吉祥嶽、天蓋山

吉祥嶽、天蓋山


【日時】 2020年5月31日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 山北
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 吉祥嶽・きちじょうだけ・500m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/勝木/勝木、蒲萄
【コース】 大毎より周回
【ガイド】 新潟百名山(新潟日報旅行社)、新潟日帰りファミリー登山(新潟日報事業社)

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 天蓋山・てんがいさん・634.2m・四等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/勝木/蒲萄
【コース】 林道天蓋線入口より
【ガイド】 新潟百名山(新潟日報旅行社)、新潟日帰りファミリー登山(新潟日報事業社)

【時間記録】 5:05 新潟=(R.7、蓮野IC、R.345、荒川胎内IC、日本海東北自動車道、朝日まほろばIC、R.7、大毎 経由)=6:55 牛の首コース登山口〜7:15 発―8:03 坂下―8:28 尾根上分岐―8:43 吉祥嶽〜8:55 発―9:20 鳥坂コース登山口―10:00 牛の首コース登山口=(広域農道)=10:15 林道天蓋線入口―10:28 登山口―11:00 天蓋山〜11:10 発―11:21 登山口―11:45 林道天蓋線入口=(広域農道、高根、R.7、朝日まほろばIC、日本海東北自動車道、荒川胎内IC、R.345、蓮野IC、R.7 経由)=13:30 新潟
 吉祥岳は、県北部の山北町の旧出羽街道沿いにある大毎(おおごと)の集落の背後にそびえる里山である。地形図に名前は記載されていないが、勝木の地図の大毎の集落から南に延びる林道の先の500mピークが吉祥岳である。集落内にある吉祥清水は、吉祥岳の麓の湧き水を水源としており、平成の名水百選に選ばれた。

 天蓋山は、高根の集落の北側に広がる松ノ木平の東にたたずむ独立峰で、朝日連峰をはじめ周囲の山々の展望が開けた山である。

 先ごろ出版された「新潟100+10名山」の本から登頂リストをまとめたが、あと一山であることが判った。ただ、吉祥嶽は2008年8月30日に牛の首コースへ下山したところ沢沿いで道を見失い、導水路を伝ってかろうじて大毎の集落に戻ったといういきさつがあり、再訪が必要とされていた。また、天蓋山に登ったのは2000年12月2日だったので、現状が大きく異なっているようで気になっていた。二つ合わせて登れば、時間的にも良さそうなので出かけた。
 大毎の集落から山北朝日線の広域農道へ進んだ。二車線幅の立派な道で、農地の中を進んでいくと牛の首コースの起点になる林道入口に到着した。林道入り口には、「吉祥岳登山道入口」の標識が置かれていた。車道の幅も充分あるので、路肩に寄せて車を停めた。
 林道に進むと、一旦下りなって谷間に出た。溜池の手前で、右手に登山案内板が置かれているのが見えた。林道から分かれて山際に進むと、尾根上に向かう登山道が始まっていた。杉林の中をひと登りすると、用水路跡であったらしい水平道に出て、右手に進むことになった。大毎川を見下ろしながらの山道が続いた。沢まではかなりの高さがあった。岩を削ったりしたところもある幅も充分な道であったが、場所によっては土砂崩れによって削られてコンクリートの護岸壁の上を歩くような所もあった。
 沢を見下ろすと、コンクリートで壁を作った導水路が対岸の山際に続くのが見えた。先回は、この導水路を伝って里に生還したことになる。
 枝沢に架かる橋が現れたが、鉄製の細い板で傾いていたので、これは渡らず沢をまたぎ越した。すぐ先で倒れた案内板があり、通過したきたのが二股と呼ばれる地点のようであった。対岸がこうもり岩と呼ばれるらしいが良く判らなかった。すぐ先で丸木橋で左岸に渡ることになった。先回は、この二股付近で道を見失ったようである。
 沢岸沿いの道が続くようになったが、羊歯が伸びており、ストックで足元を確認しながらの歩きになってしまった。朝露でズボンの裾も濡れてしまった。この牛首コースは草が茂った時期には避けた方が良さそうであった。
 この後二つの橋を渡ると、沢を離れての急登開始地点に出た。以前あった登山案内板は無くなっていた。崩れた板があったのがその名残りのようであった。本流に架かる三番目の橋から70mほど進んだところの、サワグルミの大木が目印になる。
 枝沢を右に見下ろしながらの急登の開始になった。トラバース気味に続くため、ロープが張ってあるといっても滑りやすかった。沢の源頭部が近づいたところで、右手の杉林にうつり、トラバースの登りをもうひと登りし、右に曲がると尾根上に出た。この先は、幅広の道が続き、もうひと登りで吉祥嶽の山頂に到着した。
 吉祥嶽の山頂からは、北側には大毎の集落と周りに広がる水田を見下ろし、その向こうには日本国といった県境の峰々、東には朝日連峰、西には粟島を望むことができた。標高以上に展望の良い山である。
 なお、吉祥嶽は、地形図で標高が「500m」とあり、小数点は記載されていないことからも判るように、測量のための三角点は置かれていない山である。ところが、山頂の看板の脇には、三角点標柱と良く似たものが置かれている。標柱横には「山」と刻んであることから、林野庁の境界標識であることが判る。ネットでこの山の記録を見ていると、三角点と思って記念写真を撮っているものを見かける。主三角点も良く間違えられるが、山の知識として知っておいて欲しい。
 下山は、鳥坂コースへ。急坂で一気に高度を落とすことになった。木の階段が連続して整備されているが、朽ちて段差が傾いているところも多く、脇の固定ロープの方が役にたった。途中で、「中間展望台」と書かれた看板が地面に倒れていた。急登の途中の休憩地点としては良いかもしれないが、展望は木立の間から僅かに大毎の集落が見えるだけであった。杉林の広がる谷間に下り立つと林道跡の広場に出て、そのすぐ先で車道に出ることができた。ここには、「吉祥岳登山道 登口 山頂まで45分」と書いた案内板が置かれていた。
 後は、舗装された車道を大毎集落まで下ることになった。ただ道幅は細いので、ここまで車を乗り入れるよりは下から歩いてきたほうが良いであろう。大毎集落を抜けて広域農道に置いた車に戻る途中、吉祥清水にも寄って水を飲み、持ってきた水も入れ替えた。登山の後の清水は格別に美味しい。  吉祥嶽は、牛の首コースと鳥坂コースを周回してこそ、山の価値を味わうことができると、改めて確認できた。
 続けて天蓋山へ。天蓋山の登山口は、牛の首コース入口と広域林道でつながっているのが便利である。快適な山岳ドライブも僅かな時間で、天蓋山登山口の林道天蓋線入口に到着した。「新潟100名山天蓋山入口」と書かれた標柱も立てられていた。林道天蓋線入口はゲートがあって車の通行はできず、ここから歩き出すことになる。
 未舗装ではあるが、車の走行には問題の無い林道を歩いていくと、天蓋山の山頂が迫って見えてきた。山頂から北西に落ち込む尾根が登山コースになる。登山口に置かれた標柱は字が見えなくなってきていたが、脇には登山届のポストが置かれていた。
 木立に囲まれて薄暗い尾根の急登が続いた。所々でロープも張られていた。気温も上がって、急坂がこたえるようになってきた。標高540m付近で、伐採地に飛び出した。水平な作業道を三回ほど横切ることになり、登山道のつながりが判り難くなっていた。山頂付近だけに残されたブナ林に入ると、もうひと頑張りで天蓋山の山頂に到着した。小広場の中央には小さな木のお堂が置かれ、中には中央に台座だけ残された像と左の脇侍の像が納められていた。20年前に登った際には、このような像は無かったので歴史のある像ではない。山頂からの展望は素晴らしく、屹立する駒ヶ岳の向こうに朝日連峰が横たわっていた。
 戻る途中、二組三名の登山者とすれ違った。新保岳などを登った後のついでの山としてやってきたのであろう。天蓋山は、以前の知られざる山としての状態と比べて、伐採によって痛めつけられ、新潟100名山に選ばれたためについでの山として登られるようになり、不幸な山に変わってしまったと思ってしまう。

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