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大山

1993年9月2日 前夜発日帰り 単独行 晴

大山(弥山) だいせん(みせん) (1711m) 大山(鳥取) 5万 大山 2.5万 伯耆大山

ガイド:アルペンガイド「中国・四国の山」(山と渓谷社)、日本百名山登山案内(山と渓谷社)

8月31日(火) 15:42 新潟(あさひ322)=17:52 東京着=18:44 東京発(出雲1号) 9月 1日(水) =7:12 米子(6:53 着予定)=7:20 発 =(日の丸バス)=8:05 大山寺〜8:10 発―8:35 二合目―8:58 五合目―9:09  六合目(避難小屋)―9:43 大山(弥山)山頂〜9:58 発―10:27 六合目―10:34 元谷分岐―10:50 元谷―11:05 大神山神社―11:14 大山寺―11:20 大山寺バス停〜11:40 発=(日の丸バス)=12:30 米子=13:58 発(やくも12号)=16:01 岡山=16:33 発(ひかり179号)=18:53 小倉


 大山は、神仏双方の霊山として古来より崇められ、大己貴神(おおなむちのかみ、大国主命のこと)の名をとったといわれている。中国地方における最高峰であり、日本海に近い独立峰であるため、冬の気象条件は厳しく多くの冬山遭難者がでている。また、夏山シーズンにおける、登山道のオーバーユースが問題となっており、自然保護のための整備が行われている。
 小倉理工学会への途中、夜行列車を利用して、100名山を一つかたずける。大学からタクシーで帰宅し、学会と山の荷物を持ってあわたたしく列車に乗り込む。荷物の関係で山の服装でリュックを背負って出発する。夜行列車に乗り、駅弁とビールで夕食を採り、8時過ぎには寝てしまう。夜行列車はほぼ満席であった。ヨーロッパでの旅行以来久しぶりの夜行列車であり、良く眠れたが、コペンハーゲンを乗り越してハンブルグまで行ってしまう夢を見た。5時過ぎ鳥取駅で目を覚ます。機関車の故障で15分遅れとのこと。予定のバスに間に合うか気になるが、乗り遅れても後続のバスで回る時間的余裕はあった。いそいで米子駅のコインロッカーに学会の荷物を入れ、予定のバスに乗込む。大山寺バス停で朝食のパンを食べて出発する。コースを夏山登山コースにするか、元谷コースをとるか迷っていたが、先を行く登山者が、参道を右に曲って夏山登山コースに入って行ったため、同じコースをとることになった。夏山登山道は、丸太の階段で始り、コースは良く整備され、どこまでもこの階段が続いた。階段の登りが続くため、体力の消耗も厳しいものがあり、気温もかなり上っており、大汗をかいての登りとなった。樹林帯の登りを過ぎて、六合目の避難小屋に着くと、弥山から剣ヵ峰への稜線と崩壊の目立つ険しいガケが目の前に広がった。先行の登山グループが休憩していた。六合目から上では、登山道の崩壊が目立つようになり、小石をハリガネで囲って階段を作っていた。ところどころ小石が抜け落ちて針金の枠だけとなっており、降りではこの針金に引っ掛かりそうで注意を要した。九合目からは、潅木(大山キャラボクというらしい)の茂る台地に引かれた木道歩きとなった。この木道は、地上3メートル程の高架となっており、ころげ落ちたならば這い上がるのが非常に難しいだろうと思った。木道歩きを続けて山頂に到着し、記念写真をとっているうちにガスが上がってきて、剣ヵ峰は直に見えなくなった。剣ヵ峰への縦走路の崩壊は激しく、両脇が崩れ落ちている細い稜線となり、登山道も消えているようであった。三角点まで、注意を促すロープを越して進み、眺めを楽しんだ後に引き返す。下りは木道のお花畑コースをとり、ハクサンフウロより少し大きめで、花期が明らかに遅いシコクフウロというらしい花を見ることができた。下りを急ぎ、5合目より少し上の分岐より元谷に下山する。元谷へは、横に埋めた丸太の階段を一気に下るものであった。大山に登るコースはどちらをとっても、階段登りからは免れなかった。元谷は、砂防工事中で、工事の音がうるさかったが、仰ぎ見る大山の岩壁は迫力があった。緩やかに下って神社に出て、参道歩きとなり、観光客の領域に戻った。かなりの汗をかいたため、参道脇で飲んだ水がおいしかった。予定より2本前のバスに乗り込むことができ、米子駅で時間の余裕ができた。昼食後、着替えをして宅急便で登山の荷物を送り返し、学会場の小倉に向かった。山の天気はまあまあであったが、学会の2日目に戦後最大級の台風が襲来し、ポスター発表もそこそこに山陽新幹線で脱出することになった。
 大山の登山道は、整備され過ぎているものであった。しかしながら、もしも整備されていなかったら、足場の悪い急斜面を登り続けるものとなり、一部の登山者しか登れない山になるだろうと思われる。学校登山や一般大衆登山の対象にするために山の整備を行うかについては、登山界全体の今後の課題であろう。

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