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鳥甲山

1994年9月10日 前夜発日帰り 単独行 晴

鳥甲山 とりかぶとやま(2038m) 二等三角点 苗場山周辺(長野) 5万 苗場山、岩菅山 2.5万 切明、鳥甲山、苗場山

ガイド:上信越の山(山と渓谷社)、諸国名山案内(山と渓谷社)、越後の山旅 下巻(藤波出版社)、日本300名山ガイド 上巻(新ハイキング社)、ビスターリ 1993 秋 No18、山と高原地図「志賀高原・草津」(昭文社)

9月9日(金) 20:30 新潟発=(関越道、越後川口IC、R117、津南、秋山左岸林道経由) 9月10日(土) 4:55 貉平登山口〜5:26 発―5:36 水場入口―6:16 万佛岩―7:20 白くら―8:18 山頂分岐―8:23 鳥甲山山頂〜8:42 発―8:44 分岐―9:01 赤くら―9:59 赤くらノ肩―10:41 秋山林道屋敷登山口―12:08 貉平登山口=(和山温泉、大赤沢経由 往路を戻る)=16:45 新潟着

 鳥甲山は、秘境として売り出している秋山郷の中心を流れる中津川左岸に、右岸の苗場山と向かい合って聳える山である。鳥甲山は、ワシの翼のように大岩壁をめぐらし、なだらかな山頂の苗場山と好対称を見せている。
 遅れていたアルペンガイドの「上信越の山」が出版された。新版では、五頭山や二王子岳も含まれ、新潟の山もこれから県外からの登山がふえるものと思われる。上信越国境の山で残っていた鳥甲山に登ることにした。岩菅山や秋山郷からの眺めから、気に掛かっていた山である。新潟をゆっくりと出発しても、夜半には秋山郷に到着する予定であった。秋山左岸林道に入ったところで、道を間違え、道の分岐を行ったり来たりで、結局、鳥甲山の北にある鳥甲牧場に出てしまった。林道は中津川に沿った一本道と思っていたのが間違えで、野宿の後、夜明けになってから再び車を走らせて、登山口にたどり着いた。貉平は、ガイドブックにはキャンプ地の記載があったが、砂利置き場になっており、登山道まで盛り上げた砂利が流れこんできていた。登山道は、直に急な登りになった。登りに汗を流していると、車が登山口に到着した音がした。後で、下山口に回送して待機していたバスの運転手から聞いたところでは、30人の団体であったようである。林道の物音も消えると、左右が切り落ちた尾根の登りになった。路肩には低潅木が茂っているが、その下は絶壁になり、気を抜くことができない道であった。万佛岩は、鎖梯子が掛けられていたが、揺れやすく、体勢を整えながら1歩づつ登る必要があり、スリル充分のものであった。右手には赤くらの岩壁、振り向くと平な山頂が特異な苗場山、さらに佐武流山から岩菅山にかけての上信越国境の山が広がっていた。ピークを越すとその先にまたピークがあるといった登りを続けた、見通しの効かない樹林帯に入ると、白くらに到着した。三等三角点があるはずであったが、見つからなかった。少し下ると、吊尾根の難所になった。登山道の足元は切り落ちていたが、鎖がガードのように張られており、それほど不安は感じずに通過できた。古いガイドブックでは、下ノ剃刀岩や上ノ剃刀岩の通過の難しさが書いてあったが、現在の登山道は、ほとんどの岩場を巻くようにつけられており、比較的安全に通過することができるように整備されていた。三角形の山頂目指して急斜面を登ると、下りにとる屋敷からの道を合わせ、後は、ひと登りで山頂に到着した。鳥甲山の山頂は、「辿ってきた道の厳しい景観にくらべて呆気ない平凡な頂上」(越後の山旅 下巻 藤島 玄)、「広い鳥甲山山頂は雑木林に囲まれ、展望には恵まれない」(アルペンガイド上信越の山)と書かれており、あまり期待はしていなかった。しかし、山頂は樹木で囲まれていたが、山頂直下には笹原が広がっていた。痩尾根の登りの緊張感から開放されて、登山道の上に腰を降ろし、風景を楽しみながらの休憩にもってこいの山頂であった。秋山郷からの眺めでは、岩壁の向こうに、笹原の広がる山頂があるとは予想することができなかった。屋敷へのコースは、苗場山を正面にしながらの笹原の展望コースで始まり、いくつかのピークを乗り越えながら下っていった。赤くらノ肩からは、膝が持ち堪えてくれることを願いながらの急降下になった。林道に飛び出して一息ついた後に、最後の林道歩きに取り掛かった。車のメーターでは、二つの登山口の間は、5.4kmあり、1時間強かかるはずであった。対岸に広がる秋山郷や、頭上に見え隠れする鳥甲山の岩壁の眺めを楽しみながら歩き始めたが、しだいに足は重くなり、最後の頃には、林道を走り去っていく車の残す砂煙に腹を立てるようになっていた。山歩きでホットする一瞬は、林道に飛び出して急な山道から開放された時であり、ウンザリするのは、長い林道歩きである。鳥甲山は、体力が必要であるが、充実感のある山登りを楽しむことのできる山であった。帰りに、切明温泉雄川閣で300円で入浴後、中津川の右岸を走って、鳥甲山の眺め楽しみながら帰宅した。


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