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蔵王・屏風岳

1995年7月1日 日帰り 単独行 雨

屏風岳 びょうぶだけ(1825m) 測定点 一等三角点本点 1817.1m 
杉ヶ峰 すぎがみね(1745m) 三等三角点   蔵王連峰(宮城) 5万 上山 2.5万 蔵王山、不忘山
ガイド:アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、宮城の名山(河北新報社)、東北百名山(山と渓谷社)、一等三角点百名山(山と渓谷社)、一等三角点の名山100(新ハイキング社)、山と高原地図「蔵王、面白山、船形山」(昭文社)
7月1日(土) 3:06 新潟発=(R.7、R.113、南陽、R.13、蔵王エコーライン 経由)=6:40 刈田峠着〜6:45 発―7:23 前山―7:37 杉ヶ峰―8:12 烏帽子分岐―8:28 屏風岳―8:47 烏帽子分岐―9:23 杉ヶ峰―9:37 前山―10:06 刈田峠=(往路を戻る)=15:40 新潟着

 蔵王連峰は、北蔵王、中央蔵王、南蔵王に大別される。一般に、蔵王というと思いうかべる連峰中最高点の熊野岳は、中央蔵王に属している。中央蔵王一帯は、御釜とぞの背後に広がる火山性の荒涼とした風景によって、蔵王エコーラインを利用した観光客も混じって、すっかり観光地化している。しかしながら、エコーラインの南部に広がる南蔵王は、樹木におおわれたなだらかな山が連なり、静かな山歩きが楽しめる。屏風岳は、南蔵王の最高峰であり、山頂より僅かに下がった所に一等三角点本点が置かれている。
 この週末は、梅雨も本格化して、東日本一帯にも雨の予報が出ている。金曜の夜、当初の山行計画を再検討して、梅雨前線の影響の少ない東北の山から、蔵王・屏風岳を選んだ。前回の熊野岳は、百名山の登頂が目的であったが、今回は、一等三角点とお花畑が目的になった。
 刈田峠に到着した時は、どんよりとした雲が広がっていたが、深い樹林帯の上に杉ヶ峰から屏風岳にかけての山なみが広がるのを眺めることができた。刈田峠付近に駐車場は無かったため、路肩に空き地を見つけ、車をとめて歩き出した。登山道の入口には、はっきりした指導標が立っていた。ゆるく下ると小さな草原が現れ、チングルマの花が出迎えてくれた。アオモリトドマツの森を進んでいくと、雨が降り始めた。覚悟の上とはいえ、雨具を着込むと気分もしめりがちになった。前山へのガレ場の登りもそれ程長くはなく、背後を振り返れば、自動車道に切り刻まれた刈田岳を望むことができた。登山道沿いには、花が多く、クロユリも見ることができた。登山道は、沢状に削られ、火山灰性によるものか、雨で極めて滑り易くなっていた。雨具を付けているものの、下半身はすっかり泥だらけになってしまった。緩やかな登りを続けて杉ヶ峰を越すと、芝草平への下りになった。芝草平は、チングルマのお花畑になっていたが、盛りはやや過ぎていた。泥道と格闘しながら登り続け、道が下り始めたと思い始めたところ、ガスの中から屏風岳の標識と一等三角点が現れた。
 屏風岳の最高点には標識は何も無く、三角点の地点が山頂とされていた。日本の山岳標高一覧を引用するまでもなく、山頂とは一番高い所というのが原則である。もっとも、我々一般登山者にとっては、危険地帯に最高点がある場合には、便宜的に頂上の標識を別な所に立ててもかまわないと思う。しかし、登山道が最高点を通っているのに、一段下がった所に山頂の標識を立てるのは、どうしたことなのだろうか。山頂の位置についてのあいまいさは、アルペンガイド「東北の山」、宮城県の山、一等三角点百名山及び一等三角点の名山100のガイドブックにも見られ、これらの本では、屏風岳の標高を1817mとし、三角点の位置を山頂と説明している。また、宮城の名山では、標高を1825mとだけ記載している。これに対し、山と高原地図「蔵王、面白山、船形山」(昭文社)では、正しく、屏風岳の山頂を1825mとし、南に1817.1mの三角点を記載している。今回のようにガスで展望が得られない場合を考えてみよう。刈田峠からの南下の場合には、山頂標識に出合うまでに、山頂を知らずに越してしまうから、山頂に登ったことについてはそれほど問題にはならない。しかし、不忘山方面から北上した場合には、この山頂標識に出合ったならば、ここから引き返して実際の山頂を踏まない可能性も有り得る。山の山頂については、もう少し厳密に考えて欲しいものである。
 雨も激しく、山頂では、三角点の写真を一枚撮るのがやっとであった。ガスで眺めが得られないため、不忘山までの往復を諦め、泥道を注意しながら下った。雨の中であったが、他にも4組の登山者に出合った。前山を過ぎる頃から雨はあがったが、深い霧が立ち込めた。泥だらけの衣類を着替えた後、車のフォグランプを点灯させ、ノロノロ運転で山を下りた。

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