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大朝日岳

1993年9月25日 前夜発日帰り 単独行 晴れ

大朝日岳 おおあさひだけ (1870m) 二等三角点 朝日連峰 5万 朝日岳 2.5万 朝日岳、羽前葉山

ガイド:アルペンガイド「東北の山」、日本百名山登山案内(山と渓谷社)、飯豊連峰・朝日連峰(東京新聞出版社)、諸国名山案内 東北(山と渓谷社)、山と高原地図「朝日・出羽三山」(昭文社)

9月25日(土) 19:00 新潟発=(長井、宮宿、白滝経由)=23:40 朝日鉱泉 (車中伯)
9月26日(日) 3;40 発―4:17 中ツル尾根分岐―5:26 千枚峰―5:46 金山沢―6:40 島原小屋分岐―7:05 島原山―7:55 小朝日岳〜8:04 発―8:50 銀玉水―9:20 朝日小屋―9:30 大朝日岳山頂〜9:57 発―11:44 二股―13:20 朝日鉱泉=17:40 新潟着

 日本各地にある朝日という山名は、麓から見て朝日に輝いて見えることから付けられたといわれている。朝日岳の修験道は、奈良・鎌倉の時代にはかなりの興隆をみたというが、その後衰退して、現代では宗教色はほとんどとどめていない。その一方で、朝日軍道の歴史が残されている。豊臣秀吉の命によって、上杉景勝は越後から会津に移封されたが、その部下の直江兼続に米沢と庄内を任せることとなった。周囲を敵に囲まれ、直江山城守は、飛地の米沢と庄内を結ぶ交通路の必要に迫られた。豊臣と徳川の間の仲が険悪になった慶長3年(1598)、ひと夏で、朝日連峰に全長60キロに及ぶ縦走路を切り開いたといわれる。現在でも西朝日岳の東面や以東岳の南斜面に電光形に走る道形が残っているらしい。
 山が深く、踏み込むことに慎重になっていた朝日にようやく登ることができた。長井から朝日町へ向かう県道が土砂崩れにより不通になっていたりで、地図とにらみっこをしながら、ようやく朝日鉱泉への林道にたどりついた。林道入口に掲示があり、工事のため、9月から11月までの間、通行できるのは、8;30以前、10:00-10:30、12:00-12:30、15:00-15:30、17:00以降とあった。下山は3時頃になるので大丈夫と思って林道を進んだ。実際には土曜日のためか、林道の作業は休みで、14時過ぎに通過することができた。林道は1車線がやっとの幅で路肩も悪く、朝日鉱泉までの約10kmの道を慎重に走らせた。朝日鉱泉の入り口脇の駐車場は満員であったため、手前の路肩にとめた。コースタイムの合計がかなりになるので、未明に出発した。鉱泉宿の裏手から島原山への立て札を見て坂を降り、ダム取水口への舗装道路に出た。ところが、川を渡る方法が判らない。周辺を探したりガイドブックを読んで、ようやく取水口の左手にツリ橋を見つけた。一段下がって草に隠れていたため判らなかったものである。昼間は目の前にあって迷う者はいない所であるが、夜間登山の難しいところである。下山路の中ツル尾根との分岐からジグザグの登りとなった。暗いため、ゆっくりとしたペースで登った。しだいに緩やかな登りに変ってくるが、千枚峰から金山沢へ一旦かなり下ってしまった。金山沢をはじめ朝日の水場は秋にもかかわらず水量が豊富であった。再び登りに精をだすと、湿原に辿り付き、島原小屋分岐から白滝分岐を経て古寺鉱泉分岐まで木道歩きが続いた。再び登りにかかって第1の目標である島原山に到着した。島原山展望台との標識があるが、ガスのため展望は得られなかった。小朝日岳の下からまた急な登りとなるが、紅葉がはじまりかけており、元気がでてきた。小朝日岳の頂上にでると、大朝日岳から以東岳の展望が目に飛込んできた。ガスが残って写真にはならないが、幾重にも山波が重なっていた。ガイドブックで覚悟の上とはいえ、熊越への下りはかなりのものであり、再び登り返すことを考えるとうんざりした。銀玉水は特別おいしいとは思わなかったが、山頂付近の水場でありがたかった。中岳への縦走路の眺めを楽しみながら大朝日小屋に着くと、小屋の前には多くのリュックがデポしてあり、大朝日岳や金玉水へ往復しているようであった。大朝日岳へ登ると団体がいたが、しばらくで1人の山頂となった。中岳方面はガスで隠れたが、そのかわり、中ツル尾根方面と平岩山方面の展望が開けてきた。一休みして中ツル尾根の下山にとりかかった。急な下りで、遥か下に見えていた風景がどんどん近づいてきた。下りやすい道であるが、急で登る気にはならないコースであった。二股にでて、後は沢沿いに歩くだけと思って気を抜いたのが誤算であった。渓谷を巻いていく道はかなりのアップダウンがあり、足場も悪く、かなり体力を消耗した。しかも、昭文社のハイキング地図や山と渓谷社のアルペンガイド「東北の山」の地形図における、ツリ橋の位置や登山道の川に対しての左右の位置がまったく違っていたため、まだまだ先だと思い込んでうんざりして歩いていたら、平岩山分岐にでて朝日鉱泉に戻ってしまった。帰宅後調べたところ、2.5万分の一地図も実際と違っており、分県別「山形県の山」の大朝日岳の概念図のみが正しかった。朝日鉱泉で400円で入浴後、大朝日岳も眺めながらキノコカレー700円を食べて休憩した後、帰宅した。山中にはかなりの登山者がいたが、ほとんどがグループの小屋泊り組で、単独行や日帰り組はまれであった。大朝日小屋は、夏も過ぎた金曜の晩にもかかわらず混んでいたようであった。
 深田百名山の東北群も、この大朝日岳で一応終了した。しかし、東北の山は、北アルプスとは違った楽しみがある。百名山が峠を越したならば、飯豊や朝日連峰へは季節ごとに行きたいと思っている。


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