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風倉山

1997年5月18日 日帰り 5名グループ 曇り

風倉山 かざくらやま(931.4m) 二等三角点 飯豊連峰前衛(新潟) 5万 飯豊山 2.5万 杁差岳

ガイド:新潟の山旅(新潟日報事業社)、越後の山旅(富士波出版)、片雲往来PARTIII(第一部)-阿賀北の山々-

5月18日(日) 6:15 新潟発=(R.7、聖篭IC、紫雲寺橋、加治、〆切、R.290、胎内スキー場 経由)=7:20 胎内川ダム駐車場〜8:08 発―8:16 展望台―8:26 無線送受信施設―10:20 北ノ峰〜10:25 発―10:35 風倉山〜11:25 発―11:35 北ノ峰―13:04 無線送受信施設―13:10 展望台〜13:25 発―13:24 胎内川ダム駐車場=(胎内パークホテル入浴後往路を戻る)=16:05 新潟着

 風倉山は、飯豊から流れ出る胎内川の左岸にあり、二王子岳から北に延びる尾根上のピークである。山頂には川合神社の祠が置かれ、古くからの信仰の山とされてきた。御神楽岳と同じように、山中で山神楽の音が聞こえたり、ゴヒンサマ(天狗)や雨乞いにまつわる伝説などが残されている。
 今回は、登山メーリングリストの新潟地区のオフラインミーティングとして、仲間を募り、計5名での山行になった。昨日とはうって変わった青空が広がり、新緑がまぶしい胎内渓谷に分け入った。胎内川ダムの駐車場に車を停めて、皆の集合を待った。残雪の残る山の斜面はダムの水面に急激に落ち込み、登山道がどのようにつけられているのか不思議に思った。急用で参加できなくなった黒川村の小熊さんも顔を出してくれて、挨拶の後、見送りを受けて山に出発した。ダムを渡って、対岸の展望台へ階段で登ると、強い日差しの中で、たちまち汗が吹き出てきた。展望台の奥に、上がっていく階段があったが、入口の簡単な扉は閉められて、関係者以外立ち入り禁止の表示があった。他に道は無いので、この道を登ることにした。扉の脇から階段に上がっていく時に、誰かが扉に手を触れると開いてしまい、鍵はかかっていなかった。長い階段登りが続き、帰りに数えたら300段程あるようであった。階段を登り詰めた小ピークの上には、ダムの無線送受信施設が置かれていた。登山道は一旦大きく下り、その先は左右が切り落ちたやせ尾根になった。左手の木の間からは、ダムの水面がはるか下に見えた。尾根道は小さなアップダウンを繰り返し、山に取り付くまでが結構長かった。尾根上には、ヒメコマツやブナの木が並んで、涼しい木陰を作っていた。登山道は、いつしか木の根や枝を足がかりや手がかりにする急斜面の登りになった。途中、マムシも二匹発見され、急斜面の中で、ひと息いれたくとも、腰をおろして休憩する気分になれなくなった。登るにつれ、周囲はブナ林から潅木帯に変わって、標高が上がってきたことが分かった。後ろを振り返ると、残雪に彩られた杁差岳が頭を覗かせはじめ、山頂からの展望を楽しみに、疲れも少しだけ少なくなった。残雪が消えた跡と思われる滑りやすい草付きには、ロープがかけられていた。急斜面を登り詰めると、風倉山の北ノ峰に飛び出した。北ノ峰には、川合神社奥社の小さな祠が置かれていた。両脇は切り落ち、痩せ尾根で中ノ峰へ続いていた。中ノ峰への最後の登りは、固定されたロープやワイヤーを頼りにしなければならない岩場になった。風倉山の山頂には、女性の2人連れの先客がいた。こちらの5名と合わせて7名が山頂に座り込むと、ほぼ一杯になってしまう狭い山頂であった。周囲は切り立った崖で囲まれ、360度の展望が広がっていた。スタートのダムの青い水面は遥か下に、その向こうには杁差岳から鉾立峰、北股岳、大日岳へと連なる飯豊の主稜線、右手には飯豊連峰に負けな程に二王子岳が大きく存在を誇示していた。残雪の朝日連峰や日本海の海岸線は、春霞の中に溶け込んでいた。双眼鏡の助けを借りれば、杁差小屋や二王子岳山頂のカネの吊り柱や人影も眺めることができた。それにしても、今年の雪融けは早く、稜線の雪は無くなっており、そろそろ飯豊連峰にも登れそうな様子であった。眺めをひと通り楽しむと、急におなかも空いてきた。素晴らしい展望は、まいどのコンビニ食料をグルメの味に変えてくれた。女性2人連れが鹿俣川方面に下っていった後で、夫婦連れと、単独行2人登ってきて、狭い山頂は、大賑わいになった。下りは、滑り落ちようとする重力に抵抗しなければならなく、登りに負けないほど汗が流れた。尾根の途中で足を止めると、心地よい風が吹き抜けた。登山道が急勾配であるだけ、標高もどんどん下がっていった。途中で、登ってくる女性2人連れにも出会い、この日の風倉山は大賑わいのようであった。無線施設の置かれた小ピークへの登り返しに最後の力を振り絞り、ダムサイトの展望台に下りたてば、地図で眺めた登山道の波線の長さから思っていたよりもハードであった山行も無事に終えることができた。

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