は無かったが、途中の湿地帯ではまってしまい、登り着いた鉢伏山で靴下を絞るはめになった。ようやく雲が上がり始めて、幾重もの山波の向こうに磐梯山や吾妻連峰が姿を現してきた。1500m級の標高からはうかがい知れない、奥深い山であった。その後の下山は、次第に近くなってくる磐梯山を時折眺めながら、ブナ林の中の尾根道を気持ち良く下り、最後の急斜面を停まらないといいながら走り下りると、登山口に飛び出した。
 下山後の温泉入浴のために、ダムに登ってくる途中に看板の出ていた、日中温泉ゆもとやに向かった。秘湯を守る会の宿であったが、700円で日帰り入浴可能であった。周辺にある日帰り温泉施設や共同浴場よりも料金は高かったかもしれないが、誰も入っていない温泉を一人じめにすることができた。その後は、喜多方で名物のラーメンを食べ、アフターハイクも充分に楽しむことができた。

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