9632

駒ヶ岳(海谷)

1996年8月17日 日帰り 単独行 曇り

駒ヶ岳 こまがたけ(1487m) 三等三角点 海谷山塊(新潟県) 5万 小滝 2.5万 越後大野

ガイド:新潟ファミリー登山(新潟日報事業者)、新潟の山旅(新潟日報事業者)、越後の山旅 下巻(藤波出版)

8月17日(土) 5:00 新潟発=(北陸自動車道、糸魚川IC、R.148、根知、大神堂 経由)=8:00 駒ヶ岳林道途中〜8:07 発―8:18 ロープ閉鎖部―8:38 駒ヶ岳登山口―8:58 シナノキ水場―9:33 頂上まで1.30マーク―10:00 岩場の水場―10:03 尾根取り付き―10:35 駒ヶ岳山頂〜10:45 発―11:17 尾根取り付き―11:19 岩場の水場―11:50 頂上まで1.30マーク―12:22 シナノキ水場―12:40 駒ヶ岳登山口―12:55 ロープ閉鎖部―13:05 駒ヶ岳林道途中=(往路を戻る)=17:00 新潟着

 駒ヶ岳という名の山は各地にあるが、今回の山は、妙高山塊の西北部にある海谷山塊の駒ヶ岳である。糸魚川から姫川沿いに白馬方面に向かうと、周囲に岩壁を巡らし、ドーム状の山頂を持つ、ひときわ特徴的なこの山が目に入る。百名山で超人気の山となった雨飾山とは、縦走路で結ばれ、その山頂からの眺めでも気にかかるのがこれらの海谷山塊の山々である。しかし、登山道のある山はわずかであり、海谷山塊を代表する駒ヶ岳にしても、訪れる者は少ないようである。
 北海道の山から帰って、月曜日から右膝に痛みがでて、階段の登り下りにも支障がでるほどになったが、週末までにはなんとか直ってくれた。とはいっても、あまり遠出をする気にはなれず、新潟県内の山ですますことにした。集中豪雨被害からようやく復旧して交通量の多くなっているR.148から雨飾温泉の標識に従って県道に入った。シーサイドバレースキー場手前の大神堂入口バス停の脇に駒ヶ岳への道標があり、狭い橋を渡ってその先の集落に入ると、駒ヶ岳林道の入口があった。林道は、車一台がやっとの狭さであり、途中で不安になった。植林地の中を上がっていくと、道は未舗装になって、草がかぶり気味になった。車を進めることをあきらめ、少しバックした後、なんとかUターンして車を路肩にとめることのできる場所を探した。一人で運転して山に向かうときに辛いのは、このような時に、車の後ろを確認してもらえないことである。林道を登っていくと、駒ヶ岳のきりたった岩壁が正面に見え、その頂きにという気合いが入った。林道は、その先で再び舗装になり、荒れた感じではあるが、車を乗り入れることはできるようであった。しばらく歩いた後で、林道にロープが掛けられて閉鎖されている所に出た。ロープを越して少し登った所で、林道の下の盛り土が流出し、道の半分が落ち掛かっている所にでた。対岸の斜面には、集中豪雨の被害によるものか、木が流された土砂崩れの傷跡が残っていた。気温が高く、林道を歩いているだけで、汗がしたたり落ちてきた。林道歩きをもう少し続けると、駒ヶ岳の登山口に到着した。登山口手前には、広場もあり、以前はここまで車で入って登山を開始していたようであったが、この林道が復旧されることは当分ないのではなかろうか。始めは緩やかな登山道で始まり、ひと登りで、パイプから水がひと筋流れ出ている水場に到着した。この先で、見晴らしの良い露岩の上にでると、明星山がミニマッターホルンといった感じで面白く、その後ろに白馬方面の山が残雪を残しているのを見ることができた。ただ、その前に広がるスキー場が目障りであった。その先からは、急な登りに変わった。山につきあたると、道は、右方向に向きを変え、岩壁の下に出た。オーバーハングした岩壁が頭上におおいかぶさり、ガスがかかりはじめて、圧迫されるような眺めであった。岩壁の下をトラバースする道になったが、夏草が登山道をおおっており、アザミもまじる草をかき分けて進むのに苦労した。小さなこぶを鉄の梯子で降りると、岩壁の下のバンドに入った。バンド内は、不安定な岩が転がり、登山道も小砂利でおおわれて滑りやすかったが、固定ロープが延々と続いており、登りの助けになった。この先は、山頂まで、滑りやすい所には、ロープが固定されていた。バンドを抜けると、岩肌を流れ落ちる沢が現れ、このように山頂近くの水場は有り難かった。滑りやすい草地を急登すると、稜線上の尾根に出て、頂上もあとわずかと期待したが、その先も急な登りが続いた。登山道が夏草におおわれているのに苦労しながら登っていくと、前方でガサガサいう音がした。クマかと思って身構えてしまったら、年輩の単独行が下りてきた。結局、この日の登山者は、二名だけだったようである。ようやく左手から来海沢からの登山道を合わせると、その先が山頂であった。入口だけを見ただけでは、来海沢登山道の方が手入れされているように見えた。駒ヶ岳の山頂は、中央に石の祠と、はじの欠けた三角点がおかれた、それほど広くない、雑木林の切り開きであった。登る時には、麓から良く見えていた山頂であったが、登ってきたら、ガスでおおわれていた。晴れていれば、素晴らしい展望が楽しめただろうに。でも誰もいない山頂は、山が自分だけのものになった気分でいいものである。下りは、草で足元が見え難く、しかも滑りやすく、固定ロープに頼りっぱなしになった。太陽は雲で隠されていたが気温は高く、首に巻いたタオルを絞ると汗がしたたり落ちるほどで、全身ズブ濡れ状態になってしまった。ある高さから、虫にまとわりつかれるようになった。タオルを振り回しながら歩いたが、アブもよってきて、背中がさされてボコボコになってしまった。夏の低山は、なかなか手強かった。

山行目次に戻る
ホームページに戻る