9737

八幡平

葉山(長井)

1997年7月26日〜7月27日 前夜発1泊2日 晴/晴

茶臼岳 ちゃうすだけ(1578m) 二等三角点 八幡平(岩手県)
源太森 げんたもり(1591m) 八幡平(岩手県)
八幡平 はちまんたい (1613m) 二等三角点 八幡平(岩手県・秋田県)
畚岳 もっこだけ(1578m) 三等三角点 八幡平(岩手県・秋田県)
  5万 八幡平 2.5万 茶臼岳、八幡平
ガイド:アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県ガイド「岩手県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「八幡平・岩手山・秋田駒岳」(昭分社)

葉山(長井) はやま(1237m)  5万 手ノ子、荒砥、朝日岳、赤湯 2.5万 羽前上郷、荒砥、羽前葉山、長井 朝日連峰(山形県)
ガイド:分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山形百山(無明舎)

7月25日(金) 20:50 胎内発=(R.290、R.113、赤湯、R.13、山形、山形自動車道、東北自動車道 経由)
7月26日(土) =13:00 長者原SA  (車中泊)
4:00 長者原SA発=(東北自動車道、松尾八幡平IC、八幡平アスピーテライン 経由)=7:05 茶臼岳登山口〜7:22 発―7:51 茶臼山荘―7:56 茶臼岳〜8:02 発―8:07 茶臼山荘―8:32 黒谷地―9:02 源太森〜9:15 発―9:29 稜雲荘―9:38 八幡平―10:04 八幡平駐車場〜10:09 発―11:10 茶臼岳登山口=11:32 畚岳登山口―11:52 畚岳〜12:10 発―12:28 畚岳登山口=(藤七温泉入浴、八幡平アスピーテライン、松尾八幡平IC、東北自動車道、古川IC、R.347、尾花沢、R.347、河北 経由)=21:00 道の駅河北  (車中泊)
7月27日(日) 4:30 道の駅河北発=(寒河江、R.287、白鷹、白兎 経由)=5:53 森林公園〜6:13 発―6:18 葉山登山口―7:05 赤松の展望台―7:21 山頂見晴らし―8:05 水場入口―8:12 草岡分岐―8:13 葉山山頂―8:22 奥の院〜8:36 発―8:45 葉山山頂〜8:48 発―8:49 草岡分岐―8:55 水場入口〜8:58 発―9:24 山頂見晴らし―9:34 赤松の展望台―9:59 葉山登山口―10:03 森林公園=(長井、飯豊、手の子、R.113、中条、蓮野IC 経由)=13:10 新潟着

 八幡平は、オオシラビソの樹林帯の広がる中に湿原が点在する、高原状の山である。八幡平の最高点は、目立ったピークとはなっておらず、駐車場から遊歩道を通って観光客も簡単に訪れることができるが、茶臼岳や源太森、さらに裏岩手縦走路の入口の畚岳など、展望を楽しめるピークも多い。多くの百名山ファンがこの山を訪れるが、レストハウスからの往復という、ついでの山で済ますことが多いようであるのは残念なことである。
 山形県には、葉山と呼ばれる山が幾つもあるが、長井葉山は、朝日連峰の前衛の山である。上杉の家臣の直江兼続が属領の米沢と庄内を結ぶために切り開いたという、朝日軍道は、この山が基点であったという。山頂は、これといったピークの無い台地状で、一隅には葉山神社が置かれている。
 医局旅行の後で、飯豊に登るつもりであったが、台風が四国地方に接近しており、台風から逃げるために北に向かうことにした。八幡平は、大学の最終年の夏休みの東北旅行の際に、山頂に立ってはいたが、観光ではない登山を改めて行うことにした。いつもの様に東北自動車道のパーキングで仮眠をしてから北上し、八幡平アスピーテラインを上がっていくと、霧の中から岩手山が姿を現した。台風からは逃げ切ることができて、青天が広がり絶好の登山日和になりそうであった。茶臼岳バス停脇の駐車場から歩き出した。笹原の中の登山道は、笹がかぶり気味で、朝露でズボンのすそが濡れてしまった。道路からは、すぐそこに見えていたのは偽ピークで、ひと登りすると東斜面を巻くような道になり、樹林帯の中に建つ茶臼山荘の前に出た。十字路を左折して、樹林の下をかいくぐるように登ると茶臼岳の頂上に飛び出した。三角点の置かれた岩場の先の崖の縁は広場になっており、展望が開けていた。深い樹海が穏やかな起伏しながら広がっていた。足元には、自動車道路がうねうねと続いていたが、さらにその下の谷間には、いくつかの沼や湿原が点在していた。岩手山は、高く、裾野を大きく広げ、裏岩手連峰も手にとるように見ることができた。遥かに八甲田山や鳥海山も浮かんでいた。静かな朝の展望を楽しんだ。茶臼山荘の前に戻って、黒谷地に向かった。道は、広くなったものの、石が転がり、少々歩きづらかった。鞍部には、黒谷地湿原が広がり、ニッコウキスゲが咲き始めていた。湿原には、木道が敷かれ、中央部には展望台が儲けられていた。再び登りにかかると、雨水で登山道は大きくえぐられ、その縁を注意しながらたどるような道になった。やがて、台地上に出て、見通しも利かないアオモリトドマツの樹海の中の道になった。歩いた時間からそろそろかなと思いながら進んでいくと、右手に道が分かれ、ひと登りすると源太森の山頂に出た。ここの展望も素晴らしく、樹海の中に八幡沼が青く光るのを眺めることができた。八幡平の山頂は、その背後の樹海の高まりの中にあるようであった。それまでの樹海の中の歩きが、見晴らしの利かなかったものであっただけ、山頂からの眺めが明るく感じられた。八幡沼に下ると、親子連れのハイカーに出合うようになった。木道を過ぎると遊歩道として整備された道になった。コバルトブルーの水をたたえたガマ沼の縁をかすめてひと登りすると、八幡平の山頂に出た。樹林帯の中の三角点の脇には、大きな標柱が立てられ、展望台も設けられ、山の雰囲気を壊していた。ガマ沼と岩手山の組合せの風景を楽しんだ後に、八幡平バス停のレストハウスに下りた。バスの時刻表を見ると、40分程で出発する都合の良い便はあるものの、歩いてもそれほど変わらないようであった。車道を歩いていくと、黒谷地バス停で、路線バスに追い抜かれた。谷を巻く結構長い道であったが、岩手山や谷間の沼を眺めながらの歩きは飽きなかった。茶臼岳の駐車場に戻ると、周辺の駐車スペースは埋まって、多くのハイカーが入っているようであった。
 車を回収し、畚岳に向かった。1時間かかって歩いた道も、車だとあっという間の距離であった。八幡平バス停から藤七温泉に向かって左折し、坂を下っていくと、裏岩手縦走路の登山口があった。登山口の駐車スペースは満杯で、少し下った所から歩き出した。緩やかな尾根の向こうに畚岳が盛り上がるのが見えた。裏岩手縦走路から分かれて、ひと登りで畚岳の山頂に到着した。緩やかに起伏する八幡平は目の前に、いままで見えなかった焼山が近く、その向こうに森吉山を眺めることができた。八幡平の展望台ともいえるピークをたどり、展望を充分に楽しんだことに満足して山を下った。
 東北の山は、下山後の温泉と組み合わせてこそ、その魅力が増す。八幡平周辺には、御生掛温泉や蒸ノ湯温泉といった有名な山の温泉もあるが、畚岳のすぐ下の藤七温泉に400円で入浴した。冬は休業になるという温泉は、山小屋より少々立派という程度の建物であった。メインの浴槽は、木製のクラシックな作りで、極熱の湯があふれ、秘湯という名に相応しいものであった。露天風呂の浴槽に出てみると、目の前の山の斜面が源泉になっているようであった。
 ラジオを付けると、台風情報が流っぱなしになっており、翌日の天気がどうなるのか判らない状態になっていた。とりあえず、新潟方面に戻ることにした。途中、まだ通ったことのない道を走ったりして、山形県に入った所で野宿になった。夜間、雨と風が強まったものの、朝には登山には支障のなさそうな天気になった。登る山を長井の葉山に決め、登山口の森林公園に向かった。早朝の森林公園は、子供会といった感じのキャンパーで賑わっていた。植林地の中の林道を少し登ると、石碑の置かれた葉山の登山口があった。ひと登りで尾根に出て、あとはこの尾根上の歩きになった。雑木林の中の道は、日差しが遮られていたが、気温が高くて汗がしたたりおちた。この日は、台風の影響でフェーン現象が起きて、猛暑になったようである。一度、里の展望がひらけるものの、雑木林の中で展望は利かない道であった。山に近づいた所で、山頂の展望が開け、その先は尾根の傾斜も増すようで、急登への心備えをした。かなりの急登で、夏の盛りには辛い登りになった。朝日連峰の前衛の山だけあって、周囲にはブナ林が広がるようになった。水場の標識を過ぎると傾斜も緩やかになり、草岡からのコースを合わせて山頂の一画に到着した。少し進むと、二階建ての立派な避難小屋が現れて、その後ろの高みに葉山神社が置かれていた。葉山神社のある所が山頂ということになっていたが、周辺には木立が広がって展望も無く、山頂という雰囲気は無かった。案内標識に導かれて、奥の院に向かった。山頂部の湿原を右に見て進むと、大朝日岳への縦走路を右に分け、一旦下った後に登り返した小ピークが奥の院であった。奥の院の山頂は、ザレ場で木が無く、周囲の展望が広がっていた。谷の向こうには、大朝日岳がすっきりした円錐状の山頂をのぞかせていた。大朝日岳までは10時間の歩きということであったが、いつか歩いてみたいものだと思った。葉山の山頂を振り返ると、樹林に覆われた台地状の地形が広がっていた。下りの途中に、登りの途中にあった水場によった。穴の奥に水が湧いており、頭をつっこんで水を汲んだ。水は冷たく、真夏の日のなによりの贈り物であった。結局、この日の葉山への登山者は誰もいなかった。夏の盛りには、朝日連峰をめざす者の方が多そうである。

山行目次に戻る
ホームページに戻る