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飯士山、坂戸山

1996年11月9日 日帰り 単独行 晴

飯士山 いいじさん(1112m) 三等三角点 谷川連峰周辺(新潟) 5万 越後湯沢 2.5万 越後湯沢
ガイド:新潟ファミリー登山(新潟日報社)、新潟の山旅(新潟日報社)、越後の山旅下巻(藤波出版社)

坂戸山 さかどやま(633m)  二等三角点 越後三山周辺(新潟) 5万 十日町 2.5万 六日町
ガイド:新潟のハイキング(新潟日報社)、新潟県ふるさとの散歩道(新潟県観光協会)

11月9日(土) 6:30 新潟発=(関越道、越後湯沢IC 経由)=8:35 岩原第2ペアリフト乗り場〜8:40 発―9:07 第3リフト終点―9:35 鋸コース分岐―9:51 飯士山山頂〜10:15 発―10:32 第8リフト終点―11:07 岩原第2ペアリフト乗り場=(R.17、六日町 経由)=12:05 坂戸駐車場〜12:07 発―12:16 御居間屋敷(おんまやしき)跡―12:56 坂戸山山頂〜13:06 発―13:42 坂戸駐車場=(R.17、小出、R.352、大湯温泉入浴、R.352、R.17、堀之内IC、関越道 経由)=17:30 新潟着

 飯士山は、不幸な山である。古くは上田富士とも呼ばれ、1000mを越える標高を持った大きく裾野を広げた独立峰であるが、四方からスキー場やゴルフ場に浸食されている。山の麓に似合わぬマンションの立ち並ぶ東京都湯沢村を代表する山である。しかし、山頂からの眺めは、鳥瞰という言葉に相応しいものであり、谷川連峰の展望台として、もっと登られても良い山である。
 坂戸山は、巻機山から金城山を経て西に延びてきた尾根が、魚野川に落ち込む所にある山である。上杉長尾の山城が置かれた、史跡の山として知られている。
 この週末も、再び雨。外の様子をうかがいながら、山の計画を立て直した。飯士山は、岩原スキー場でお馴染みではあったが、ゲレンデの最高点から手の届く距離にある山頂には、これまで登ったことがなかった。スキー場によって四方から浸食されており、あまり登る意欲が起こらずこれまで後回しにしてきたが、雨でも歩けるだろうと期待して出かけることにした。上越国境が近づくに連れて、雲に青空の切れ目が入るようになって、遠望もそこそこに広がり、登山日和になった。週末だというのにひと気の見られない湯沢のマンション街を抜けて、岩原スキー場のゲレンデの上部へ車を走らせた。ゲレンデ食堂が立ち並ぶ、中間部のリフト乗り場から歩き出すことにした。山頂は、ゲレンデの上の、それほど遠く無いところに見えた。付近に登山標識などは無く、山頂めざして、立ち入り禁止と書かれたゲレンデ内を真っ直ぐ登ることにした。スキーゲレンデの登りは、見晴らしが良すぎて距離感が失われているせいか、見た目よりも辛い登りになった。汗をかいて第3リフトの終点まで登ると、左手の尾根に登山道が始まった。潅木の葉はすっかり落ちつくし、やせ尾根の登りは、見通しが良くなっていた。なかなか急な登りで、固定ロープを頼りに、滑りやすい斜面をよじ登った。谷向こうに見えていたリフト終点ピークと同じ高さまで登ると、左手から鋸コースが合わさり、小ピークの上に出た。道が少し下った向こうに、飯士山のピラミッド型の山頂が、そびえていた。最後の急登を頑張ると、飯士山の山頂に飛び出した。山頂からは360度の展望が広がっていた。平標山から仙ノ倉山、万太郎山、茂倉山、一ノ倉岳、七ツ小屋山、大源太山、そして朝日岳に至る谷川連峰、さらにその左には柄沢山を経て巻機山、その後ろには八海山と中ノ岳が顔を覗かせていた。魚沼平野のかなたには、弥彦山も魚野川から立ちのぼる霧の上に頭を覗かせていた。晴れた日なら、日本海を越して、佐渡も良く見えそうであった。高度感のある展望で、足元には、魚野川と関越道が大きな曲線を描き、湯沢の町に増殖したマンション群も、箱庭のように小さく見えた。登ったピークを思いだし、まだ登ったことの無いピークに思いを馳せた。ピークの北側の山頂部や一段下がった窪地には、野仏が祭られていた。下りは、急坂を少し戻った所から、北東に延びる尾根を下って、リフト最高点ピークを目指した。あまり歩かれておらず、潅木の枝をかき分ける状態であった。葉の落ちた季節ならよいが、葉が茂っていると、見通しが利かず不安になりそうな道であった。時間にすると短い下りで、リフト終点に到着した。ゲレンデを真っ直ぐに下ったが、始めは急斜面で歩くのは楽ではなかった。ゲレンデということもあるが、大展望を眺めながらの下りになった。
 青空も広がっていたので、もうひと山登ることにした。坂戸山の登山口は、各方面から幾つかあるようであったが、六日町市街手前に坂戸という表示が現れ、魚野川を渡ったところの坂戸温泉の入口に、坂戸山の案内板が現れた。左手に曲がって、山に向かっていくと、駐車場が現れた。山中の史跡を巡って登り、帰りは薬師尾根を下るつもりで歩き出した。車道を少し登った所で、杉林の中に入っていく登山道が現れ、この道を進んでいくと、御居間屋敷(おんまやしき)跡に出た。この先で尾根の上に出てしまい、当初の心づもりの道とは違ってしまった。尾根道は、丸太の階段登りが延々と続いており、眺めも良いかわりに、辛い道であった。途中、資材をケーブルで上げて、遊歩道の造成工事を行っていた。右手から回り込むように急坂を登ると、中央にお堂が置かれ、広場になった坂戸山の山頂に到着した。山頂には杉が植えられて、展望がふさがれていたが、立つ場所を選ぶと、なかなかの展望を楽しむことができた。尾根伝いに金城山が高く、八海山が大きく広がっていた。帰りは、魚野川を眼下に見ながらの一気の下りになった。最後に、石仏が並んだ林の中を下っていくと、駐車場の脇に飛び出した。
 坂戸温泉の日帰り温泉はべらぼうな料金のため、車を少し走らせて、小出の奥の大湯温泉・湯之谷村交流センター(500円)に入浴した。付近から仰ぎ見る越後駒ヶ岳の山頂部は所々白く染まり、冬もすぐそこまでやってきていた。

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