高ノ峰、白鳥山〜犬ヶ岳

高ノ峰
白鳥山〜犬ヶ岳


【日時】 2020年6月19日(金)〜22日(月) 日帰り、1泊2日
【メンバー】 単独行
【天候】 20日:雨 21日:晴 22日:曇り

【山域】 西頚城山地
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 高峰・たかのみね・577.5m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 富山/糸魚川/梶屋敷
【コース】 浦本駅より
【ガイド】 無し

【山域】 北アルプス北部
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 金時坂の頭・きんときさかのあたま・920m・なし・新潟県
 白鳥山・しらとりやま・1286.9m・三等三角点・新潟県、富山県
 下駒ヶ岳・しもこまがたけ・1241m・なし・新潟県、富山県
 菊石山・きくいしやま・1209.7m・三等三角点・新潟県、富山県
 黄蓮山・おうれんやま・1360m・なし・新潟県、富山県
 犬ヶ岳・いぬがたけ・1592.5m・二等三角点・新潟県、富山県
【地形図 20万/5万/2.5万】 富山/泊/親不知、小川温泉
【コース】 坂田峠より
【ガイド】 新潟100名山+10(新潟日報事業社)、山と高原地図「白馬岳」(昭文社)
【時間記録】
6月19日(金) 12:10 新潟発=(R.8、R.116、R.402、R.116、R.8、境橋 経由)=17:40 坂田峠駐車場  (車中泊)
6月20日(土) 5:00 坂田峠駐車場=(境橋、R.8 経由)=8:05 浦本駅―8:52 展望台―9:50 高ノ峰―10:30 展望台―11:08 浦本駅=(R.8、境橋 経由)=15:30 坂田峠  (車中泊)
6月21日(日) 4:20 坂田峠駐車場―5:17 金時坂の頭―5:30 シキ割の水場〜5:35 発―6:44 山姥道分岐―7:03 白鳥山〜7:10 発―8:45 下駒ヶ岳〜8:50 発―9:32 菊石山〜9:45 発―10:00 黄蓮の水場〜10:30 発―11:12 黄蓮山―12:42 栂海山荘―13:00 犬ヶ岳―13:17 栂海山荘〜13:30 発―14:50 黄蓮山〜15:00 発―15:28 黄蓮の水場  (テント泊)
6月22日(月) 4:45 黄蓮の水場―5:11 菊石山―5:57 下駒ヶ岳〜6:05 発―7:33 白鳥山〜7:50 発―8:03 山姥道分岐―8:58 シキ割の水場―9:05 発―9:19 金時坂の頭―10:00 坂田峠=(境橋、R.8、R.116、R.402、R.116、R.8 経由)=14:45 新潟
 高峰は、日本海の海岸線に広がる浦本集落の背後にある山である。送電線巡視路を利用した登山道が整備されている。

 北アルプス北部の朝日岳から日本海の親不知までの27kmにわたって、さわがに山岳会の手によって、栂海新道が切り開かれている。白鳥山は、この栂海新道沿いの北アルプス北端最後の1000m級の山として親しまれている。犬ヶ岳は栂海新道のほぼ中間に位置しており、山頂からは朝日岳のみならず周囲の展望が開けている。栂海山荘が設けられていることから縦走のための重要な山になっている。

 新潟100名山最後の山として犬ヶ岳が残った。犬ヶ岳は坂田峠から日帰りを行う者が多いようであるが、現在の私の歩行スピードと体力では、登れない可能性がある。確実性を重視して小屋泊の1泊2日で歩くことにした。寝袋やマット他の小屋泊まりの装備が必要になるが、加えて、安全のためにソロ・テントを持っていくことにした。いつも持ち歩ているツェルトより少しかさばるだけである。フライやペグは持たないことにした。ただ問題は、しばらくテント泊装備での歩きを行っていないことであった。行動用の水1Lをパッキングして背負ってみて、なんとか歩けるであろうと確かめた。
 この週末、土曜日は雨であるが、日曜日は晴、月曜日は曇りという予報が出た。日・月で犬ヶ岳を目指すことにした。土曜日の雨も朝のうちのようなので、天気の回復が早まった時のために、金曜日の夜には坂田峠の駐車場に入っておくことにした。
 高速代の節約のため、一般道を使って車を走らせた。金曜日の午後は雨が降り出すはずであったが、曇り空のままにとどまっていた。
 境橋を渡って富山県に入ったところで、上路への道に進む。高速の下を通り過ぎた先で境川を渡ると再び新潟県に入る。上路の集落内の家の壁に大平峠は右と書かれていた。大平峠への道にすすむのだが、目指すのは坂田峠なので少し判り難い。途中で、白鳥山の標識に従って山姥線に進む。車のすれ違いには注意が必要であるが、2001年の先回とは違って舗装往路に変わっていた。
 坂田峠への道の入り口の路肩が駐車スペースになっており、その100mほど先にも大駐車場が設けられていた。駐車スペースからすると、白鳥山はかなり人気の山になっているようである。
 大駐車場で夜を過ごしたが、夜に入ると本降りの雨となった。土曜日発の犬ヶ岳は諦めて、朝になってから山を下りた。
 土曜日を過ごすため、予備として考えておいた高峰を登ることにした。一旦、国道8号線を糸魚川の先まで戻ることになった。日本海の海岸線では、雲が低く垂れ込めているものの、幸い雨は止んでいた。
 浦本の集落は海岸線沿いに広がっていて適当な駐車スペースが無いため、浦本駅脇の公民館の駐車場に車を停めさせてもらった。糸魚川方向に国道を進んでから、旧道らしい民家に挟まれた道に進むと、脇道に入った先にえちごトキめき鉄道の踏切があった。左右を確認して踏切を渡ってひと登りすると、石仏が並べられた水平な道に出た。この道の先にはお寺や神社があるようであるが、高峰へは山に向かう道に進む。ここには登山案内板が置かれており、「展望台まで60分 高ノ峰山頂まで130分」と書かれていた。なお、地形図では「高峰」と表記されているが、地元では「高ノ峰」と呼ばれているようである。
 ひと登りした台地は、耕作放棄地のようで、登山道上の夏草も少し伸びていた。前方に横たわる尾根に向かっての登りが始まると、送電線巡視路特有の硬質ゴムを使った階段が現れた。高ノ峰への登山道は、送電線巡視路を利用しているようである。杉林が広がる尾根を登っていくと、送電線鉄塔の下に出た。「糸魚川B線23番」と書かれていたが、この先でも「糸魚川A線」と「西上越線」の二つの送電線が走っている。
 鉄塔の先で傾斜は少し増したが、ここには八方坂という案内板が置かれていた。急坂も僅かで、展望台の広場に到着した。日本海と糸魚川の眺めが広がっていた。ここで雨が降り始めたため、ザックカバーを取り付け、雨具の上着をはおった。天気の回復は遅れているようであった。
 展望台の先は、雑木林に囲まれた尾根歩きが続いた。472m標高点脇の台地は草地の広場になっており、ヘリポート跡のようであった。おそらくヘリコプターによって送電線鉄塔建設のための資材を運んだ跡であろう。鉄塔の建つ尾根上を回り込んでから再び尾根に戻ると、その先で最後の分岐という標識が現れた。
 この先は登山道として切り開いたもののようで、切り開きも少し荒くなった。山頂手前でササユリの花が咲いており、うれしい出会いになった。ササユリはヒメサユリの後に咲くので、6月も終盤になっていては見られないと思っていたのだが、標高が高い所なので花が残っていたようである。
 高ノ峰の頂上に到着すると、木立に囲まれた広場に木の祠が置かれており、その先の草地に山頂標識と三角点が設置されていた。内陸部方面の木立が切り開かれて展望が開かれているようであったが、雲に隠されていた。
 下山は時間にも余裕があるため、のんびり歩いた。山中では女性の3名グループと出会い、地元では親しまれている山であることが判った。
 糸魚川近くのパーキングで時間を過ごし、食糧の買い出しを行った後に、坂田峠駐車場に戻った。天気は午後になってから回復して青空が見られるようになり、夜には満天の星空が広がった。夜中には放射冷却現象によって厳しい冷え込みになった。
 未明に起床し、明るくなったところで歩き出した。登山口から坂田峠へ向かう林道は、入り口にゲートが設けられて車は通行止めになっていた。舗装道路をひと登りして坂田峠に出ると、栂海新道が横断している。左は尻高山を経て日本海に至るが、今回は白鳥山を経て朝日岳に至る右手の道に進む。
 金時坂と呼ばれる木枠の階段と金属製ステップが連続する急坂がいきなり始まった。久しぶりの大型ザックの重みも足にくいこみ、足を前に出し続けることに専念することになった。金時坂の頭までの標高差300mの登りが最初の関門になった。
 早くも大汗をかいて金時坂の頭に到着すると、その先は少し下って沢沿いの道に変わった。先回に白鳥山に登った時は、沢が残雪に覆われており、シキ割の水場は確認できていなかったのだが、歩いていくと、右手の斜面の下にシキ割の水場があった。前日の雨のせいもあってか、水は勢いよく流れ出ていた。地形図にシキ割と書かれている場所とは違って、シキ割の水場は、登山道が沢沿いに出て尾根に取りつく手前にあるので注意が必要である。
 再び尾根上に出ると、登りが続くようになるが、金時坂に比べると歩きやすく感じた。体もザックの重さに慣れたようである。標高1171m点で尾根の傾斜が緩やかになったが、ここは山姥平と呼ばれるようである。木立の上に白鳥小屋も見えてきて、元気も出てきた。山姥道との分岐に出ると、白鳥山の山頂へはもうひと頑張りということになる。この山姥道は、ガイドブックには藪が濃いように書かれているが、林道山姥線が延長されたことによって坂田峠からの周回コースとして歩くことが可能になり、白鳥山からの下山に使う者は多いようである。
 白鳥山の山頂には、薄緑色に塗られた白鳥小屋が建てられている。小屋の中をのぞくと、きれいに片付いていた。白鳥山は日帰りの山のため、栂海新道の縦走者のいないこの季節は、白鳥小屋に泊まる者はいないはずである。山頂の広場に立つと、木立の上に、豊富な残雪をまとった朝日岳を背景にして、犬ヶ岳が台形の山頂を見せていた。その肩には栂海山荘も確認することができたが、そこまではまだ遠く、その間に幾つものピークが待ち構えていた。ここからが、本番ということになる。
 白鳥山からは標高差200mの大下りになる。道は良く整備されており歩くのに問題はないが、この200mの標高差は戻りの際に大きな障害になる。標高1220mまで下った所で、白鳥の水場の入り口が現れた。入口から少し進んでみたが、水場までは遠いようなので水場を確認せずに引き返した。下るにつれて次のピークの下駒ヶ岳の山頂が高みに見上げるように変わっていくのには、心は落ち込んでいった。
 下駒ヶ岳への登りでは、その標高差よりも、手前のピークが山頂かと騙されて辛い思いをした。西隣のピークに立つと、下駒ヶ岳の荒々しい崩壊地が目の前に広がった。崩壊地の縁を辿る所もあったが、ロープも張られて安全に通過することができた。到着した下駒ヶ岳の山頂は、灌木帯に囲まれた稜線上の一点といった平凡な所であった。
 下駒ヶ岳からの下りは、急坂で、しかも途中に二ヶ所の岩場が現れた。ロープが張られているが、バックステップで足場を確認しながら慎重に下る必要があった。帰りには、下駒ヶ岳への急登が難所になるなと頭にとめた。
 次の菊石山は、さほどの標高差も無く比較的楽に越したが、足も草臥れてきた。黄蓮山を下った先の鞍部付近は美しいブナ林が広がり、心やすまるところであった。次の黄蓮山への登りが始まる所で、黄蓮の水場が現れた。用意してきたナップザックにコップと折りたためる水筒のプラティパスを入れて水場に向かった。トラバース気味に下っていき、最後にロープ頼りに2m程の段差を下ると、沢に出た。沢には数段の滝がかかっていたが、跨ぎ越すのには問題の無いほど良い水量であった。水を汲んで思いきり水を飲んだ。登山道に戻って、エネルギー補給の大休止とした。
 ここまでは1Lの水を持って歩いてきたが、さらに2Lの水を汲んで栂海山荘泊での水も充分確保できたとひと安心した。ところが、ザックに収めて背負ってみると、増した2kgの重さがずっしりとこたえて、これでは犬ヶ岳まで登れないと感じた。結局、プラティパスに入れた水は捨てて、1Lの水だけで犬ヶ岳を目指すことになった。このあたりから、栂海山荘に泊まることに迷いが出てきた。一番楽なのは、黄蓮の水場で泊まってしまうことにして、最小限の持ち物だけでここから犬ヶ岳を往復することであろうと。
 結局、思いザックを背負って、犬ヶ岳に向かって歩き出した。再び200mの標高差を登り切って黄蓮山に辿り着くと、幸いをその先に大きな下りはなく、肩部に建つ栂海山荘も近づいてきたが、さらに標高差200mの登りが待ち構えていた。いつもならあなどってしまう標高差200mの登りが、このコースでは繰り返されて忍耐力と体力を試されることになった。
 細尾根を辿り、幅広の山腹に取りついて登っていくと、ようやく犬ヶ岳の肩に建つ栂海山荘に到着した。この山小屋の壁は、赤と緑に塗り分けられており、白鳥小屋の薄緑色の方が私の好みであった。ザックを置いて、まずは犬ヶ岳の山頂に向かった。残雪を横断して尾根上に出ると、栂海新道開通に尽力された小野建氏の記念碑が置かれていた。その先の細尾根を辿ると、犬ヶ岳の山頂に到着した。犬ヶ岳の山頂からは遮るもののない展望が広がり、残雪豊富な朝日岳に至る稜線を一望できた。振り返ると、ここまで長かった白鳥山からの縦走路を目で辿ることができた。始まりの朝日岳と日本海の海岸線を眺めることができ、まさに栂海新道の中間点であった。
 栂海山荘に戻り、中をのぞいてみた。登ってくる途中に日帰り登山者とすれ違っていたが、昼過ぎの時間を考えると、この日の泊り客は私だけになりそうであった。中は増築されて複雑な造りになっており、一人で寝るのは物影が気になって不気味な感じが沸いてきそうであった。また、梅雨のさなかの晴天に恵まれて犬ヶ岳まで登ってきたものの、明日の天気が崩れでもしたら、この縦走路の奥地で進退きわまる可能性がある。時間と体力を考えると、黄蓮の水場まで下るのにだけの余裕は残されていた。
 幸い、犬ヶ岳から黄蓮山を越して黄蓮の水場までは、登り返しはほとんどない。最後は足にもかなりの疲れが出てきたものの、そう遅くならない時間に黄蓮の水場に戻ることができた。ソロ・テントのため、僅かなスペースに設営することができた。テント設営を終えて、ビール片手に食事をとると、一気に睡魔が襲ってきて早い時間から眠りについた。日が暮れると、ブナの梢が風に吹かれてザーザーと音を立てるようになった。ただ、ブナ林に囲まれたテントは、揺れることもなく静かなままであった。犬ヶ岳の山頂に泊まっていたなら、風音で不安な夜を過ごしたことになったであろう。
 ぐっすり眠ってしまい、ちょうど薄明るくなったところで目が覚めた。すばやくテントを撤収し、歩きを開始した。前日のうちに黄蓮の水場まで戻っていたので、この日の歩行時間が短くなっているのはありがたい。戻りの際の難所は、下駒ヶ岳への急登と白鳥山への最後の長い登りであった。白鳥山の山頂に戻った時は、正直ほっとした。この後もまだ長い下りが待ち構えているのだが、一般的な日帰りコースを歩いていると思うと気は楽であった。シキ割の水場で思いきり水を飲んだ後、最後の金時坂の下りに進んだ。
 予定外の場所での幕営というという問題点はあったものの、なんとか無事に山行を終えることができた。家に戻ってGPSのログで沿面距離と累積標高差を調べると、往復18.8km、登りは2281mで、改めて難コースであることが確認できた。

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