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高森山

1996年5月11日 日帰り 単独行 晴

高森山 たかもりやま(1100m) 二等三角点 会津(福島) 5万 宮下 2.5万 沼沢沼

ガイド:分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)、山を訪ねて(歴史春秋社)

5月11日(土) 5:30 新潟発=(R.49、会津坂下、R.252、田沢湖)=9:15 沼沢集会所〜9:33 発―10:17 林道横断点―10:34 丸山城跡―11:28 高森山〜11:40 発―12:28 丸山城跡―12:37 林道横断点―13:03 沼沢集会所=(往路を戻る)=16:55 新潟着

 高森山は、火口湖である沼沢湖のカルデラのひとつである。沼沢湖は、大蛇伝説もある高原の静かな湖であり、最近では、湖水祭りやオートキャンプ場などで、夏の期間は賑わうというが、それ以外のシーズンはひっそりとしている。
 九州の山旅の疲れも取り切れておらず、それほど高くはない山ということで、新潟からそれほど遠くはない柳津の奧の沼沢湖の周囲にある惣山か高森山をめざすことにした。小雨の中を出発したが、残雪の五頭山や菅名岳を眺めながら、新緑の阿賀野川を遡っていくうちに、晴の日になった。沼沢湖は、新緑に彩られた残雪の山々を湖面に写していた。天気も良くなったので、眺めを楽しむために少しでも高い山ということで、高森山を登ることに決めた。沼沢の集落で高森山の登山口を捜したが、それらしい標識は無かった。ガイドの概念図を見ると、田沢湖にそそぐ前沢の手前に登山口があるようなので、沼沢集会所前の広い駐車場に入ると、福島ナンバーの地元の車から登山姿の三人連れが下りてきた。沼沢集会所の右手に未舗装の農道が上がっていくので、とりあえず偵察に出てみた。田圃の中を少し進んだ所で農道は、左手に曲がって集落の方に向かった。振り返ってみると、三人グループは、農道から直進して休耕田を横断し、杉林の中に登っていくのが見えた。どうやら、そこが登山道らしいことが判ったので、車に戻ってリュックを背負って出発した。杉林の中を、流水溝沿いに登っていくと、道は残雪の中に消えてしまった。先行の三人グループの足跡も、残雪の上に積もった杉の落ち葉の中に消えてしまった。しばらく登ったところで、杉林の中で道が判らなくなった。戻りながら登山道を捜していくと、沢の向こう側に道が見つかった。所々に雪が消えて登山道が現れるものの、落ち葉が積もって、道であることが判りにくくなっていた。残雪の上に残された先行者の足跡を頼っての登りになってしまった。以前に、春の日本平山で、残雪の上に残された足跡を辿っていったら、先行者も道が判らなくなっており、引き返すはめになったことを思い出した。時折道が現れ、登っていくと林道を横断することになるはずということから、残雪の中を登り続けた。待望の林道横断点にたどりつくと、沼沢への下山口の表示が立っていた。林道は、残雪に被われて、車の通行はまだ不可能であった。高森山への登り口は、横断点の正面にあり、再び杉林の中の残雪登りになった。少し登った所で、ブナ林の中の道になり、トラロープも張られた急斜面の登りになった。尾根の一端に登ると、丸山城跡という標柱が立っていた。やせ尾根になって道に迷う心配はなくなり、周囲の展望も楽しむことができるようになった。田沢湖が丸く水をたたえ、その向こうには残雪におおわれた奧会津の山々が広がっていた。残雪に被われた谷から頭をもたげたブナの木々は、芽吹きの淡い緑に飾られていた。谷を巻いていく尾根の向こうに見えるピークが目的の山頂かと思ったら、実際にはその先で、幾つかのピークを越していく、けっこうハードな登りになった。急斜面は、落ち葉が積もって滑りやすく、ロープが頼りになった。登山口にはなんの表示もなかったが、登山道には、真新しいロープが張られているのが不思議であった。山頂手前で、先行の三人グループに追いついてしまい、挨拶をして先行することになった。最後と思われる急斜面を登りつめると、なだらかな稜線歩きになり、セッピの張り出した残雪をたどっていくと、細い杉が二本植えられた間に石の祠と三角点があり、高森山と書かれた板が地面に置かれていた。残雪のほうが高いので、標識がなければ、山頂と判らないところであった。山頂からは、沼沢湖は右の方にそれ、御神楽山から狢ヶ森への連なりが正面に、左の奧には浅草岳が春霞にかすんでいた。山頂でゆっくりと時間を過ごすよりは、下りの急斜面と、残雪の中のルート捜しが気になった。ストックと固定ロープを頼りに、注意深く急斜面を急降下していくと、沼沢湖が近づいてきた。林道に飛び出してひとまず安心し、杉林の中に飛び込むと、登山道は分かりにくくなったが、足跡をたどりながら下っていくと、意外に早く駐車場に戻ることができた。登山口が分かりにくく、また残雪上に先行者の足跡がなかったら、登れたかどうか疑問の残る山であった。

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