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物語山、小沢岳

1996年1月13日 日帰り 単独行 晴

物語山 ものがたりやま(1019m) 三等三角点 西上州(群馬) 5万 御代田 3.5万 荒船山
小沢岳 おざわだけ(1089m) 三等三角点 西上州(群馬) 5万 万場、十石峠 3.5万 神ヶ原、十石峠

ガイド:ガイド:群馬県の山(山と渓谷社)、群馬の山歩き130選(上毛新聞社)、山と高原地図「西上州・妙義」

1月13日(土) 4:10 新潟発=(関越道、上信越自動車道、下仁田IC、R.254 経由)=9:07 深山大橋〜9:10 発―9:47 登山道入口―10:10 鞍部―10:13 西峰―10:18 展望台〜10:28 発―10:22 西峰―10:24 鞍部―10:35 物語山〜10:52 発―10:58 鞍部―11:17 登山道入口―11:46 深山大橋=(R.254、下仁田、大桑原、坊主淵 経由)=12:43 七久保橋―13:05 小倉峠分岐―13:10 椚峠―13:38 前衛ピーク―13:48 小沢岳〜14:05 発―14:13 前衛ピーク―14:35 椚峠―14:45 小倉峠分岐―14:58 七久保橋=(坊主淵、大桑原、下仁田、R.254、下仁田IC、上信越自動車道、関越道 経由)=20:05 新潟着

 物語山は、伝説を秘めた山名から、登ってみたくなる山である。その物語とは、ガイドブックによって異なっているが、「この付近にあった山城の落ち武者が、財宝を携えてこの山に逃げ込み、最後のよりどころとして、山頂直下にそびえたつメンバ岩(メンバとは、この地方でウドンを打つ時に使う板のことをいう。)に登った。追手を恐れて、フジツルを切って落としたが、朝になってみると下りる手段を失っていることに気づき、一同自害して果てた。」というものである。物語山の山頂を眺める時、メンバ岩に目が行って、この伝説を思い出してしまう。
 小沢岳は、頂上部が槍の穂先のようにとがった山で、下仁田周辺から良く目につく山である。その山容から、西上州の槍ヶ岳、あるいはマッターホルンとも呼ばれると、ガイドブックには紹介されている。それはいささか誇大広告のような感じもするが、山頂からは、西上州の大展望を楽しむことができる。
 今週はじめの大寒波の襲来も、ようやく和らぎ、山にでかけることが可能になった。冬は、西上州の山が楽しい。早朝出発したが、眠気がとれず、仮眠を取りながら、ようやく下仁田に到着した。物語山への道は、以前に荒船山に登るために通ったことのある内山峠へ通じる国道沿いにある。目印の深山温泉を見つけ、すぐ先の深山大橋を渡ると冬季休業中の、サンスポーツセンターがあり、その入口前の左手の林道に物語山を示す標識があった。林道に突入するべきか迷っていると、オフロード四駆が林道を登っていった。林道終点までは、40分とあり、路面の凍結も考えられることから、路肩に車をとめた歩き出すことにした。林道は、未舗装で、路面は荒れていた。林道は、沢沿いに山の奥まで続いていた。先に進むと、登山客のものか、路肩にとまった車を見るようになった。林道の分岐に出て、左に進むと、登山道入口の標識が現れた。林道は、さらに奥に続いていた。左手の沢向こうの斜面に付けられた登山道にとりかかると、杉林の中の急斜面の登りになった。砂地で足下が滑りやすく、固定ロープが頼りになった。登り続けていくと、今度は、板状の岩が登山道上に転がる、不安定な急斜面になった。ジグザグを切りながら登っていくと、鞍部に到着し、まず、左手の西峰に向かった。ひと登りで西峰に到着したが、潅木に囲まれ、展望は全く無かった。頂上の標識から、左へ踏み跡を辿ると、崖の縁に出て、ここが展望台のようであった。浅間山が一際大きく、白く輝いていた。鞍部に戻って、物語山の山頂に向かった。潅木に囲まれた尾根を登っていくと、傾斜も緩くなり、左手に回り込むようにして山頂に到着した。木がややうるさいものの、妙義山が正面に峨々たる岩峰を連ね、上越国境の山々が白い峰を連ねていた。風景を楽しんだ後、山を下った。物語山は、人気の有る山とみえて、何人もの登山客がいた。
 車の中で昼食をとり、小沢岳に向かった。地図を見ながら車を走らせていくと、坊主淵から先は、小沢岳を示す標識が現れた。御荷鉾林道との分岐になる七久保橋付近から、路面上に凍結箇所が現れ、橋のたもとから歩き出すことにした。林道は、幅は狭いものの車の通行は可能で、結局椚(くぬぎ)峠まで、オフロード四駆が登っていた。夏ならば、一般乗用車でも、ここまで上がることも可能なようであったが、それでは山を楽しむことはできないだろうと思う。峠から小沢岳へに向かって、尾根上の登山道が始まった。小さなピークが途中にいくつかあった。雑木林の間から、太陽の光が暖かく差し込んでいた。杉林の中の急斜面を登ると、そこは前衛ピークで、山頂はその先であった。ここは、がっかりする者も多い所かもしれない。しかし、山頂はそれほど遠くはなく、潅木の中を登りつめると、石仏の置かれた小沢岳の山頂に到着した。とがった山容に相応しく、周囲の展望を大きく広がっていた。単独行が一人おり、磐戸橋から登ってきたところ、沢沿いの道を2時間も登る必要があって大変であったと話しかけてきた。双眼鏡をかしてくれたので覗いてみると、北アルプスの槍ヶ岳と思われるピークが見えた。その左手の台地の上にアンテナが立ち並んでおり、これは、美ケ原の王ヶ頭のようであった。快晴の日で、上越国境の山もはっきりと見えていた。先ほどまでは、10人程の登山客がおり、すっきりした三角形の白い山を、谷川岳だといっていたというが、どうも万太郎山のようで、谷川岳は榛名山に隠されているようであった。登った山もあれば、登りたい山も姿を現していた。山岳展望の練習問題のような眺めであった。あまり良く解けはしなかったが。家に戻ってから20万分の1地図で確かめると、これらの推測は当たっているようであった。川越から来たという単独行は、タクシ−で登山口まで来て、下山後もタクシーの呼べる所まで歩かなければならないというので、下仁田駅まで車で送ってあげることにした。山の雑談をしながらの下山は、気もまぎれた。

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