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虚空蔵山

1997年2月11日 日帰り 単独行 晴のち雨

虚空蔵山 こくぞうやま(466m) 三角点なし 蒲萄山塊(新潟県) 5万 塩野町 2.5万 塩野町

ガイド:片雲往来 PartIII(第一部)ー阿賀北の山々(上村幹雄著 私家本)、緑に親しむ 新潟県森林浴の森100選(新潟日報事業社)

2月11日(火) 7:35 新潟発=(R.7、蓮野IC、R.113、荒井浜、R.345、神林、R.7、猿沢)=9:03 林道柏尾線入口=9:20 大満虚空蔵尊〜9:30 発―9:50 林道ニレ沢線起点―10:46 東入口広場―11:03 林道終点―11::10 菩提池分岐―11:45 虚空蔵山〜12:10 発―12:34 菩提池分岐―12:39 林道終点―12:52 東入口広場―13:26 林道ニレ沢線起点―13:39 大満虚空蔵尊=(朝日まほろば温泉入浴後、往路を戻る)=16:00 新潟着

 虚空蔵山は、蒲萄山塊の南部に位置し、麓に大満虚空蔵尊、山頂にその奥の院がまつられた信仰の山である。山頂一帯は、虚空蔵グリーンパークと名付けられて、森林公園の整備が進められている。
 先日の薬師に続いて今度は虚空蔵。これで、大日に登れればいうことはないのだが、そうはいかない。天気予報では、曇りのち雨か雪となっているが、晴れ間ものぞいた暖かな陽気であった。虚空蔵山の登山口を道路地図で確かめると、いつも利用している朝日まほろば温泉の前で、風呂上がりに眺めていた山であった。猿沢の交差点に、虚空蔵グリーンパークという標識があったので、左折して山に向かうと、すぐに除雪区間は終わってしまった。朝食をとりながら地図を確認すると、これは林道柏尾線の入口であることに気が付いた。林道ニレ沢線に入るには、大満虚空蔵尊を最初の目標にする必要があった。再び車を走らせ、集落内の道を北に向かい、大満虚空蔵尊という大きな看板に従って、両側に除雪された雪が積み重なった車道を進むと、大満虚空蔵尊手前の駐車場に出た。大満虚空蔵尊の社殿には、多くの木彫が飾られ、厚い信仰を受けているようであった。
 社殿の前から、車道は厚い雪で覆われ、スノーシューをさっそく付けることになった。林道の上には、ワカンの跡がついていた。トレースの上を歩くと、スノーシューが窪みの縁に引っかかり、そうかといって、さらの雪面を歩くと、沈み込みが激しくて歩きづらかった。年を経た杉林の中をしばらく歩いた所で、林道ニレ沢線起点という標識が現れた。左手には、浄水施設、さらにその上流にはダムが現れ、ニレ沢は、集落の水源になっているようであった。ワカンのトレースも雑木林の中に消えてしまい、林道には、歩いた形跡が無くなった。春を思わせる陽気のため、セーターを脱ぎ去り、さらに山シャツの袖を折り返しての歩きになった。山肌を削り取って通した林道は、夏であっても、車のすれ違いに注意が必要そうで、車では入りたくなさそうな道であった。林道脇の斜面の雪は、雪解けが進んで、地肌が見えていた。小さな雪崩が、道路を埋めて、デブリの上を乗り越す所も二ヶ所ほどあった。沢を巻きながら登っていく林道は、大きく曲がりくねって、長い歩きに感じられた。標高が上がるに連れ、眼下に雪に埋まった集落、正面に鷲ヶ巣山の眺めが広がってきた。林道の途中から、ここがゴールかと思っていた小ピークの肩にでると、大きな看板があり、その奥に広場とどうやら便所らしい小さな建物があった。看板は、ビニールシートで厳重に覆われて、何が書いてあるのか判らなかったが、どうやらここが東入口の駐車場のようであった。林道は、山腹を巻きながらさらに先に続き、正面に虚空蔵山のとがったピークがそびえていた。山頂は、まだかなりの高みにあった。しばらくの歩きで、林道は終わり、杉の植林地の中の登りになった。森林公園ということで、幅広い遊歩道を想像していたが、積雪も深くなって、木々の間隔から道を推測するしかなくなった。山頂に向かって左手にトラバースしていくと、擂り鉢状の窪地の縁に出た。どうやら、ここが菩提池のようであった。よく見ると、左の小ピーク方面をさしているらしい、標識も立てられていた。虚空蔵山への登り口を、杉の植林地に探したがみつからなかった。菩提池の向こうの尾根に登山道がありそうだったので、窪地の縁を巻いて進むと、標識が現れた。これも厳重にビニールシートで覆われて、なんと書いて有るのかは判らなかったが、右手に登っていく尾根が頂上への道のようであった。虚空蔵山への最後の登りは、雪が深く積もった急斜面で、雪との格闘になった。山頂の奥の院とあずまやがすぐ上に見えるものの、一歩づつの登りになった。斜度を増した数メートルの斜面を登ることができず、斜めに登って行き、折り返して戻るということを繰り返した。スノーシューでキックターンをするはめになるとは思わなかった。ようやく登りついた虚空蔵山の山頂は、奥の院のお堂でいっぱいで、一段下がった所にあずまやが設けられていた。このあずまやも、よしずの冬囲いで中に入れない状態だった。この虚空蔵グリーンパークは、完全な冬季休業中の様であった。お堂に吊るされた銅板を撞木でひと鳴らししてお参りし、雪原に腰をおろして小休止した。山頂からの眺めは、周囲の潅木の枝が、ややうるさかったが、朝日連峰前衛の山々が目の前に広がっていた。まだ訪れたことの無い山域であった。春になったら、訪れてみよう。日差しがきつくなり、サングラスをかけた。飯豊方面の山も眺められるが、東の方から黒い雲が近づいてきていた。
 下りは、山頂直下の急斜面が、まず最初の難関になった。スキーだったらかっこよくシュプールを描きながら、とはいかないまでも、横滑りでズルズルと下りることができるものをと思った。スノーシューは下りに弱く、一歩づつ足元を確かめる必要があった。菩提池まで下りると、歩き易い傾斜になった。林道の終点に下りると、後は林道歩きになり、気分的に楽になった。飯豊の山は雲で覆われ、急に天気が悪くなってきたようであった。ストックにも力を込めて、下りを急ぐことにした。東入口広場に近づいた所で、雨が降り始めた。曇りのち雨の天気予報通りになってしまった。悪い予報ほど、良くあたるみたい。雪の林道歩きはかなりの運動量になり、大満虚空蔵尊の前にあった水かけ不動の水場で、ひしゃく何杯もの水を飲んだ。雨と汗ですっかりグショグショになってしまい、登山口近くにある温泉に直行した。

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