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嶽薬師

1997年2月8日 日帰り 単独行 晴

嶽薬師 みねのやくし(386.7m) 四等三角点 朴坂山塊(新潟県) 5万 小国 2.5万 越後下関、坂町

ガイド:新潟県ふるさとの散歩道(国土地理協会)

2月8日(土) 8:16 新潟発=(R.7、R.113、十文字、磐梯大橋 経由)=9:26 小岩内・嶽薬師登山口〜9:36 発―10:18 油こぼし・展望の地―10:30 姥杉―10:44 うがい池―10:57 嶽薬師〜11:12 発―11:21 うがい池―11:31 姥杉―11:36 油こぼし―12:05 小岩内・嶽薬師登山口=(胎内グランドホテル温泉入浴後往路を戻る)=14:50 新潟着

 荒川町の海岸部付近から内陸部を眺めると、荒川をはさんで、左岸の高坪山と向かい合って、右岸には朴坂山塊が広がっている。この朴坂山塊の中で、三角形の山頂を持って気になるピークが嶽薬師である。峰続きの朴坂山が、一等三角点ピークのために、遠方からの登山者を迎えているのに対し、嶽薬師は地元の信仰の山になって登山道が整備されているにもかかわらず、この山を目的にしたハイキングは少ないようである。
 今年の冬は、冬型の天候はすぐにゆるみ、この週末も晴の予報が出た。スノーハイクを低山で楽しもうと思い、登山のガイドブックには載っていないが、市町村の観光案内に紹介され、地形図にも登山道が記載されている嶽薬師に登ることにした。3月といっても良いような、暖かく、青空の広がる陽気になった。二王子岳、櫛形山脈、高坪山と山を眺めながら車を走らせ、朴坂山塊の麓を流れる荒川のほとりに出た。堰堤の上に車道の設けられた磐梯大橋を渡ると、小岩内のバス停に出て、集落内に入っていく道のかたわらに、嶽薬師登山口と書かれた石柱が立っていた。スノーシューに二本ストックの、スノーハイク装備で出発した。集落内の道は、少し上って左折し、さらに右折する必要があったが、道標がしっかりと付けられていた。細くなった舗装道を歩いていくと、医王院のお堂に出て、そこから登山道が始まった。登山道入口には、金属製の登山届け用ポストが置かれていたが、中のノートを開いてみると、昨年の秋で用紙が終わったままになっていた。登山道は、溝状に削られ、落ち葉の積もる緩やかな登りで始まった。じきに登山道を雪が覆う状態になった。雪の上には踏み固められたトレースがついていたが、最近は人は歩いてはいないようで、ただ動物の足跡が見られるだけであった。動物たちも、薮を歩くよりは、登山道の方が歩きやすいとみえて、小動物の足跡が入り乱れていた。大きめの二つ爪の足跡は、カモシカのものだろうか。雪は、ざらめの状態で、次第に足が取られるようなり、スノーシューを付けることにした。雪が重い分、沈み込みは少なく、雪道でも周囲の風景を眺めながら歩く余裕がでてきた。緩やかな尾根の登りを続けていくと、油こぼしという標識があらわれ、そこは、荒川河口の平野部の風景の展望台になっていた。その先でコースは、いったん尾根を右にはずし、雑木林の中の道になった。かすかな雪の上のトレースが頼りの歩きになった。少し傾斜も増してきた所で、姥杉の下に出た。看板には樹齢800年と書いてあったが、幾つもの幹を出し、横に延びた枝の先は雪による重みのためか折れてなくなり、美しいとはいえないが、目を引きつける姿をしていた。姥杉の先でトレースは無くなり、急斜面の登りになった。急斜面の上からは、雪玉が跡を引きながら転げ落ちてきており、雪崩が少し心配になった。スキーでの登りのように、横向きになって急斜面を登りつめて左に進むと、鞍部から下がってくる窪地に出て、下から上がってきたトレースに再び出くわした。どうやらトレースを外していたようであった。その少し先でうがい池の標識が現れたが、雪のため、池があるのかは判らなかった。稜線上に出ると、桂集落からの登山道が上がってきていたが、雪の上を歩いた形跡は無かった。左手の高みに向かって緩やかに登っていくと、お堂の建てられた嶽薬師の山頂に到着した。お堂には、立派な竜の木彫りが飾られ、地元の厚い信仰を受けているようであった。お堂の後ろの雪原からは、高坪山が向かい合い、その後ろには真っ白な飯豊の山々が霞の中に広がっていた。誰も登って来そうにない山頂に一人いることに満足した。下りは、朴坂山を正面に見ながらの歩きになった。雪の上をたどっていけば、朴坂山までいけそうであった。雪道の下りは、登りと異なり楽であったが、突いたストックが根本まで潜った拍子に、頭から雪につっこむ場面もあった。観光協会の出している散歩道として紹介されている低山であったが、雪の山の登り下りで2時間半もかかり、手応え充分のスノーハイクを堪能することができた。帰りに、近くの胎内グランドホテルで温泉に入浴してから帰宅した。

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