9408

四ッ又山、鹿岳

1994年3月12日  日帰り 単独行 曇

四ッ又山 よつまたやま(899m) 二等三角点
鹿岳 かなだけ (1015m)  西上州(群馬) 5万 御田代 2.5万 荒船山

ガイド:群馬の山歩き130選(上毛新聞社)、関東百名山(山と渓谷社)、山と高原地図「西上州・妙義」、ビスターリ「西上州の秋」1993、No.18

3月12日(土) 3:50 新潟発=(関越道、上信道、下仁田IC 経由)=7:50 小沢橋〜8:00 発―8:30 尾根取付―8:49 大天狗の鞍部―9:13  四ッ又山山頂〜9:21 発―9:58 マメガタ峠―10:35 鹿岳のコル〜10:50 発―10:59 鹿岳一ノ岳〜11:03 発―11:17 鹿岳のコル―11:24 鹿岳二ノ岳〜11:36 発―11:50 鹿岳のコル―12:00〜12:14 休憩―12:46 下高原登山口―13:54 小沢橋=17:50 新潟

 西上州には、低山ながら印象的な形をした幾つもの岩峰が競いあうように聳えている。下仁田の町から西を見ると、四つの鋸の刃のような頂きを連ねた四ッ又山と、カシューナッツを二つ立てて、その左は傾いて倒れかかっているような鹿岳が一際目を引く。四ッ又山の名前はその形から、また鹿岳は、昔、鹿をその岩峰の上から追い落として狩をしことからつけられたといわれている。この地域の山は、落葉を踏んでの静かな山歩きとして愛好家が多いが、高速道の開通によって下仁田へ行きやすくなったことから、今後人気が高まってくると思われる。
 ようやく道路の凍結の心配も無くなってきたので、車で山に出かけることにした。上越国境のスキー場の積雪は去年よりも多く、今年の雪解けは遅れそうである。下仁田の町に近付くと、荒船山の前に聳える四ッ又山と鹿岳に目が引き付けられ、下仁田のインターチェンジを通り過ぎる所であった。南牧川沿いに車を走らせ、黒滝山という案内しかない小沢橋のたもとのスペースに車を停めた。ガイドブックに従い、山の右手に車道を歩いていくと目印の美容院があり、左の舗装道路に曲った入り口に、白明山 大天狗、小天狗 明治38年という小さな碑が置かれていた。急な舗装道を登り、最後の人家を過ぎるとようやく山道となり、四ッ又山という案内板も現われた。沢沿いに登っていくと、かなりの山奥に、石垣を積み上げて作った桑畑が現われたが、すでに放置され自然に返ろうとしていた。尾根に出ると、山腹を左に巻きながら緩やかに登る道となり、木の枝越しに鹿岳の岩峰も見え隠れするようになった。大久保、下郷の道が横切る鞍部に出ると、立派な標識と大天狗と書かれた小さな石碑が置かれていた。急な登りをひと頑張りし、縦走路への分岐を越すと、潅木に囲まれた頂上に出た。山頂には、神官の石像と立派な山頂表示があり、鹿岳が目の前にそそりたっていた。曇空で遠望はきかなかったが、荒船山や御荷鉾林道沿いの山には、かなりの残雪が残っていた。P4へは小さなアップダウンを繰り返し、途中の岩場も問題なく通過することができた。P4から目の前の鹿岳の岩壁を眺めると、このまま鹿岳に登らずに下ってしまったら、この山の興味は半減してしまうと思った。マメガタ峠への下りは、縦走路を左に曲るのが正解であり、コースを示す表示板が地面に置かれ石で留められ、直進部には通行止めのつもりか木の枝が横におかれていたが、この表示がいつまで残っているかは疑問である。残雪は無かったが、土が黒く凍って足の踏ん張りが効かず、枝を探りながらの急坂の下りになった。マメガタ峠は、刈りはらわれた空き地となってほっとする場所であった。
 この峠から鹿岳への道は、ハイキング地図では破線となっており、群馬県の山歩きでも踏み跡ははっきりしないと紹介されており、歩けるのか不安があった。しかし、コース板に鹿岳と書かれており、鹿岳は頭上に迫って45分程の距離であるため、なんとかなると思って歩きだした。踏み跡はか細いながら判断でき、赤ペンキと赤札にも助けられながら林の中の急斜面を尾根沿いに登ると、岩壁の下に突き当たった。右手に張り出した岩との鞍部を越すと、わずかに下った所から水平に道が走っており、鹿岳の鞍部のコース標識の下に出た。ようやく鹿岳の登山コースの一画にたどり着いてほっとし、水筒を取り出そうとした時にミスを犯した。ザックからカメラが落ち、林の中をころがりながら、止るかとの期待もむなしく、そのまま見えなくなってしまった。なかば諦めて、新しいカメラを買うためのお金の工面を考えながらつづら折の登山道を下っていくと、50mは下った傾斜がわずかに緩くなった斜面に、泥だらけになったカメラが見つかった。取り上げてみるとカメラは無事であった。落ちたところが見通しの良い林の中の登山道沿いであり、落葉がクッションになったことが幸いしたようである。この騒ぎの登り降りに15分もかかってしまった。一ノ岳へは、登り始めの岩を越すと僅かな残雪が残る尾根沿いの道となって頂上に出た。足下は切り落ち、下界を見降ろす高度感はかなりのものがあった。一ノ岳から眺める二ノ岳の登りも手ごわく見えた。鞍部に下って、細い稜線を二ノ岳へ向かうと、道は北に巻り込み、岩場に木の階段が掛けられていた。階段の上からは、道は左に登っていくが、泥付きの岩場で、短い残置ロープがあったものの、登りはともあれ下りには足下の確保が難しい所があった。ここらには鎖が欲しい所であった。尾根上の岩場に出ると、遮るものの無い展望が広がった。山頂は、ここから僅かであったが、木立で見晴らしは良くなかった。木々峠への道が先に続いていたが、二つの山を結んだことに満足し、一般コースを下山することにした。緊張の強いられる道を下って鞍部に戻り、林の中に入った所で休憩とした。植林地の中に踏み跡は明瞭に付いており、急な斜面をジグザグに下っていくと、下高原の集落に飛び出した。田舎の山村風景を楽しみながら車道歩きは、それほど苦にはならなかった。小沢橋の車に戻るのと同時に、天気予報どおりに雨が降り始めた。今回の山で会ったのは、鹿岳の2人連れのみで、やはり西上州は静かな山なのかと思った。


山行目次に戻る
ホームページに戻る