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惣山

五葉山、室根山

1996年11月2日〜11月3日 1泊日 10名グループ/単独行 雨/晴

惣山 そうやま (816m) 三等三角点
前山 まえやま (835m) 三等三角点 会津(福島) 5万 宮下 2.5万 沼沢沼
ガイド:分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)、ふくしまの山50(歴史春秋社)、ふくしまの低山50(歴史春秋社)、新ハイキング96年9月号p.38-40

五葉山 ごようさん(1351m) 測定点 一等三角点本点(1341.3m) 北上山地(岩手) 5万 遠野、2.5万 五葉山
ガイド:アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「岩手県の山」(山と渓谷社)、日本300名山ガイド 東日本編(新ハイキング社)、東北百名山(山と渓谷社)、一等三角点百名山(山と渓谷社)、一等三角点の名山と秘境(新ハイキング社)

室根山 むろねやま(895m) 一等三角点本点 北上山地(岩手) 5万 千厩、2.5万 折壁
ガイド:分県登山ガイド「岩手県の山」(山と渓谷社)

11月2日(土) 6:00 新潟発=(盤越自動車道、安田IC、R.49経由)=7:40 会津坂下IC前=8:34 発=(R.252経由)=9:10 沼沢湖レストハウス駐車場〜9:30 発―9:54 惣山登山口―11:10 惣山〜12:10 発―12:56 みえるヶ丘―13:32 前山―14:36 沼沢湖レストハウス駐車場=(宮下温泉ふるさと荘入浴、R.252、会津坂下IC、盤越自動車道、東北自動車道 経由)= 22:00 前沢SA  (車中泊)
11月3日(日) 4:30 前沢IC発=(東北自動車道、水沢IC、R.397、住田、R.107、日頃市 経由)=6:20 赤坂峠〜7:00 発―7:38 畳石(四合目)―8:06 八合目―8:13 しゃくなげ荘―8:23 日枝神社―8:33 五葉山山頂(一等三角点)―8:38 日ノ出岩〜8:48 発―8:55 五葉山山頂〜9:02 発―9:08 日枝神社―9:18 しゃくなげ荘―9:26 八合目―9:47 畳石(四合目)―10:15 赤坂峠=(日頃市、R.107、大船渡、R.45、気仙沼、R.284、室根 経由)=13:21 室根山頂駐車場―13:28 室根山山頂〜13:34 発―13:42 室根山頂駐車場=(R.284、一関IC、東北自動車道、古川IC、R.47、鳴子(滝乃湯入浴)、新庄、余目、R.7、神林、R.345、R.7)=23:00 新潟着

 会津の北を流れる只見川のほとりに、山に囲まれた幅2kmほどの沼沢湖がひそやかにたたずんでいる。大蛇伝説が残され、夏にはそれにちなんだ祭りも開かれて、その時は人で賑わうという。沼沢湖は、以前は沼沢沼と呼ばれていたが、最大水深96mで、湖の方が適切なようである。また、沼沢湖はカルデラ火口湖で、透明度は全国11番目ともいう。沼沢湖をとりまく外輪山には、惣山や前山のピークがあり、これらの山を結んで、湖を周遊するコースが整備されている。
 五葉山は、北上山地の南に位置し、伊達藩直轄の重要な森林資源の山であったため、御用山と呼ばれていたのが転じたと言われている。シャクナゲ群落が残され、ニホンシカやニホンザルも生息して、豊かな自然が残されている。  室根山は、北上山地の南部に位置する、磐井富士とも呼ばれる独立峰である。8合目には室根神社が置かれた古くからの信仰の山であるが、現在では山頂直下まで車道が通じ、歩かずにも登れる行楽の山になっている。
 登山メーリングリストのオフラインミィーティングの会場として、晩秋でも登ることのできる、標高のそれほど無い惣山を選んだ。福島県に入ると、小雨の降るあいにくの天候になってしまった。集合場所に選んだ会津坂下IC出口のコンビニ駐車場には、参加予定者が三々五々集まってきた。メールで話を交わしたことはあっても、顔を合わせるのは初めてで、挨拶もなんだかちぐはぐなになってしまった。合計10名の参加者となり、あまり知られていない会津の奥の低山ハイクということからすれば、予想以上のメンバーが集まってくれた。紅葉も山から麓に下りてきて、只見川沿いの道路は、紅葉の盛りであった。これで晴れていたら、いうことはは無かったのだが。沼沢湖の湖畔は、雨ということもあってか、ひっそりとしていた。雨具を着込んでの出発になってしまった。湖の対岸には、惣山が頭をもたげ、大きく下った先に前山が続いていた。それほど高い山では無いが、湖を一周する道は、それなりの歩きでがありそうであった。出だしは車道歩きであったが、周囲の木々の紅葉や湖の風景を眺めながら、雑談を交わしながらのんびり歩くことができた。小さな神社のある惣山登山口から、登山道が始まった。杉林の中のつづら折りの登りを続けると、直に湖面は遥か下になった。高度を上げていくと雑木林に変わった。紅葉もすでに終わって葉の落ちた雑木林は、見通しが良くなっていたが、ガスにおおわれて展望は閉ざされていた。会話がはずむよりは、すっかり息がはずんで、黙々と登り続けるようになってしまった。登山道は、丸太などで整備され、急な斜面には鎖も掛けられていたが、落ち葉で登山道はおおわれて滑りやすかった。やせ尾根の通過や、湖面まで切り落ちた斜面のトラバースなどもあり、けっしてあなどれない道であった。細かいアッップダウンもあり、雨の降りそぼる中、めざす惣山の山頂には、なかなか着かなかった。前方に見え隠れしていたアンテナの立つピークに到着すると、そこが惣山の山頂であった。あづまやがあり、昼の大休止とした。山頂の先を覗くと、車道が登ってきて、作業中の車も止まっていた。いつもなら、山頂のあづまやなんかの人工物を無用のものだといって毒つくのだが、今日のところは雨宿りができて昼食を広げることができるのが有りがたかった。人それぞれの昼食を広げ、おしゃべりを楽しんだ。あづまやの上の三角点の置かれた山頂で記念写真を撮ったが、背後の風景はガスに閉ざされていた。再び歩き出すと、湖面めがけての一気の下りになった。背後に高くなった惣山を振り返りながら、紅葉の雑木林の中を進んでいくと、石碑の立つ広場に出た。その先を進んでいくと、道が湖の縁から外れて下っていき、先頭から、車の轍があると声が戻ってきた。太郎布(たらふ)高原から、みえるヶ丘に上がってきている道に入りこんでしまったようであった。少し戻ってみると、確かに湖沿いの稜線上に、踏み跡があったが、太郎布高原への道の方が、格段に広くて明瞭であった。落ち葉のせいもあったかもしれないが、おそらく多くの者がここで迷ってしまいそうで、標識が欲しい所であった。前山への道は、惣山付近に比べて、かなり細くなってしまった。再び、登りのやり直しになった。山頂一帯は雑木林におおわれて、どこが山頂なのか判然としなかったが、歩いていくと、朽ちた木の柱があり、そのかたわらに三角点が埋まっていた。その先の岩場を通過すると、つづら折りの一気の下りになった。濡れ落ち葉におおわれた黒土の道は滑りやすく、一行の中からも、しばしば滑ってしまった悲鳴が上がった。谷間に出て植林地の中を緩やかに下っていくと、湖畔沿いの道になり、しばらく先で車道に出た。サイクリング用の湖畔道路をたどっていくと、キャンプ場の一画に出て、ようやくコースを一巡することができた。「登山道はよく整備されており初心者や家族連れでも充分に楽しめる」とガイドブックに書いてあったが、どうしてどうして、雨の中のなかなかハードな歩きであった。
 再会を期して沼沢湖湖畔にて解散としたが、有志にて温泉に向かった。付近には候補の温泉は幾つかあったが、宮下温泉ふるさと荘に入ることにした。温泉に浸かってみると、改めて体が冷えきっていることに気づいた。少し古めいた浴室であるが、熱い湯で、値段も300円ということなので、推薦マークということにしておこう。山の後の温泉にて、今回のオフラインミィーティングを締めめくくり、それぞれ、次の目的地に散らばっていった。
 オフラインミィーティングの取りまとめ役として、また天気のこともあって、次の山についての考えがまとまらないでいた。連休ということで時間の余裕もあるので、岩手の五葉山まで足を延ばすことにした。その日のうちには、高速を下りてから五葉山の登山道までは行き着けそうもなかったので、前沢SAにて車中泊にした。翌朝は、前夜とうって変わった晴天になった。国道から分かれて五葉山へ向かうと、牧場の中を登っていく道になり、緩やかなすそ野を広げた五葉山の肩にある、送電線の通過している赤坂峠に到着した。峠には、大きな駐車場ときれいなトイレが設けられていた。登山口の鳥居を抜けて広い登山道を緩やかに登っていくと、合目標識が現れた。3合目は、塞の河原で、多くの小さな石積みが並んでいた。登山道周囲の木々は、完全に木の葉を落としており、白樺の木立が逆光の中に光っていた。四合目の畳石から、登山道は急になった。丸い頭のピークに登り着くと、そこはまだ八合目で、緩やかな台地状の斜面の先に、なだらかな山頂が横たわっていた。シャクナゲなどもめだつ潅木帯を歩いていくと、立派な避難小屋のしゃくなげ荘に到着した。小屋の前には、水場が設けてあり、勢い良く水が流れ出ていた。山腹を左に巻いていくと、日枝神社に出て、そこから幅広い尾根を緩やかに登っていくと、あまり趣味の良くない山頂標識の立つ一等三角点ピークに出た。周囲には、360度の展望が広がっていたが、その先の方が少し高いため、さらに道を進んだ。潅木帯の中に入ると、突如目の前に、岩に縦に刻目を入れたような奇岩が現れた。その後には、大きな岩が積み重なっており、ここが最高点のようであった。もう一度、日ノ出岩を良く見物した後、三角点ピークに戻った。早池峰は近く、遠くには焼石連峰が、ゆるやかな北上山地の上に頭をもたげ、山の麓にはリアス式海岸が輝いていた。日差しは柔らかくとも、吹く風は冷たかった。帰りにしゃくなげ荘を覗くと、内部は新しく、泊まり心地は良さそうであった。軒下に鐘が吊るされており、ひと鳴らしした。いい音が山中に響いた。南部鉄だけのことはあるようである。下山途中、多くのハイカーが登ってくるのに出合った。駐車場は、かなり埋まっていたが、さすがに岩手ナンバーの車ばかりであった。
 帰りは、せっかくここまで来たので、太平洋岸に出てから戻ることにした。大船渡で、ガイドブックに書いてあった「おさかなセンター三陸」に寄った。家のご機嫌とりに、本場のさんまを買うつもりであったが、残念なことに今年は不良で、さんまは冷凍物しか無かった。しかたなく、二階の食堂で、山がけ丼(800円)を食べて昼食とした。気仙沼手前から一関に向かう途中、一等三角点峰の室根山の下を通過することに気が付いた。ガイドブックを見ると、山頂直下まで車道が登っているようなので、寄り道していくことにした。無線アンテナの立ち並ぶ室根山の頂上めがけて、一気に高度を上げると、青空の広がる上空に、パラセールやハンググライダーが浮かぶのに気が付いた。山頂には、天文望遠鏡のドームや食堂が設けられ、行楽客で賑わっていた。遊歩道を登っていくと、一等三角点の置かれた山頂に到着した。五葉山、早池峰、焼石岳と、確かに一等三角点峰を見通すのにもってこいの、山頂であった。
 快晴の連休で観光客も多く、一関市街は込み合い、鳴子温泉に向かうR.47では両方向とも渋滞になった。鳴子の共同浴場で汗を流そうとして、滝乃湯へ向かったが、周囲の道路は、大混雑になっており、温泉街を出た所の線路脇の道路に車をとめて、温泉に戻った。共同浴場手前の自動販売機で、150円の木の札の入浴券を買った。共同浴場は、6時の夕食時にもかかわらず、大混雑で、浴槽に浸かるのも、うまくスペースを見つけてのことであった。木の樋から温泉の流れ込む、クラシックな浴場で、一流ホテルの豪華快適な浴槽とは違った、共同浴場ならではの趣があった。ひと風呂浴びている間に、新庄方向の道路の渋滞は解消していた。明日は連休最終日で、道路の渋滞もすごくなりそうなので、これ以上の山を諦めて家に帰る決心をした。

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