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番屋山、八木鼻、大山(道上山)

1995年9月10日 日帰り 単独行 晴

番屋山 ばんやさん(933m) 二等三角点 5万 守門岳 2.5万 光明山、栃堀
八木鼻 やぎはな 四等三角点 5万 加茂 2.5万 森町
ガイド:山と渓谷社93年11月号

大山(道上山) おおやま(どうじょうやま)(298m) 一等三角点補点 5万 三条 2.5万 見附
ガイド:無し

9月10日(日) 7:00 新潟発=(北陸道、三条燕IC、R.289、下田村、八木向、遅場 経由)=8:20 吉ヶ平〜8:40 発―8:53 八十里越分岐―9:04 布倉越分岐―9:06 雨生神社分岐〜9:11 発―9:13 雨生沼―9:30 番屋山へ1kmの道標―10:02 番屋山へ500mの道標―10:16 番屋山山頂―10:20 発〜10:34 番屋山500mの道標―10:50 番屋山へ1kmの道標―11:05 雨生沼―11:07 雨生神社分岐―11:09 布倉越分岐―11:17 八十里越分岐― 11:30 吉ヶ平=(遅場、八木向 経由)=12:03 八木下駐車場―12:08 登山道分岐―12:26 遊歩道分岐―12:24 八木鼻〜12:38 発―12:31 遊歩道分岐―12:43 登山道分岐―12:49 八木下駐車場=(R.289、下田村、R.290、駒込 経由)=14:00 大山〜14:40 発=(北潟、栄町、R.8、三条燕IC、北陸道 経由)=16:44 新潟着

 番屋山は、越後と只見を結ぶ旧街道の八十里越を見下ろして、ひっそりとたたずむ山である。越後と只見を結ぶ街道としては、八十里越と六十里越があった。この峠越は難路として知られ、その為に、実際以上に長い距離を名前に付けられたという。六十里越は、R.252として国道が開かれ、鬼ヶ面山を経由して浅草岳に登る際のアクセスに利用されている。これに対し、八十里越のR.289は、長らく工事中のままである。八十里越の旧街道は、登山コースとして知られているが、最近では、歩く者も少なくてかなり荒れているらしい。
 五十嵐川のほとりにある、100m程の高さを持つ八木鼻の大岩壁は、「八木鼻のハヤブサ繁殖地」として、県の天然記念物に指定されている。この山頂に至る道は、八木山遊歩道として整備されている。
 道上山は、地図上では名前は無く、大山という点名を持っている。一等三角点本点の弥彦山と補点の御摩堂山と共に三角点網を形作る山である。
 番屋山はは、93年の山と渓谷のウィークエンド・ハイクに取り上げられて以来、気になっていた山である。車で吉ヶ平まで入ってしまえば、比較的短いコースタイムで楽勝のハイキングのはずであった。最後のバス停の遅場から先は、幅の狭い道になった。山奥の気配が濃くなると、吉ヶ平に到着した。八十里越の登山基地として利用されてきた吉ヶ平山荘は、92年に閉鎖されてしまっているが、現在では吉ヶ平キャンプ場として使用されている。駐車料金300円と掲示してあったので、廃校を利用した山荘を覗いたが、管理人はおらず、料金箱も見当たらなかった。庭の奥では、草地にまで車を乗り入れて、5組程がオートキャンプ中であった。歩き出すと直に、守門岳の道を右に分け、橋を渡ると車道は終わりになった。庚申塚や草に覆われた石の墓標も現れ、歴史を感じさせる道であった。ススキの原の中で、八十里越との道とも分れて、道標に従って雨生池に向かった。布倉越の分岐の先で、杉林の中を登る道があり、その先に小さな石の祠が置かれた雨生神社があった。細くなった道を登っていくと、突然といった感じで、雨生池のほとりに出た。「あまごいいけ」、「まごいがいけ」、「ぶおいがいけ」、「ぶっさがいけ」といった各種の呼び方があるようであるが、予想以上に大きい水面をたたえ、その向こうに番屋山の一部が姿を見せていた。周辺には、見事なブナ林が広がり、神秘的な風情がただよっていた。この沼には、傷ついた若武者に化身した池の主の大蛇と名主の娘の恋物語が残っているというが、昔話に相応しい風情が残されていた。この一帯は、新潟県森林浴の森百選に選ばれているようである。右手に湖面を見下ろしながら、ブナ林の尾根を緩やかに登っていくと、ガイドにもある番屋山へ1kmの道標が現れた。右に杉林の中を登っていくと、踏み跡が右手の草むらに向かい、その先で道は消えてしまった。杉林の周辺の薮を覗いて道を捜したが、右手の草むら以外に道は無かった。右手の薮に突入して、涸れた小さな沢状の窪地に降りたった。下山時には、そのまま直進する恐れがあったが、道がはっきりしている間は結構あったテープの目印も、ここにはなかった。ビニールテープを持ってこなかった事を後悔しながら、ゴミ袋をかたわらの笹にしばり付けて目印にし、窪地を上に向かった。草のトゲに痛め付けられながら進むと、その先の杉林の中の尾根に再び道が現れた。急ではあるが、はっきりした道で、ガイドにあるように固定された平テープも現れた。登山道が整備されてから日数が経っているためか、この平テープは泥で汚れており、傍らの木の枝を掴む方が、手の感触としては気持ち良かった。500mの道標が現れると、傾斜も緩くなった。途中、笠堀ダムや粟ヶ岳を望むことができる所が一部あったが、展望はほとんど効かない登りであった。山頂は、木で囲まれてあまり展望は良くなかった。滑り易い急斜面を木の枝を頼りに下り、薮に突入して、ゴミ袋の目印で右に方向を変えた。杉林の中の明らかな道に出ると緊張からも開放され、森林浴を楽しみながらの歩きになった。雨生池では一名の釣り客が竿を振るっており、また、沼まで往復の3人連れのハイカーを途中で追い越したが、番屋山を目指す者は他にはいなかった。番屋山は、新潟の山のガイドブックにも載っていないため、登る者も少なく、登山道が整備されたものの、荒れた所が出てきているようである。
 番屋山は手ごわい山であったが、時間も早いため、八木鼻の上に登ることにした。八木鼻の岩壁の下を笠堀方向に通り抜けた所に、遊歩道のための駐車場があった。岩壁を仰ぎ見ながら、来た方向に遊歩道を歩いて行くと、八木神社の手前で山の上に向かう道が分岐した。登っていくと、ジグザグの急な登りになった。汗が再び吹出してきて、吉ヶ平で衣類を全部着替えたことを後悔した。稜線に出て、遊歩道を右に向かって緩やかに登っていくと、八木鼻に到着した。山頂からは、岩壁の様子はうかがい知ることは出来なかった。踏み跡が薮の中に向かっていたが、危険は避けて、粟ヶ岳と五十嵐川の流れの風景を楽しむことで満足することにした。
 新潟への帰り道に、車横付けの一等三角点の大山に寄っていくことにした。下田村付近から東を眺めると、蒲原平野の淵に沿って丘陵地が広がり、その中でも高く、アンテナの鉄塔が立つピークをそれだろうと見当を付けた。駒込から北潟に向かう県道に入ると、林道並みの未舗装の細い道になった。建設中の林道の交差点に車を置いて、その少し先で左手に分岐する車道を登った。アンテナは、NTTの無線中継基地の物であったが、鉄柵で囲まれて頂上には登ることはできなかった。車道の先には、アンテナが立つピークがあったので、そこにも行ってみたが、一等三角点は見当たらなかった。車に戻って、先に進むと、道は下りになってしまった。里見台という見晴しで、ログハウスを作っていた人に尋ねると、一等三角点とは何のことか知らないが、先程のアンテナピークを三角点と呼んでいるとのことであった。やっぱりそうであったのかと思いながら、再び無線中継基地の鉄柵の前に戻った。心やましかったが、柵を乗り越えて敷地内に入り、急いで石段を登って頂上に出た。頂上を見回したが、三角点は無かった。こんなはずではと思って、裏手の薮を覗くと、敷地の外の草地の広場に一等三角点があった。再び柵を越えて、ようやく一等三角点に触れることができた。あたりを見渡すと、下っていく道があった。この道をたどっていくと、中継所のゲートの少し下の右手に出た。草で覆われて気が付かなかったものであった。車横付けの一等三角点の方が見つけるのに苦労するようである。

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