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光兎山

1996年6月15日 日帰り 単独行 曇りのち雨

光兎山 こうさぎやま(966m) 二等三角点 朝日連峰前衛(新潟) 5万 小国 2.5万 越後下関、舟渡

ガイド:新潟ファミリー登山(新潟日報事業社)、新潟の山旅(新潟日報事業社)、新潟50山(新潟日報事業社)越後の山旅(富士波出版)

6月15日(土) 5:40 新潟発=(R.7、R.345、十文字、R.113、高田橋、R.290、宮前、中束 経由)=7:14 中束登山口〜7:37 発―7:50 笹峰休み場―8:08 干刈分岐―8:30 虚空蔵峰―8:43 観音峰―8:47 水場入口―9:26 雷峰―9:36 姥石―9:38 ヨ平戻の頭―9:42 鬼雪ノ水場入口―10:00 光兎山山頂〜10:17 発―10:30 鬼雪ノ水場入口―10:35 ヨ平戻の頭―10:40 姥石―10:48 雷峰―11:10 水場入口―11:12 観音峰―11:23 虚空蔵峰―11:39 干刈分岐―11:51 笹峰休み場―12:03 中束登山口=(湯沢温泉入浴後、往路を戻る)=14:55 新潟着

 光兎山は、飯豊連峰と朝日連峰を分ける荒川のほとりに広がる荒川峡温泉郷の奧にそびえる、きれいなピラミッド形をした山である。修験道の山であり、女人禁制が解かれたのは、昭和24年の高岳連の登山大会の時であったという。山名は、山腹に現れるウサギの雪形に由来すると言われている。
 新しく始まった山のメーリングリストでも、雨の日の登山の話題で盛り上がっているが、この週末はあまり天気はおもわしくなさそうで、地元の山に登ることにした。早朝は、雷雨で、出鼻をくじかれたが、直に雨は上がって山に出発できた。一等三角点の朴坂山の麓をかすめて山の奧へ向かうと、ピラミッド形の山頂が美しい光兎山が迫ってきた。中束のバス停の横に、光兎山のイラスト地図が掲示してあり、ガイドブックでは要領を得なかった、登山口への林道の入り方を確認することができた。二峯橋を渡った所で、右に林道が分岐し、ここには光兎山への案内標識が立っていた。砂利の敷かれた林道を緩やかに登っていくと、はっきりした看板の立つ登山口が現れ、その少し先に車5〜6台程の駐車スペースがあった。朝食をとっていると、もう1台車が登ってきた。2人連れであったが、人が食事をしているのに、助手席側の窓ガラスをたたいていきなり話かけてきたりして、どうも煩わしそうな人達であった。
 一応、熊よけ鈴をくくりつけて、雨上がりの登山道に向かって出発した。登山道の傾斜は緩やかであったが、山頂まではかなり距離もあり、途中幾つかのピークを越さなければならないようであった。見晴らしは効かなかった、ブナの美しい自然林を見ながら歩くのは楽しかった。登山道は、しっかり踏まれて歩きやすく、迷う心配の無い道であった。途中に枝分かれする道もあったが、立派な標識が掲示されていた。虚空蔵峰は、祠や石灯篭もあるが、ほとんど見晴らしの効かないピークで、観音峰でようやく光兎山の山頂を眺めることができた。しかし、光兎山の前には、雷峰が高く立ちはだかっていた。観音峰を下るとやせ尾根になり、左右の展望が開けたが、雲が流れて遠くは見えなかった。登山道の脇には、ヒメサユリが点々と咲いており、写真撮影とお花見のために、立ち止まり気味になってしまった。ヒメサユリは、形はニッコウキスゲに似ており、色はピンクのユリである。飯豊・朝日連峰を代表する花と言われているが、これまで、登山道脇に数本見ることができたくらいであったので、今回が一番の数であった。雷峰に到着すると、沢に残雪を残した光兎山が目の前にあった。最後は、小枝も手がかりに使う急な登りになった。駒返しと名付けられた岩を越す所もあったが、固定ロープが掛けられて、難しいことはなかった。ようやくたどり着いた光兎山の山頂は、広場の中央に鉄製の祠が置かれ、三角点と山頂標識、高校合格祈願の新しい木の標柱が置かれていた。広場の片隅には、古い合格祈願の木の標柱がまとめて置かれていた。晴れていたならば、さぞ眺めの良いことであろうと思わせる山頂であったが、天気は下り気味で、名前の通った山としては、鷲ヶ巣山がぼんやりと見えるくらいであった。そろそろ下山しようかと思って、念のためにガイドブックを読み返してみると、祠の中に登山ノートが入っていると書いてあった。祠を開けてみると、中には、夜店で買ってきたようなガラス製のウサギの置物が入っており、現在では、これがご神体のようであった。内部には、お賽銭の十円玉も散乱していたが、透明プラスチックケースに入った登山ノートが置かれていた。メッセージを書いて、ノートを読み返してみると、この山の登山者は、週末にはけっこう多いようであった。
 山頂からの急坂を下っていくと、登山口で出合った2人連れとすれ違った。山頂に何時に到着したかと、いきなり聞いてきた。人の登りのコースタイムを計算して、早いなと言ってきた。山頂まであとどれくらいか聞いてくる人は多いが、こういう人は始めてであった。競争でもしているつもりなのであろうか。急坂を下り終えると同時に雨が降り始めた。ズボンは草の露、Tシャツも汗で、すっかり全身濡れきっており、雨具を着込んでもしょうがないので、リュックにザックカバーをかけ、傘をさして歩き出すことにした。尾根道であったが、幸い風はほとんど無かった。やんだり降ったりを繰り返す中、次第に空が暗くなり、遠くから雷の音が近づいてきた。足を早めて観音峰まで戻ると、後はブナ林の中の道で、歩くのに心配はいらなかった。最後は、土砂降りになり、沢のように水が流れる登山道を駈け下った。車に戻ると同時に雨が止んだのは不思議であった。  雨に降られたが、光兎山は、適当なアップダウンもあって登りがいのある山であり、思わぬ花の山旅になったことに満足した。帰りに、荒川峡温泉で温泉に入ろうと思って、温泉街を走りまわるうちに、湯沢温泉共同浴場をみつけ、100円で入浴することができた。

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