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久慈男体山、八溝山

1994年1月15日   日帰り 単独行 晴

久慈男体山 くじなんたいさん(653.9m) 一等三角点補点 阿武隈(茨城) 5万 大子 2.5万 袋田、大中宿
八溝山 やみぞさん(1022.2m)  一等三角点本点 阿武隈(茨城、福島) 5万 塙 2.5万 町付、八溝山

ガイド:関東百名山(山と渓谷社)、奥日光・足尾・那須(山と渓谷社)
久慈男体山;東京周辺の山(山と渓谷社)
八溝山;日本300名山ガイド東日本編

1月15日(土) 3;25 新潟発=(R49、会津坂下IC、磐越道、東北道、白河IC、R289、棚倉、R118、矢祭経由)=8:55 袋田ノ滝―(滝見物)―9:20 発=9:45 古分屋敷〜9:50 発―10:05 大円地分岐―(健脚コース)―10:50 久慈男体山山頂〜11:05  発―11:25 大円地越―11:45 大円地分岐―11:59 古分屋敷=13:15 八溝山旧参道入口〜13:21 発―14:04 八溝山山頂〜14:12 発―14:29 日輪寺―14:56 八溝山旧参道入口=20:20 新潟着

 男体山としては、日光男体山や筑波山の双子峰のひとつが有名であるが、それらと区別するために久慈男体山と呼ばれている。低山ながら、300mの岩壁を有し、山麓から眺める山容は男性的で荒々しい。一等三角点補点が置かれ、近くに観光地として有名な袋田ノ滝ある。
 八溝山は、茨城県の最高峰であり、山頂の八溝山神社は日本武尊東征のおり建立されたと伝えられるように、古くから霊峰としてあがめられてきている。また山中には名水百選に選ばれた湧水群があり、また山頂には一等三角点本点が置かれ、日本300名山にも選ばれている。しかし、残念なことには、山頂まで舗装道路が通じ、山頂にコンクリート製の天守閣風展望台が設けられて、観光地になりさがってしまった感がある。
 先週に続いて西上州の山に出かけるつもりであったが、昨日にかけて関東に降雪があった。出版されたばかりの日本300名山ガイドを読んでいたところなので、その中のひとつであり、雪の心配のいらない茨城県にある八溝山に登りたくなった。コースタイムから1山ではもったいないので、近くにある久慈男体山と合せて、一等三角点と関東百名山巡りの山旅とした。
 早朝の路面は凍結し、郡山付近になっても平地に雪が積もっていた。白河を越してようやく雪はなくなり、茨城県に入って冬枯れの青空が広がった。登山の前に袋田ノ滝を見物した。滝の入り口には観光客目当ての有料駐車場と土産物屋が広がり、100円の通行料を払ってトンネルに入ると滝の正面の崖に掘られた見晴台に出た。立派な滝であり、観光シーズンには、さぞ混みあうだろうと思った。トンネルから出て、つり橋を渡ると久慈男体山への縦走コースとなる月居山への登山口があったが、見送って車に戻った。大円地への道は、舗装されていたが、ところどころ車のすれ違いが困難な細い所があった。かま沢、湯沢ハイキングコース入口、駐車場という看板があったので車をとめることにした。高台にある駐車場の前には、鋭い櫛ヶ峰を従えた久慈男体山がそびえていた。地元の老婆と年配の登山客が話こんでいたが、自動車のナンバープレートから、新潟から来たのかと尋ねてきた。なんでこのような田舎の低い山に、はるばる新潟からやってきたのか不思議に思ったらしい。「なべての頂きに憩あり」と言ってみたかったが、色々な山に登っているのですと答えることにした。納得したかは判らないが、「気を付けて、遅くならないうちに降りてくるんだよ」と送りだされた。車道を進むと、大円地の部落に出たが、この手前に駐車スペースがあった。数軒並んだ部落の裏手に回ると、健脚コースと大円地越の分岐があった。左手の健脚コースに入ると、杉林の中の急な登りとなった。標高を上げていくと、木から落ちてきたザラメ雪で地面がしだいに蔽われるようになった。植林地から尾根上に出ると、露岩が現われるようになったが、鎖やワイヤーがはられて、コースを登りにとる分には困難な所はなかった。山頂手前の岩場で家族グループを追い抜き、袋田の滝からのコースに出て、ひと登りで山頂に到着した。中央の広場に一等三角点があり、一段高い崖縁に祠があった。先行の登山客が三角点を台にして食事の準備をしており、三角点の記念写真は諦めるしかなかった。祠の後からは、白くなった那須連峰、南阿武隈の山々、太平洋の展望が広がっていた。先を急ぐため、下山することにした。雪で蔽われた尾根道を進み、大円地越まで降りると、15人程のグループが休んでいた。杉林の中のつづら折の道を下っていくと、さらに登山客に出会うようになったが、後どれくらいの登りかと尋ねてくるような者もいた。杉林から飛び出すと健脚コースとの分岐点であった。袋田の滝からの縦走コースがどのガイドにも載っているが、大円地から健脚コースを登って大円地越経由で下山する今回の周遊コースのほうが、車利用者にとって利用価値が高いと思われる。
 八溝山に向けて車を走らせた。蛇穴口から鳥居の下をくぐって林道を登っていくと、路面上に雪が現われはじめた。路肩に車をおいて歩き始めた登山客もいた。旧参道入口の駐車場では、完全な圧雪となった。林道から別れて、10センチ程の雪で蔽われた旧参道に入った。山腹を巻くように付けられた道を登っていくと湧水にでたが、冬のため、水はしたたる程度であった。八丁坂から山頂までは、階段登りとなり、休まないで登り続けるのは大変であった。山頂の一等三角点はケルンで埋もれているとガイドにあったが、その石も雪の下であった。展望台は閉鎖されており、山頂からの眺めはこの展望台に完全に妨害されていた。展望台のために展望を楽しむことのできない山頂を後に、雪で蔽われた林道を日輪寺に回った。数台の車が、完全に雪でおおわれた林道を頂上まで登ってきていたが、事故が起きないのが不思議なくらいであった。日輪寺の境内からは、南の見晴らしが開けていた。道は一旦沢に降り、登り返して旧参道入口の駐車場に戻った。急いだつもりであったが、雪のためか、二つ目の山でくたびれてきたためか、標準コースタイムの時間がかかった。帰りの新潟までの道は遠かった。

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