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高ポッチ山、鉢伏山

木曽駒ヶ岳、宝剣岳

三沢岳

1994年7月16日〜18日 日帰りと1泊2日 単独行 晴/雷雨後晴/曇り

高ポッチ山 たかぽっちやま(1665m)
鉢伏山 はちぶせやま (1928m) 二等三角点 中信高原(長野) 5万 諏訪、和田 2.5万 諏訪、鉢伏山、山辺
ガイド:美ヶ原・霧ヶ峰(山と渓谷社)、日本300名山ガイド 東日本編(新ハイキング社)

木曽駒ヶ岳 きそこまがたけ (2956m) 一等三角点補点
宝剣岳 ほうけんだけ (2931m) 標高点
三ノ沢岳 さんのさわだけ (2846m) 三等三角点 中央アルプス(長野) 5万 赤穂 2.5万 木曽駒ヶ岳
ガイド:中央アルプス・御岳山・白山(山と渓谷社)、中央アルプスを歩く(山と渓谷社)、日本百名山登山ガイド下巻(山と渓谷社)、日本300名山ガイド 東日本編(新ハイキング社)、一等三角点百名山(山と渓谷社)、一等三角点の名山100(新ハイキング社)、山と高原地図「木曽駒・空木岳」(昭文社)

7月15日(金) 21:00 新潟発=(北陸道、上越IC、R.18、須坂長野原IC、上信自動車道 経由)
7月16日(土) =1:00 梓川SA  (車中泊)
6:30 梓川SA発=(塩尻北IC、崖ノ湯 経由)=7:25 高ポッチ高原駐車場〜7:35 発―7:44 高ポッチ山〜7:52 発―8:00 高ポッチ高原駐車場=8:23 鉢伏山林道空き地―8:35 鉢伏山荘―8:52 鉢伏山三角点―8:55 展望台〜9:40 発―9:56 鉢伏山荘―10:07 鉢伏山林道空き地=12:00 松本歯科大学  (崖ノ湯泊)
7月17日(日) 11:10 塩尻北IC=(上信自動車道、中央道、駒ヶ根IC 経由)=12:30 菅ノ台バスセンター駐車場=13:00 発=(中央アルプス観光バス)=13:36 しらびそ平=14:57 発=(中央アルプス観光ロープウェイ)=15:05 千畳敷〜15:17 発―15:50 乗越浄土―15:53 宝剣山荘〜16:10 発―16:23 中岳―16:30 頂上山荘―16:40 木曽駒ヶ岳山頂〜17:00 発―17:05 頂上山荘―17:16 宝剣山荘―17:28 宝剣岳〜17:38 発―17:58 宝剣山荘〜18:20 発―18:30 伊那前岳〜18:45 発―18:55 宝剣山荘  (宝剣山荘泊)
7月18日(月) 5:40 宝剣山荘発―5:54 宝剣岳―6:24 三ノ沢岳分岐―6:40 鞍部―7:36 三ノ沢岳〜8:10 発―9:09 鞍部―9:35 三ノ沢岳分岐〜9:40 発―9:46 極楽平―10:06 千畳敷=10:12 発=(中央アルプス観光ロープウェイ)=10:20 しらびそ平=10:30 発=(伊那バス)=11:03 菅ノ台バスセンター駐車場=(往路を戻る)=17:10 新潟着


 長野の中央に起伏する、美ケ原や霧ケ峰、さらに鉢伏山と高ポッチ山からなる高原は、中信高原とまとめて呼ばれている。美ケ原や霧ケ峰の観光地化が進んでいるのに対し、鉢伏山は路線バスが廃止されたこともあって、比較的静けさが保たれている。塩尻のすぐ後にあることから、北アルプスの展望台としての評判が高い。
 木曽駒ヶ岳は、中央アルプスの最高峰であり、3000mに僅かに足りない標高を有している。伊那谷では、西駒ヶ岳と呼んで、東駒ヶ岳の甲斐駒ヶ岳と区別している。木曽駒ヶ岳は、木曽谷からの呼び名である。山岳宗教の山であり、四方から登山道が通じている。現在では、ロープウェイで千畳敷まで登ってしまい、容易に登頂できることから人気が高い。また、宝剣岳は、険しい岩場の山で、剣ヶ峰と呼ばれていたこともあるらしい。千畳敷カールからの眺めは、中央アルプスを代表する風景になっている。三ノ沢岳は、中央アルプスの主稜線から離れ、ピラミッド型の独立峰としてそびえている。千畳敷カールから日帰りできるが、観光客で賑わう千畳敷とは対象的に、静かな山を楽しむことができる。
 例年になく梅雨が早く明けたと思ったら、記録的な猛暑が始まった。心の準備が整わない内に、夏山シーズンの幕開けとなった。土曜の午後から日曜の午前にかけての研修会で塩尻に出かけることになった。予想では、梅雨は明けないだろうと思い、山のために月曜日だけを休暇に取っていた。先週の雨の白砂山では、まさか、もう一日あればと後悔することになるとは夢にも思わなかった。
 まず、出張日の午前を使って300名山の鉢伏山に登ることにして、新潟を前夜出発し、梓川SAで仮眠した。朝になってから高ポッチ山に向かったが、ガスのため期待していた展望はまったく得られなかった。高ポッチ山へは、周囲に山野草の花畑が広がる遊歩道のひと登りであった。車に戻り、舗装された林道を鉢伏山に向かうと、ガスが上がり始め、谷の向うに丸い山頂の鉢伏山が見え始めた。林道終点の鉢伏山荘駐車場は駐車料金500円とあったので、林道を少し戻って歩くことにした。鉢伏山の山頂に向かう遊歩道は、観光客、カメラマニア、家族ハイカーで賑わっていた。中腹では、ニッコウキスゲが盛りであった。山頂まで登るものは多くは無かった。山頂の三角点は、立ち入り禁止のロープの中にあり、平な山頂をもう少し進んだ先に展望台が設けられていた。展望台に登ったが、近くしか見えなかった。ガスが流れていくのをしばらく眺めた後、山を下ることにした。
 疲れる研修会を終え、リフレッシュのため山に向かった。猛暑が続いており、夕方には雷雨になりそうであった。駒ヶ根の菅ノ台駐車場は、午後に入って、幸いあきがあった。駐車場の管理所でロープウェイの切符を買うと、窓口にはロープウェイ3時間待ちと書いてあった。観光客が、登るかどうか迷っており、タクシーでは上がれないのかなどど尋ねている者もいた。それほど待つことは無くバスに乗ることができた。下りの客を降ろすため、臨時バスがピストンしているようであった。道路は狭く、バスの運転には、曲芸的技術を必要とする道であった。しらび平は、ロープウェイ待ちと下山のバス待ちの観光客で混雑していた。いそいで整理券を受け取ると、およそ1時間待ちで、我慢の範囲内であった。午後も遅いせいか、観光客の間に登山客はまばらであった。ロープウェイを待つあいだに、いまにも降りだすような天気になってしまった。ロープウェイの上から見降ろす山の斜面は険しく、これだけの標高を歩いて登るのは、かなり難しいだろうと思った。ロープウェイの駅を出ると、絵葉書のような千畳敷カールが広がっていた。観光客で溢れていたが、雷雨が始まって、戸外の人影もまばらになってしまった。雷が鳴っているが、カールを歩くハイカーがかなりいた。雨具を着てしばらく様子をみたが、雷雨もそれほどひどくなりそうもないので、出発した。カールの中は、ハクサンイチゲやシナノキンバイのお花畑になっていた。雨は小降りになったが、細かい砂の付いた石は滑りやすく、足を痛めて歩けなくなって救助を待つハイカーもいた。宝剣を見上げながらの八丁坂を登りきると、中岳にかけてのなだらかな稜線が広がり、2軒の山小屋が目の前にあった。どちらの小屋にしようか迷ったが、手前の宝剣小屋に泊ることにした。本来ならば梅雨の最中であるためか、小屋は空いていた。夕食の時に数えると20人以下であった。雨もあがったので、カメラを持って外に出た。とりあえず中岳まで登ると、木曽駒ヶ岳は目の前であった。夕食までの時間に往復することにした。ガレ場をひと登りして到着した木曽駒ヶ岳の山頂からは、逆光の中に浮んだ御嶽山、振り返ると宝剣岳から空木岳、南駒ヶ岳へ続く主稜線、その右手にピラミッド型をした三ノ沢岳、を眺めることができた。夕日に照されたこれらの山を眺めて、幸せな時を過ごした。この時、記念写真を撮ろうとして三脚に付けたカメラを倒し、レンズを壊して修理に出すことになったのは、残念なことであったが、素晴らしい眺めのおかげで気分が落込まないですんだ。帰りに中岳の迂回路を通ると、以外に早く宝剣山荘に着いたので、すぐそこにある宝剣岳にも登ってみることにした。岩場になったので、三脚をずぼんのベルトに差し込み、カメラをたすき掛けにして登り続けた。荷物がカメラの他には無いので身が軽く、鎖場もそれほど難しくは無かった。狭い岩場の山頂には、写真撮影に熱中しているおばさん3人組がいた。空木岳への主稜線が夕日に照されていた。記念写真を撮ってもらい、夕飯の時間がきたので山を降りた。夕食は、ハンバーグと魚の甘露煮をメインにしたもので、一応満足のできるものであった。夕食後の散歩に、ビールを片手に伊那前岳に向かって歩いた。千畳敷カールの中は暗くなり始め、ロープウェイもようやく運行を終了した。その夜は、8畳の部屋に4人で、ゆっくり眠ることができた。
 翌日は、快晴の夜明けとなった。御来光を仰ぎに、昨夕様子を見ておいた伊那前岳に向かった。伊那前岳の山頂はロープで立ち入り禁止になっているので、その下の広場で、カメラをかまえた。南アルプス連峰が雲海の上に浮び、富士山も頭をのぞかせていた。太陽は、八ヶ岳の上に出てきた。振り返ると、宝剣岳が朝日に照され、まだ暗い千畳敷カールの向うに主稜線の山々が連なるのが見えた。風が強く、山の稜線を越す時にガスが発生するのが見え、天気は急速に悪くなった。超食後、同室であった70何才の元気な老人と一緒に、宝剣岳を越すことになった。ゆっくりしたペースとなったが、ガスで見通しのあまり効かない岩場の通過を慎重に行うことができた。宝剣岳の岩場は、山頂を越してからの方が急な登りや痩せた尾根もあって難しくなった。三ノ沢岳の分岐から一人になり、歩くペースを上げることにした。登山道ははっきりしていたが、ハイ松が覆い被さって、歩きやすくはなかった。幾つかのピークを越してようやく本格的な登りになり、山頂に着いたと思ったら、ガスの間から本物の山頂がまだ先に見えた。いささかがっかりしたが、実際に歩いて見ると、お花畑の中のほぼ水平の楽な道であった。山頂直下で、先行していた3人の家族連れに追い付いた。大きな岩の転がる山頂で、ガスが切れるのをしばらく待ったが、結局のぞみはかなえらないまま山頂を後にした。主稜線上の分岐に戻るのには、行きよりも時間がかかった。途中、5人グループと単独行に会ったのみで、三ノ沢岳は静かな山であった。極楽平からロープウェイ駅までは、僅かな下りであったが、静かな山と観光客で混雑する千畳敷との違いは大きかった。下りのロープウェイの中で、観光客が霧でなにも見えず寒いだけだったとぼやいていた。ロープウェイからバスに順調に乗り換え、駐車場までスムーズに戻ることができた。


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