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以東岳

1994年6月18日 前夜発日帰り 単独行 晴れ

以東岳 いとうだけ(1771m) 一等三角点本点 朝日連峰(山形、新潟)  5万 大鳥池 2.5万 大鳥池

ガイド:山形県の山(山と渓谷社)、飯豊連峰・朝日連峰(東京新聞出版)、東北百名山(山と渓谷社)、東北の山(山と渓谷社)、一等三角点百名山(山と渓谷社)、一等三角点の名山100(新ハイキング社)、越後の山旅 上巻(富士波出版)、日本300名山ガイド 東日本編(新ハイキング社)、(山と高原地図「朝日・出羽三山」(昭文社)

6月17日(金) 18:30 新潟発=(R.7、蓮野インター、R.345、神林村、R.7、鶴岡、R.112、朝日村、荒沢ダム、大鳥 経由)=10:55 ゴウラ沢出合  (テント泊) 6月18日(土) 3:35 ゴウラ沢出合発―3:50 泡滝ダム―4:40 吊橋(冷水沢出合)―5:00 吊橋(七ッ沢出合)〜5:10 発―5:30 七ッ沢分岐―5:56 大鳥池―6:10 以東岳直登コース分岐―7:42 オツボ峰―8:25 以東岳〜9:25 発―10:10 オツボ峰―11:25 大鳥池〜11:35 発―12:05 七ッ沢分岐―12:23 吊橋(七ッ沢出合)―12:44 吊橋(冷水沢出合)―13:35 泡滝ダム―13:50  ゴウラ沢出合=(往路を戻る、朝日まほろば温泉にて入浴)=19:05  新潟着

 以東岳は、朝日連峰の北端に位置し、ピラミッド型の大朝日岳に対し、重量感のあるどっしりした形をしている。以東岳は、一等三角点の山であり、展望の山としても名高く、麓には山形県最大の大鳥池を抱いている。この大鳥池は、山からの土砂によって堰止められたといわれ、怪魚タキタロウ伝説で有名である。
 残雪とお花畑の山を歩きたくなった。梅雨の合間で、土曜は晴れが期待できそうであった。新潟県の一等三角点の山でまだ登っていない以東岳に登ることにした。以東岳は、ひと昔までは秘境と言われた新潟と山形県の国境にあり、登山道は鶴岡方面からの一本しかない。アプローチに時間がかかるため、通常は1泊以上を要するようであるが、コースタイムを計算すると11時間程であり、日帰り可能と考えた。
 朝日連峰を横目に大迂回をすることになった。大鳥川沿いの長い道を走り、舗装道路から未舗装の林道にかわると、ゴウラ沢出合で通行止めになっていた。林道終点付近には10台程の車が路肩停車しており、方向転換が困難であった。やっと車の向きを変え、少し戻った路肩にテントを張った。夜中にも車が往来して、以東岳がこのように人気のある山なのかと驚いたが、結局、これらの殆どは大鳥池目当ての釣客であったようであった。一日の行程が長いため、ランプを頼りに歩きだした。泡滝ダムで林道は終わり、渓流沿いの山道になった。進むにつれ急斜面の山肌から残雪が渓流に落ち込むのが目を引くようになった。残雪が谷を埋めつくし、流れがその下を穿ってできた巨大なスノーブリッジも現われた。残雪のトラバース個所を除くと歩き易い道を行くと、七ッ沢出合からようやく登りとなった。急斜面にジグザグの道が付けられているが、左右の幅が長すぎ、残雪の沢に入り込むことがあるため、時々ショートカットをしながら登った。途中、コップが置かれた水場が設けられており、冷たい水でのどを潤した。緩い鞍部を越すと大鳥池に到着した。鏡のような湖面には、朝日に輝く新緑と残雪の以東岳が鮮やかに写っていた。何人もの釣客が釣糸をたれていた。大鳥小屋は、この季節は、登山客よりも釣客のほうが多いようであった。以東岳への直登コースをとろうとしたが、残雪が池に落ち込んでいて通過が難しかったため、オツボ峰コースを往復することにした。急な尾根道の登りもそれほど長くはなく、樹林限界を越すと、以東岳から連なる稜線が目の前に広がった。残雪を越して、三角峰を巻くと、のびやかな高原帯の尾根歩きとなった。左右の展望を楽しみながら登っていくと、大朝日岳に続く縦走路もしだいに見えるようになってきた。小さなピークを越すと、一等三角点の置かれた以東岳山頂に到着した。山頂には、大きな岩が転がっており、三角点より1メートルは高いように見えた。朝日連峰随一と言われるだけの展望が広がっていた。大朝日岳へ続く朝日連峰の主脈と、そこから分かれる支脈が手に取るようであり、月山が近くに見えた。飯豊連峰が霞んでいることだけが、残念であった。風が強く、西の方から雲が広がり始めているようであった。5人のグループと入れ違いに、下山を開始した。下りの風景は、登りの時とは違って見えて、楽しいものであった。オツボ峰の下には、ホソバヒナウスユキソウの群落があった。ヒメサユリは、まだ咲きかけであった。雨が少ないためか、思ったよりも花が少ないようであった。三角峰のトラバース道で20名程の団体が休んでいるのに出合った。この日の以東岳への登山者は、夫婦連れがもうひと組あっただけのようであった。大鳥池は、釣客と池目当てのハイカーで賑わっていた。最後に振り返った以東岳は、薄雲に覆われて、朝のような輝きは失われていた。最後は草臥れたが、以東岳への日帰り登山を行うことができたことに満足した。コースタイムをかなり短縮できたが、これは、縦走用の重い荷物と日帰り登山の装備の違いによるものかもしれない。

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