吉井城跡、菱ヶ岳、信越トレイル(須川峠〜宇津ノ俣峠)

吉井城跡
菱ヶ岳、信越トレイル(須川峠〜宇津ノ俣峠)


【日時】 2020年6月12日(金)〜13日(土) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 12日:晴 13日:雨

【山域】 東頸城丘陵
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 吉井城跡・よしいじょうせき・144m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/柏崎/塚野山
【コース】 天河原の池より
【ガイド】 なし

【山域】 関田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 菱ヶ岳・ひしがたけ・1129.1m・一等三角点補点・新潟県
 信越トレイル(須川峠〜伏野峠〜宇津ノ俣峠)・しんえつとれいる・1080m(最高点)・なし・新潟、長野県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/高田東部/柳島
【コース】 不動滝駐車場より
【ガイド】 信越トレイルマップ3 牧峠〜天水山、新潟100+10名山(新潟日報事業社)

【時間記録】
6月12日(金) 12:30 新潟=(R.8、R.116、R.402、R.116、吉井 経由)=14:50 天河原の池―15:04 吉井城跡―15:24 天河原の池=(吉井、R.8、柏崎、R.353、桜坂峠、R.253、虫川、R.403 経由)=18:00 不動滝駐車場  (車中泊)
6月13日(土) 5:28 不動滝駐車場―6:13 菱ヶ岳―7:17 須川峠―7:50 伏野峠―9:10 幻の池―9:55 宇津ノ俣峠〜10:04 発―12:15 伏野峠―12:44 不動滝駐車場=(R.403、虫川、浦川原、柿崎、R.8 経由)=17:10 新潟
 吉井城跡は、刈羽郡吉井の東に位置する山城跡である。

 菱ヶ岳は、関田山塊にある一等三角点ピークで、かつては女人禁制の信仰の山で、山頂には薬師三尊が祭られている。北斜面には運営会社の解散によって今後の存続が危ぶまれるキューピットバレイスキー場が広がっている。信越トレイルは、長野・新潟県境に沿って延びる関田山塊に開かれた総延長約80kmの長距離歩道である。標高1000m程の稜線部に続き、古くからの交易路が横断する峠を結んでいる。

 先ごろ「新潟100名山」の改定本が出版されたが、最初の本が出版された2010年の時点で、未踏の山は犬ヶ岳と2コースの信越トレイルのみであった。「新潟100名山」を目標とする登山者も多いようなので、そろそろ決着をつけようかと思い立った。関田峠〜伏野峠の間は距離が長いため、一方通行ならともかく往復することは難しい。関田峠〜宇津ノ俣峠と宇津ノ俣峠〜伏野峠の二つに分けて歩くことにしたが、宇津ノ俣峠〜伏野峠の区間がまだ残っていた。この区間にはめぼしいピークもないため、登山はやはりピークに登らなければということで、菱ヶ岳と組み合わせて歩くことにした。
 金曜日の昼に家を出たが、移動途中にある、吉井城跡を登っていくことにした。国道116号線から分かれて県道鯨波宮川線に進む。赤田城址入り口を過ぎて、国道8号線を横断した先の交差点で、大日山の標識に従って左折して民家の間を抜けて山間に進む。車道が二手に分かれて、左は大日山への道となる。二つの道に挟まれた尾根上に城跡があるようである。
 右手の道に進むと駒越ため池があり、その前の工事用土砂置き場の空き地の路肩に車を停めた。送電線巡視路に沿って登るようなので、送電線が頭上を通過するあたりで巡視路入り口を探した。巡視路の印の黄色い標識を探したが見つからないので、大日山への林道側をあたってみることにした。
 分岐に戻って大日山への林道に進むと、天河原の池が現れた。池の堰堤を進むと、巡視路の案内板は無かったが、山に向かう道があった。落ち葉に覆われて歩く者はほとんどいないようであったが、送電線巡視路の特徴である硬質ゴムを用いた階段が設けられていた。急坂をひと登りすると、はっきりした山道が続くようになった。曲輪跡のような台地をジグザグを切りながら登っていくと、山頂の東側に出た。尾根沿いにひと登りすると送電線鉄塔「刈羽64」の立つ山頂に到着した。山頂一帯は、背の高い夏草に覆われており、自由に動き回ることがままならぬ状態であった。駒越ため池方面へは、尾根を北西に下ってから西に方向を変えるようであったが、藪を掻き分けるのも大変なので、来た道を引き返すことにした。
 吉井城跡は、謂れを調べても判らず、史跡として管理されていないことが判った。
 寄り道を終えて一路キューピットバレイを目指すことになった。国道8号線の混雑を避けるため、ナビで最短コースを選択したところ、柏崎から内陸部に進み、綾子舞の里の女谷から県道13号線に進むと、沢沿いの一車線幅の道が続くようになった。対向車が来たならばすれ違いができず、絶体絶命になりそうな道であった。兜巾山の南にある桜坂峠でようやく難路から解放された。以前、兜巾山に登る際に、冬季閉鎖中のこの道を歩いたことを忘れていた。車のナビに頼ると、思わぬ難路に連れ込まれることがある。
 キューピットバレイスキー場には、まだ明るいうちに到着した。キューピットバレイスキー場は、運営会社が倒産し、新たな譲渡先を探している状態である。また、麓のユキダルマ温泉も、2020年11月には老朽化によって閉鎖されるという。新型コロナの影響によってか、隣の宿泊施設の久比岐野も明かりがともっておらず、営業は行われていないようであった。
 伏野峠への道は、国道403線ということで二車線幅の道が整備されている。一気に高度を上げると、不動滝駐車場が現れ、そのすぐ先で冬季閉鎖のゲートが閉じられていた。少し前に国道403線は冬季閉鎖中であるが不動滝駐車場までは入れることは調べてあった。ただ、6月に入っても、まだ冬季閉鎖中であることには驚かされた。周辺には雪の気配はまったく無い。ただ、不動滝駐車場から菱ヶ岳に登るつもりであったので、山の予定に支障はなかった。不動滝駐車場が車道の終点であると、夜中に上がってきた車がユーターンするため、眠りが妨害される。一旦下って空き地を見つけ、そこで夜を過ごした。
 朝になってから不動滝駐車場に戻って歩き出した。最初の急登を終えて沢に出ると、ここで須川古道との分岐となる。菱ヶ岳へは左の道に進む。登山道脇の湿地には、ミズバショウが咲いていた。登りをもうひと頑張りすると、菱薬師小屋の建つ菱ヶ岳の山頂に到着した。米山や黒姫山がどんよりした雲をバックにシルエットを浮かべていたが、妙高山や日本海は雲に隠されていた。
 ひと息ついているうちに雨粒が落ちてきた。この日の天気予報は曇りだったので、じきに止むだろうと思い、ザックカバーをかぶせ、雨具の上着だけを来た。この後本降りになってしまったが、この時は下半身はすでに濡れてしまっており、雨具のズボンを履く時期を逸してしまっていた。気温も高く、低体温症の危険はない。雨に濡れきっての歩きの訓練と思えば良い。
 東側の登山道に進み、急坂を下るとスキー場と須川峠方面への分岐に出る。須川峠方面の道に進もうとすると、「この先崩落あり 信越トレイルへの通り抜けはできません」と掲示されていた。菱ヶ岳の山頂へ登り返すのも大変である。崩落地がどこなのかは判らないが、このまま進んで、通り過ぎてきた沢際の須川古道分岐に下った方が楽であると考えた。
 窪地をひと登りすると、ブナ林が美しいトラバース道が続くようになる。通り過ぎて来た須川古道分岐への下降点には問題なく到達できた。様子見のために進むと、すぐ先で崩落地に出た。登山道が2m程の高さで分断されており、崩壊地の中央にブナの大木が倒れていた。良くみると、崩落地の下部は土砂に埋もれて河原状になっていた。少し手前から藪漕ぎで崩落地下部に下りて、これを横断すると登山道に戻ることができた。結局、崩落地はここだけであった。
 深坂峠と分岐を過ぎると、平坦な稜線上にある須川峠に到着する。この先は、信越トレイルとして新しく切り開かれた道となり、古道と比べると荒れた感じになる。三角点の置かれたピークをかすめて下っていくと伏野峠に到着した。伏野峠へは、長野県側からなら冬期閉鎖は解除されていて車で上がって来られるようであった。菱ヶ岳だけが目的なら、伏野峠から車道歩きで不動滝駐車場に戻ることになる。ガイドブックにあるようにスキー場の下から登ってくるよりは、不動滝駐車場を起点として伏野峠経由で周回した方が、車道歩きも短くお勧めである。
 今回の目的である信越トレイルを結ぶため、宇津ノ俣峠に向かっての歩きを開始した。伏野峠のすぐ先の1080mピークが今回の区間での最高点となるが、その先も小さなアップダウンが続いた。目印の乏しい稜線歩きで、雨にも打たれて気分も落ち込むばかりであった。
 伏野峠から宇津ノ俣峠の間では、幻の池が唯一の目標地になる。稜線の南側に思っていた以上に広い湖面を広げていた。さらに小さなアップダウンを越していくと、堀切状の宇津ノ俣峠に到着した。ここからは、登山道が長野県側に下っていた。目的地として達成感のない宇津ノ俣峠であるが、ここで引き返すことになった。
 伏野峠に戻り、車道歩きで不動滝駐車場に戻った。冬期閉鎖といっても、雪の影響は見当たらず、ガードレールのワイヤー設置がまだ行われていないだけであった。歩いて楽しかったかは別にして、ともかく関田峠から伏野峠間の信越トレイルをクリアした。新潟100名山にもリーチがかかった。
 日曜日は雨の予報が出ていたため、家に戻ることにした。


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