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傾城森、蛤山

1996年11月30日 前夜発日帰り 単独行 曇り後雪

傾城森 けいせいもり(446m) 蔵王連峰周辺(宮城) 5万 関 2.5万 関 ガイド:分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)

蛤山 はまぐりやま(1014m) 二等三角点(981m ) 蔵王連峰周辺(宮城) 5万 上山 2.5万 不忘山
ガイド:分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、宮城の名山(河北新報社)、東北百名山(山と渓谷社)

11月29日(金) 21:00 新潟発=(R.7、R.113、赤湯、R.113、二井宿峠、関 経由)
11月30日(土) =0:45 傾城森駐車場着  (車中泊)
6:48 傾城森駐車場発―6:55 山伏森入口―7:00 山伏森―7:08 山伏森入口―7:17 四等三角点―7:22 傾城森〜7:25 発―7:29 四等三角点―7:37 山伏森入口―7:45 傾城森駐車場=(関、横川 経由)=8:03 蛤山林道口〜8:07 発―8:32 林道分岐―8:47 蛤山登山道入口―9:04 古い林道交差部―9:30 蛤山最高点―9:37 葉山神社―9:48 二等三角点ピーク〜9:50 発―9:58 葉山神社―10:04 蛤山最高点―10:27 古い林道交差部―10:42 蛤山登山道入口―10:52 林道分岐―11:12 蛤山登山道入口=(高畠町むくどりの夢館・温くもりの湯入浴後、往路を戻る)=17:25 新潟着

 蔵王連峰の南山麓を、かつて秋田の佐竹藩をはじめ出羽の大名の参勤交代に使われた主要街道であった、七ヶ宿街道が走っている。この街道沿いには多くの山が続くが、今回の傾城森や蛤山も、そういった里山である。
 傾城森は、七ヶ宿ダムの上流端にふたつ寄り添って並ぶ岩山である。傾城森と山伏山と名前が付けられているが、京都祇園の名伎と修験者との道ならぬ悲恋の伝説が残されているという。
 蛤山は、七ヶ宿のひとつの関宿から北に眺めると山頂部がハマグリの貝殻に見えることが山名の由来という。関宿から眺める蛤山は、蔵王連峰を隠すほど大きく、信仰の山としてその山頂には葉山神社が置かれている。
 みぞれ混じりの本降りは、山に出かける気持ちをしぼませてくれた。しかし、翌朝から強い冬型になるとのことで、早朝の車の走行は危なそうなため、夜のうちに出かけることにした。赤湯までの道は、山形、仙台方面にいつも利用しているR.113であった。その先の二井宿峠から白石への道は始めてであったが、よく見ると、この道もR.113だった。道路地図を見直すとR.113は、新潟市から太平洋側の相馬まで続いていた。身近な道がどこに続いているのか、いがいと知らないものだ。二井宿峠への登りは、細い山道になった。峠付近では、トンネル工事の最中であったので、これが完成すると走り易くなりそうであった。峠の宮城県側は、ほとんど下ることもなく、そのまま真っ直ぐの道になった。七ヶ宿の各集落の入口には、大きな看板が出て、観光に力を入れているようであった。小雪のちらつく薄雲を通した月明かりの中に、傾城森の岩山が浮かび上がり、目的地に着いたことを知った。岩山に向かい合うように大きな駐車場があり、もう少し走った所には道の駅「七ヶ宿」があるようであったが、ここで野宿することにした。
 寒くて目がさめたら、道の上にはうっすらと雪がつもっていた。駐車場の下にかかる赤い吊り橋を渡ると、切り落ちた山伏森の下に出た。遊歩道という名前にもかかわらず、岩が転がって歩きにくい道を右手に回り込んでいくと、山伏森への分岐に出た。コンクリート丸太で整備された階段を登っていくと、山伏森の頂上に出た。山頂には赤い鳥居と祠が祭られていた。山頂は、七ヶ宿の街道や蔵王不忘山を眺めることのできる好展望台であった。分岐に戻って、傾城森に向かった。傾城森の背後に延びる尾根に登ると四等三角点が置かれており、そこから山頂までは急な登りをひと頑張りであった。ここにも、少しふるびた同じ様な鳥居と祠があった。眼下にダム湖を見下ろし、高度感のある眺めが広がっていたが、傾城森の山頂からは、一段低い山伏森は、木に隠され、探さないとそれと分からなかった。この傾城は、いまでは山伏は眼中に無く、もっと背の高い蔵王連山に目移りしているようであった。下りは、丸太の上に雪が乗って滑りやすく注意する必要があった。
 続いて蛤山に向かった。横川の宿を過ぎた所に、古くて字の消えかかった標識のかかる、蛤山への林道の入口があった。林道の入口には鎖がかかっていた。入口には駐車スペースが無いため、少し先の路肩スペースに車をとめて歩き出した。杉林の中の林道をひと登りすると、なだらかな道になった。標識によって、左に分かれる林道に入ると、その先に登山道入口があった。やせ尾根を登っていくと、雪が登山道を完全におおうようになった。ウサギの足跡を追いながら歩いていくと、グローブほどの大きさの足跡が現れた。小雪のちらつく中でも輪郭は明瞭で、それほど時間はたっていないようであった。クマには出合いたくなかったが、幸いこの足跡は直ぐに脇の林の中に消えていった。南蔵王連峰の展望が目の前に広がったが、山頂部は雪雲に覆われ、天気は悪くなり始めているようであった。見下ろす植林地の杉林は、クリスマスツリーのように緑の枝に白い砂糖をまぶしたようであった。登山道にかぶさる林の枝には雪が付いて、白いトンネルになっていた。主稜線に登り着くと、前方に見えるピークめざしての緩やかな登りになった。登山道周辺には、ブナの大木がわずかに残されていた。雑木林で覆われた最高点のピークには、標識はなにも無く、踏み跡はさらにその先に続いていた。緩やかに下って登りかえしていくと、杉の植えられたピークに出て、そこに葉山神社の小さな祠があった。ガイドブックには、ここが山頂とされていたが、写真を取り終えて良く見ると、その先にも道が続いていた。緩やかな尾根上の林の中に続く踏み跡を追っていくと、ガイドブックにあるようなヤブこぎも無く、二等三角点の置かれた小さなピークの上に出た。山頂からの展望は、雪雲に閉ざされていた。下りは、雪と落ち葉のミックスに何度も尻餅をついた。林道に下りたってホットして歩いていくと、10人近い高齢者グループが登ってくるのに出合った。山頂に登って昼食というなら不思議は無いコースタイムではあるが、心配な天気になりかかっていた。車に戻ると同時に、本降りの雪になった。  下山後の温泉として山から近いのは、白石近くの小原温泉であったが、雪による道路の状態が心配になってきたので、帰り道の途中にある高畠町の温泉に寄ることにした。幸い二井宿峠は、シャーベット状の積雪で問題なく通過できた。浜田広介記念館の脇に、むくどりの夢館・温くもりの湯があった。200円と安く、小さめであったが、木の香りの高い浴槽であった。冷え切った体を温めるのには、長いこと温泉に浸かっている必要があった。山形・新潟県境付近から横なぐりの吹雪になり、雪道のノロノロ運転になった。翌日のニュースでは、県境の小国では42センチの積雪になったとのことであった。

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