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七ヶ岳、荒海山

1994年6月11日 前夜発日帰り 単独行 曇

七ヶ岳 ななつがたけ(1636m) 一等三角点補点
 下岳 (1510m) 三等三角点
   南会津(福島) 5万 糸沢 2.5万 糸沢
ガイド:福島県の山(山と渓谷社)、東京周辺の山(山と渓谷社)、東北の山(山と渓谷社)、ふくしまの山50(歴史春秋社)、日本300名山ガイド(新ハイキング社)、東北百名山(山と渓谷社)、一等三角点百名山(山と渓谷社)、一等三角点の名山(新ハイキング社)

荒海山 あらかいさん(1581m) 測定点 1580.4 二等三角点
  南会津(福島、栃木) 5万 糸沢 2.5万 荒海山
ガイド:福島県の山(山と渓谷社)、ふくしまの山50(歴史春秋社)、東京周辺の山(山と渓谷社)、日本300名山ガイド(新ハイキング社)、東北百名山(山と渓谷社)

6月10日(金) 20:00 新潟春=(R.49、会津若松、R.118、湯野上温泉、R.121、会津田島、R.289、針生 林道七ヶ岳線 経由) 6月11日(土)=0:10 七ヶ岳登山口  (車中泊)
4:40 七ヶ岳登山口発―5:25 黒森沢―5:34 護摩滝―6:00 沢分岐―6:12 高杖分岐―6:17 七ヶ岳―7:36 下岳―8:10 林道への分岐―8:30 下岳登山口―9:00 七ヶ岳登山口=(林道七ヶ岳線、喜三郎小屋、七森橋、R.121、早坂、R.352、袋田、神奈川県野外活動施設 経由)=10:30 八総鉱山跡〜10:38 発―11:00 荒海山登山口―11:26 尾根―12:50 荒海山―(三角点ピーク往復10分)―13:23 発―14:32 尾根―14:54 荒海山登山口―15:20 八総鉱山跡=(R.352、R.121、湯野上、R.118、馬越、会津本郷、会津坂下、R.49 経由)=21:00 新潟

 七ヶ岳は、阿賀川の左岸に七つの峰を並べて連なり、本峰の一番岳には一等三角点が置かれている。いままで遠かった南会津の山々も東武線で首都圏と結ばれ、七ヶ岳登山口駅が開設されて、この山はいちやく注目をあびるようになっている。この山中に山鬼がいて、大石を転がしたり大木を倒したりする音が聞こえ、馬に乗って麓を通るのを見ることがあるという話や、護摩滝で身を清め、山頂下の賽ノ河原で死んだ子供の名を呼ぶと、答が返ってきたという言い伝えがある。
 荒海山は、福島県側の呼び方で、栃木県側では太郎山と呼ばれている。このためふたつの名前をつなげて、荒海太郎山と呼ばれることもある。山頂は二つに分れ、三角点の置かれている峰は次郎岳と呼ばれている。山麓からは見つけにくい奥深い山である。
 各地で梅雨入りが出され、新潟地方も雨こそ降らないが、曇空が広がっている。南会津は夜中にもかかわらず車が多く、この週末は尾瀬のミズバショウの一番の身ごろであることに気がついた。林道七ヶ岳線は、未舗装ではあるが、それほど悪い道ではなかった。七ヶ岳登山口の前には、広い駐車スペースがあり、絶好のキャンピ地になっていた。オートキャンプ用のテントマットと封筒形シェラフを新たに購入したが、登山用のものよりもゆったりとして寝心地が良かった。満天の星空で、夜間はかなり冷え込み、明け方にはかなりの露がおりていた。
 車の音で目が醒めた。朝食を食べる間も、地元の山菜とりと思われる車が何台も通っていった。緩やかな荒れた林道を登って行くと、前方に七ヶ岳の稜線が見えた。黒森沢から登りにかかると、岩の段々を流れ落ちる護摩滝の下に出た。滝の左手から登り、途中何回か滝を横断して、この滝を登りきった。途中にはロープが固定してあり、足がかりも充分にあったが、こけで滑りそうで慎重になった。滝の上からは、滑滝状の沢になった。沢いっぱいに水が流れているため、足を濡らさないように、沢の右左に細かくコースを変えながら登った。滝の登り以上に足元が定まらず、このコースを下りにとると苦労しそうであった。沢から分れると残雪が現われたが、直に稜線に出て、山頂へはひと登りであった。360度の展望が得られるはずの山頂からは、湿度が多いためか遠くは霞んでいたが、七ヶ岳の下岳方面への丸い峰の連なりを見ることができた。七ヶ岳の縦走路に入ると、道は明瞭であるが笹が被さるようになり、雨具を付けることを思い付く前に、下半身づぶぬれになってしまった。下岳までの縦走路は、アップダウンがけっこうあり、笹こぎをしながら、靴の中まで濡れてしまった状態で歩くのは辛かった。縦走路から林道に向かって降りると、多くの山菜採りに出合うようになった。林道を歩いて車に戻り、衣類を全て着替え、人心地を取り戻した。
 今回は2日間の山登りの予定で、テント泊の用意をしてきたが、七ヶ岳を終えた時間が早かったので荒海山も登ってしまうことにした。林道七ヶ岳線をさらに進むと、七ヶ岳駅に出て、荒海山に近道できるようであった。先程30分かかって歩いた道は、車だとあっという間であった。七ヶ岳の東山麓をまくように、かなりの距離を走った所で、喜三郎小屋の分岐にでた。駅に向かって降りていく林道は、七ヶ岳線よりも荒れていた。途中、羽塩登山口に向かう数人の登山者とすれちがった。神奈川県野外活動施設の看板で国道から分かれ、八総鉱山跡に到着すると、路肩に何台かの車がとめてあった。ガイドにかかれているような神社や住居跡はすでに無く、流出防止工事が施された鉱滓溜の壁が残るのみであった。車の通行は困難な林道を登っていくと、小さな標識の立つ荒海山登山口に到着した。沢に降り、砂防壁を過ぎると砂で足元が滑る急な登りになった。意外に早く尾根に出て後は楽になるかと思ったが、山頂までは、アップダウンがかなりあり、木の根で歩き難く、汗をさんざん流させられる遠い道であった。ようやく到着した荒海山の山頂は、展望を遮る木々は無いものの、湿度が高いためか、遠くはまったく見えなかった。狭い山頂には、阿賀川源流の碑が置かれ、三組の登山者が休んでいた。少し休憩して元気をとり戻してから、目の前にある三角点ピークに向かった。踏み跡はあるものの笹が覆い被さり、完全な薮漕ぎになってしまった。再び山頂に戻り、これだけが目的であったかのような証拠写真を撮って、山頂をあとにした。下りの登山道は、登り以上に歩き難く、慎重に下る必要があった。1日で予定の山をかたずけてしまい、翌日も登山を続ける気がなくなった。家に帰る途中、会津高原駅の上の国道脇にある夢の湯に、500円で入浴した。この温泉は尾瀬帰りに利用されているようで、風呂場でザックをかき回して着替えを出している者もいた。


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