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仙丈岳

1995年8月5日 前夜発日帰り 単独行 晴

仙丈岳 せんじょうだけ(3033m) 二等三角点 南アルプス北部(長野、山梨) 5万 市野瀬 2.5万 仙丈ヶ岳

ガイド:アルペンガイド「北岳・甲斐駒・仙丈」(山と渓谷社)、アルペンガイド「南アルプス」(山と渓谷社)、東京周辺の山(山と渓谷社)、日本百名山・登山ガイド 上(山と渓谷社)、日本300名山ガイド 東日本篇(新ハイキング社)、ヤマケイ登山地図帳「北岳・甲斐駒・仙丈」(山と渓谷社)、山と高原地図「甲斐駒・北岳」(昭文社)

8月4日(金) 16:40 新潟発=(北陸道、上越IC、R.18、須坂長野東IC、長野自動車道、中央道、伊那IC、R.361、高遠町、R.152、戸台口 経由)=23:25 仙流荘着  (車中泊)
8月5日(土) 4:53=仙流荘発(長谷村営バス)=5:46 北沢峠〜5:53 発―6:03 大平山荘―6:45 薮沢徒渉点―7:21 薮沢小屋分岐―7:30 馬ノ背ヒュッテ―7:38 馬ノ背―8:08 仙丈小屋―8:32 仙丈岳〜9:00 発―9:19 仙丈小屋分岐―9:46 小仙丈岳〜10:00 発―10:30 五合目大滝ノ頭(薮沢小屋分岐)―11:24 北沢峠〜11:25 発=(長谷村営バス)=12:08 仙流荘着=(往路を戻る)=20:20 新潟着

 仙丈岳は、南アルプスの女王と呼ばれることもあるように、男性的な甲斐駒ヶ岳に対し、女性的な山といわれている。仙丈岳は、山頂部に薮沢、大仙丈、小仙丈の三つのカールを持ち、残雪が消えたカールや尾根に咲き乱れる高山植物で人気が高い。南アルプスでは、比較的登り易い山といわれ、学校の集団登山も行われ、シーズン中は混み合っている。
 甲斐駒・仙丈と呼ばれるように、この二つの山はセットとして扱われることが多い。先週は夜中の迷走の末に甲斐駒ヶ岳に登ってしまったが,混雑のために,仙丈岳は諦めて山を下りてしまった。今週の山の計画をたてようとすると,やはり残った仙丈岳が気にかかり、この山に登ることにした。先週に比べて、仙流荘の駐車場は静であり、特にテント泊の大荷物を抱えたグループは見あたらなかった。長谷村営バスの5時発の臨時便は、期待通り出ることになった。下山後に尋ねてみたところ、この臨時便は、6時25分発の定期便に積み残しが生じそうな混雑時に出すもので、7月最終土曜日曜が混雑のピークになるとのことであった。二度目の車窓風景であったが、刻々と姿を変える鋸岳や甲斐駒ヶ岳は見飽きなかった。北沢峠から薮沢新道に向かったが、バスから下りた人達は、まずは朝食ということで、すぐに歩き出す者はいなかった。静かな登山道を下って大平山荘に到着すると、登山客を送り出した後の山荘は、掃除の最中であった。暗い樹林の中を登っていくと、先行の登山者にも追い付き始めた。樹林帯の急な登りを突破すると、薮沢に出て、沢沿いの道になった。沢には所々残雪が残っていた。快晴になって日差しが強かったが、沢の水で顔を洗い、喉を潤すことができるのがありがたかった。振り返ると、沢の下っていく向こうに、甲斐駒ヶ岳が大きくそびえていた。高山植物も、顔を見せるようになったが、花期は過ぎているようであった。沢から離れて、シナノキンバイのお花畑を登ると,馬ノ背ヒュッテに到着した。馬ノ背の標識から少し先で尾根に出て、視界が一気に広がった。行く先には、薮沢カールを抱えた仙丈岳が大きく、右手には中央アルプス方面の展望も広がった。薮沢カールへの登りは、団体が一列に続いていたが、風景の写真撮りや高山植物の観察で足を止めてしまうため、その都度追い抜くことができた。薮沢カールの底の仙丈避難小屋からは、仙丈岳の頂上はすぐ上に見え、山頂に休む登山者の姿も見分けることもできた。足下の不安定なガレ場を登ると山頂の稜線のいっかくに出て、稜線をわずかに登って,こぶ状に盛り上がった仙丈岳頂上に到着した。山頂は、狭く、登山者で溢れていた。まずは記念写真を撮ってもらった後に、周囲の風景を楽しんだ。まさに360度の展望が広がっていた。仙丈岳からは三方に尾根が走り、その向こうに、鋸岳、甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰、鳳凰三山、富士山、北岳、間ノ岳、塩見岳、さらにその奥に南アルプス南部の山々、中央アルプス連峰、と全周を山が取り巻いていた。仙丈岳の眺めの素晴らしさは、遠くの山々を遥かに眺めるということではなく、いくつもの日本百名山を、谷越しに大きく眺めることができる点にあった。高度感のあるカールを覗くと、仙丈避難小屋や馬ノ背ヒュッテが眼下に、そして登山者のつくる列を見下ろすことができた。下りは、甲斐駒ヶ岳を正面に眺めながらの歩きになった。すれ違う登りの登山者も多くなった。小仙丈岳も、休む登山者でうまっていた。振り返ると、小仙丈カールを抱いた仙丈岳が、これまでと違った姿を見せていた。甲斐駒ヶ岳も谷越しで、北沢から仙水小屋、仙水峠、駒津峰といった先週の登山コースを、空中撮影のように目で追うことができた。展望の小仙丈岳に別れを告げると、樹林帯の中の一気の下りになった。登山者の多くは、長い登りに苦労しているものが多かった。下り道がいやになってくる頃、北沢峠のバス停の前に飛び出した。着くと間もなく、長谷村営バスの臨時便が出発し、そのまま山を下りてしまった。麓では、団体の観光客を乗せた臨時便が出発するところであったが、北沢峠に観光客が上って面白いのかと疑問に思った。

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