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恵那山

御岳山

1993年9月11日〜12日 前夜発1泊 単独行 晴:晴

恵那山 えなさん (2190m) 一等三角点本点 美濃(岐阜) 5万 中津川  2.5万 中津川、美濃焼山

ガイド:アルペンガイド「鈴鹿・美濃」(山と渓谷社)、アルペンガイド「中央アルプス・御岳山・白山」(山と渓谷社)、日本百名山登山案内(山と渓谷社)

御岳山(剣ヶ峰) おんたけさん(けんがみね) (3063m) 一等三角点本点 摩利支天山 まりしてんやま (2959m) 御岳山(長野、岐阜)  5万 御嶽山、木曽福島  2.5万 御嶽山、御岳高原

ガイド:アルペンガイド「中央アルプス・御岳山・白山」(山と渓谷社)、日本百名山登山案内(山と渓谷社)、山と高原地図「御嶽山」(昭文社)

9月10日(金) 20:00 新潟発=(上越IC、須坂IC、松本、諏訪、中津川IC経由) 9月11日(土) =5:50 黒井沢駐車場〜6:05 発―6:36 黒井沢休憩場―7:29 野熊ノ池―9:05 恵那山頂避難小屋―9:15  一ノ宮―9:30 恵那山頂避難小屋―9:40 恵那山頂〜9:45 発―11:12 野熊ノ池―12:02 黒井沢休憩場―12:30 黒井沢駐車場〜12:40 発=王滝経由=16:00 御岳高原キャンプ場 (テント泊)
9月12日(日) 4:45 発=5:12  田ノ原原駐車場〜5:16 発― 5:54 八合目(金剛童子)―6:40 王滝頂上〜6:47 発―7:07 剣ヵ峰頂上〜7:30  発―8:27 摩利支天―9:40 王滝頂上〜9:50 発―10:23 八合目(金剛童子)―10:52 田ノ原駐車場=(塩尻IC経由)=18:30 新潟

 恵那山は、天照大神がここで誕生され、その胞衣(えな)がこの山に埋められたことに由来すると言われ、信仰登山の山として栄えたといわれている。ウェストンも登山し、島崎藤村の夜明け前の舞台となっている。現在では、山を貫く中央自動車道の恵那山トンネルの名前で一般に知られている。
 御岳山は、広大な裾野を広げた独立峰で、1977年有史以来の噴火を起こした。わが国の最も有名な霊山の一つであり、現在でも講中登山が盛んである。  毎週の台風が通り過ぎた後も、秋雨前線の影響が残って、グズついた天気が続いている。大朝日か後立山方面をねらっていたが、雨が残りそうなため、なるべく西の方へ向かうことにする。途中、妙高付近で強い雨に会うが、松本を過ぎると星空も見えるようになった。林道入り口まではスムーズにやってきたが、林道は先に進むにつれて自動車の腹をこする悪路となり、正しい道か不安になり、一旦引き返し始める。途中ですれちがった車に道を聞き、間違っていなかったことを知る。長い林道を車酔いを起こしながら、ようやく黒井沢駐車場に到着する。黒井沢沿いの林道からは、美しい滝を眺めることができたが、車酔いのためいつもほどペースが上がらない。登山道は原生林の中を登って行き、あたりの倒木は苔で覆われて、深山という雰囲気がたちこめている。ツヅラ折りの道から涸れ沢の登りになる。空が低く見え始めるが、なかなか稜線にたどり着かない。かなりの汗をかいて野熊ノ池の避難小屋に到着。避難小屋は、中は広くはないが、木造のテラス付きのかわいいものであった。野熊ノ池は、きれいな小川が流れでており、休憩にはもってこいの所であった。暗い登山道を進んでいくと目の前に黒い動物が立っており、驚いて見るとカモシカであった。写真を撮る間もこちらの様子をうかがっており、その先しばらくはこのカモシカの後をおいながら歩くことになった。小ピークの上に出て、ようやく恵那山の頂上が見える。その先、登山道はしだいに木の根や倒木の目立つ歩きにくい道となった。頂上手前に水場があり、登山者に有難い存在であった。山頂避難小屋もやはり、新しい木造の立派なものであった。富士見台への縦走路を進んでガイドブックにある2191mのピークを捜すが、表示はなにもなく、平坦な山頂を道が下りにかわるところにあるお宮(一ノ宮か)まで進む。南アルプスが良く見えるが、木のためパノラマがとぎれてしまう。避難小屋の上の岩が積み重なった所が一番の展望台であった。恵那山の山頂は、ドウダンツツジの木に囲まれて展望はきかなかった。広場の真ん中に2189mの一等三角点があったが、その手前の岩の上に頂上2190mの標識があった。頂上の日向には大量のハエがおり、降ろしたリュックにたかってとても休む気になれず、写真を撮っただけで下山にかかる。濡れた木の根が滑り、下山のスピードは上がらない。多くの登山者とすれ違うが、第2土曜日のためか子連れのグループが目立つ。駐車場は自動車でうまっていた。ガイドブックのコースタイムに終わったが、長時間の運転疲れと寝不足、車酔いの影響と、コースの後半が荒れ気味で歩きにくかったためと思われる。富士見台への縦走路は、崩壊部が3ヵ所ありササが被っているとの警告文が掲示されていた。
 途中、夕食とビールを買い込み、御岳高原キャンプ場に向かう。キャンプ場は、シラカバの林の中に広がり、夏も過ぎてすいていた。テント持込み料1000円、1人100円で、好きな所にテントを張って良いとのことであった。夜、御岳山に夜間登山の懐中電灯の明かり見えた。キャンプ場主催で、星の観察とゲームをやっているのを聞きながら眠りについた。
 3時半に起床し、朝食の準備をしながら、テントを撤収する。暗い中を出発するが、田ノ原駐車場到着時には、夜が明ける。駐車場は、最大級の広さで、夏の盛りはさぞや込み合うだろうと思わせるものであった。広い参道を歩きだすが、山に突き当たる感じで本格的な登山道が始る。道は急であるが、良く整備され、木の階段や登山道脇の補助ロープが続き、ペースはあがる。八合目で樹林帯を越えると、南アルプスの展望が広がり、その間から富士山も頭を出していた。王滝頂上山荘を頭上に仰いでの岩混じりの急斜面を、他のグループを追い抜きながら登り続ける。御来光目当ての夜間登山組と思われる下山グループとすれ違い始める。王滝頂上山荘はすでに閉っており、石垣で囲まれた神社の向こうに出ると、剣ヵ峰と地獄谷の噴気孔が目の前に広がっていた。風が強くて寒いためセーターを着込み、手袋もはめる。最後のひと頑張りで、頂上に到着。頂上の標識の向こうには、二ノ池を前景に乗鞍から穂高、立山の北アルプスの展望が広がっていた。写真を充分に撮った後に、二ノ池に下り、摩利支天山に向かう。さいの河原に下ってから僅かに登りかえすと、深い水をたたえた三ノ池が眼下に姿を表した。摩利支天の山頂へは、はじめのピークの手前から剣ヵ峰よりのまき道を辿るが、あまり道が明瞭でなく、岩稜をそのまま岩伝いに進み、ところどころ現れる踏み跡をたどって三角点のある山頂まで進んだ。二ノ池への戻り道はかなりの登りとなってしまったが、これが最後の登りということで頑張る。迂回路をたどって王滝頂上に戻ると、大勢の登山者が息もたえだえで続々と到着していた。ガスが出はじめ、南アルプスも姿を隠してしまった。踏みならされた道で、下りは早かった。途中、バテテいるものが多く、また、昼近くに登りだすもの、普通の革靴で登ってくるものもいた。田ノ原駐車場から振りかえった御岳山は、頂上が雲に隠れ、風も冷たく観光客もまばらで、秋の気配がたちこめていた。


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