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会津朝日岳、蒲生岳

1994年10月1日 前夜発日帰り 単独行 雨のち曇

会津朝日岳 あいずあさひだけ(1624m) 三等三角点 南会津(福島) 5万 小林  2.5万 会津朝日岳、城郭朝日岳、会津小林
ガイド:東北の山(山と渓谷社)、福島県の山(山と渓谷社)、ふくしまの山50(歴史春秋社)、東京周辺の山(山と渓谷社)、日本百名山ガイド東日本編(新ハイキング社)、東北百名山(山と渓谷社)

蒲生岳 がもうだけ(828m)  南会津(福島) 5万 只見 2.5万 只見
ガイド:福島県の山(山と渓谷社)、ふくしまの山50(歴史春秋社)、東北百名山(山と渓谷社)

9月30日(金) 7:50 新潟発=(R.49、会津坂下、R.252、只見、R.299、黒谷、黒谷基幹農道、いわなの里 経由)=23:40 登山口  (車中泊)
10月1日(土) 5:32 登山口発―5:48 荒禿沢―6:28 三吉ミチギ―7:15 人見の松―7:31 叶ノ高手(かのうのたかて)―8:00 熊の平―8:15 バイウチの高手―8:41 会津朝日岳山頂〜8:54 発―9:16 バイウチの高手―9:27 熊の平―9:53 叶ノ高手―10:06 人見の松―10:31 三吉ミチギ―11:01 荒禿沢―11:13 登山口=(黒谷基幹農道、黒谷、R.299、只見、R.252 経由)=12:05 会津蒲生駐車場〜12:19 発―12:46 夫婦松―12:56 分岐―13:02 鼻毛通し―13:17 蒲生岳山頂〜13:25 発―13:41 鼻毛通し―13:49 分岐―13:58 夫婦松―14:19 駐車場=(往路を戻る)=18:00 新潟着

 会津朝日岳は、只見川と伊南川に囲まれた山地の主峰である。会津朝日岳は峰伝いに会津駒ヶ岳に続き、朝日・駒山地とも呼ばれている。この間の山々は登山道の無い空白地帯となっている。朝日岳という名は、全国各地にあるこの名前の山がそうであるように、朝日が最初に照す山というこに由来する。
 蒲生岳は、只見川から一気にせりあがる独立峰で、会津のマッターホルンあるいは会津の怪峰と呼ばれている。低い山であるが、只見川沿いのドライブの車窓や田子倉ダムからの下流の眺めで、この鋭峰は強烈な印象を残さずいはおかない。
 今年の秋は、はずれの天気が続いている。木曜日に関西に上陸した台風は、金曜日の未明に新潟の日本海沖を通過した。新潟の天気も夕方には回復し、山にでかけることにした。台風一過の晴天の期待と、天気の回復の遅れによる悪天候の両方を予想して、登る山の変更をしやすい会津朝日岳に向かうことにした。 車を走らせて山間部に入ると、雨雲が残っているらしく、激しい雨が時々襲ってきた。道路地図では朝日岳への登山口が不明であったが、黒谷の集落でR.299が左に曲る交差点を直進すれば良かった。ここには、朝日岳登山口と、いわなの里の大きな標識があった。農道から砂利道に乗り入れて、十分程でいわなの里に到着した。シェパードが放されており、吠え掛かるので、ここには夜間車をとめることはできなかった。右に曲って僅かに進むと会津朝日岳の大きな登山標識があった。この先の車道には草が被り気味のため、標識の奥に車をとめた。後で判ったことだが、車はもう少し先まで入ることができ、砂防ダムの堰堤脇に充分な駐車スペースもあった。雨のため、テントを張るのは諦め、車の中で寝た。翌朝も霧雨であった。登るべきか迷ったが、天気は回復しそうなので、雨具を付けて出発した。林道を登っていくと、増水した沢が、林道のコンクリートの橋の上に溢れていた。裸足になるか迷ったが、つま先立ちで渡ってしまった。荒れた林道を歩いて行くと、左の沢沿いに分れる道に出合った。ここには赤テープの目印があるだけで不安の残る所であったが、この道を少し進んだ沢に荒禿沢という標識があり、間違っていないことを確かめることができた。ススキと夏草がうるさい道を緩やかに登っていき、増水した赤倉沢を2度横断すると本格的な登りになった。勾配は急であったが、つづら折りの道は良く整備されて歩き易かった。人見の松からは尾根上の登りになり、後はわずかで叶ノ高手に到着した。ここで対面できるはずの朝日岳は雲に隠されていた。道が下りに変ると、周囲の風景を眺める余裕もでてきた。会津の山というイメージ通りに美しいブナ林が広がっていた。ウルシであろうか、所々赤く色付いた葉もあっが、ブナの葉はまだ緑であった。今年の紅葉は、遅れているようであったが、倒木に生えたきのこが秋を感じさせてくれた。熊の平の標識から少し登った所に、避難小屋があった。中を覗くと、さすがに台風の翌朝では宿泊客はいなかったが、掃除道具などが整備されており、多くの利用者があるようであった。山と渓谷社のガイドブック等には、朝日岳はこの避難小屋を利用しての一泊コースとして紹介されているが、軽装で日帰りの方が楽だろうと思うのだが。再び急な登りにとりかかり、バイウチの高手を過ぎると、最後の登りになった。草付きの岩場は、雨上がりで滑りやすく、慎重に足場を探る必要があった。頂上部に登った所で右に方向を変え、岩稜の小ピークを越して、少し下った所に朝日岳の山頂があった。頂上には三角点と展望盤が置かれていた。雨は上がったものの、素晴らしいはずの会越国境の山々の眺めは雲の中であった。岩場の下りは、登り以上に慎重になる必要があったが、そこを越すと後は歩きやすい道であった。台風直後にもかかわらず、下山途中で他に4組の登山グループとすれ違い、さすがに日本200名山と感心した。
 雨と汗と沢の渡渉のために、すっかり濡れてしまった衣類を着替え、車を新潟に向けて走らせた。時間もまだ早いため、もう一山かせぐ気になった。国道から直接登ることができ、コースタイムも短い蒲生岳を登ることに決めた。蒲生駅前の国道脇に、蒲生岳登山用駐車場が設けられていた。駐車場からは、蒲生岳が目の前にそそり立っていた。再び、登山の準備をして出発した。只見線蒲生駅の脇の踏切を越すと、登山標識があり、畑の間を抜けて用水堀に沿って神社の後回ると登りが始まった。登山道は、山の傾斜に沿って真っ直ぐつけられており、二度目の山の足には辛く、汗が再び吹きだしてきた。滑りやすく、露岩帯の登りも現われ、気を抜くことができなかった。山頂直下の岩壁の分岐からは、岩場のトラバースも現われ、三点支持を心掛けて登る必要が出てきた。山頂は以外と広く、周囲の山々の展望台であり、只見川の流れと、集落や只見線が箱庭のように見降ろすことができた。駐車場脇の案内板では、周遊コースを取って公民館に下ることが出来るように書いてあったが、登ってくる途中に合流するはずの道の分岐が見つからなかったので、来た道を戻ることにした。下りは登り以上に足場を探るのが難しかったが、登山道脇の木の枝を頼りに体をズリ降ろした。泥が付いて滑る岩場は、日本アルプスの良く整備された岩場とは違った難しさがあり、この山は、その標高にかかわらず、ある程度の経験を必要とした。蒲生岳は、おまけの山としては手強かった。

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