馬ノ髪山、要害山(三川)

馬ノ髪山、要害山(三川)


【日時】 2020年5月9日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 蒲萄山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 馬ノ髪山・うまのかみやま・757.0m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/東赤谷
【コース】 林道綱木新谷線登山口
【ガイド】 新潟日帰りファミリー登山(新潟日報事業社)

【山域】 津川周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 要害山・ようがいさん・240.1m・四等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川/津川
【コース】 三川温泉スキー場林道入口より
【ガイド】 なし

【時間記録】 5:30 新潟発=(R.7、新発田、上赤谷、上綱木 経由)=6:33 馬ノ髪山登山口〜6:50 発―7:25 尾根取り付き―7:58 見晴らし―8:35 馬ノ髪山〜8:50 発―9:12 見晴らし―9:34 尾根取り付き―10:07 馬ノ髪山登山口=(三川温泉入口 経由)=10:41 三川温泉スキー場林道入口―10:51 遊歩道入口―11:05 要害山〜11:20 発―11:32 遊歩道入口―11:41 三川温泉スキー場林道入口=(岩谷、R.49 経由)=12:45 新潟
 馬ノ髪山は、飯豊連峰の大日岳から西に派生する尾根の末端に、俎倉山、馬ノ髪山、棚橋山と続く山である。俎倉山が、地元で親しまれた登山の対象の山なのに対し、馬ノ髪山は地元のガイドブックで紹介されてはいるがあまり登られていない。

 要害山は、R.49の白崎橋で阿賀野川を渡る時に目に入ってくる、右岸にそびえる鋭峰である。地形図には山名は記載されていないが、点の記によれば、点名は「白川」、俗称「大藤場」とあるが、地元では要害山と呼んでいるようである。三川温泉スキー場からの林道から遊歩道が延びているが、忘れられた存在になっている。

 登る山を考えていると、馬ノ髪山には1998年5月以来登っていないことに気が付いた。登った時には秘峰という感じであったが、2007年発行の「新潟日帰りファミリー登山」というガイド本に紹介されて、何か面白くない感じがしてしまった。この本の前書きには、「本書は書名が示す通り、お父さん、お母さん、子どもたち、そしておじいちゃん、おばあちゃんをも対象とした、家族で行ける日帰りの軽登山&ハイキングコースを紹介したものです。」と書かれている。この文章は、馬ノ髪山の価値を貶めているとしか思えない。新潟山岳協会会長の文章のようであるが、標高だけで低山をなめているのではと思ってしまう。子供つれのファミリーハイクに相応しい山になっているかの現状を確かめに出かけることにした。
 新発田から上赤谷経由で上綱木を目指す。県道から分かれて綱木川沿いの道に入り、すぐ先で左折して林道綱木新谷線に進む。この入り口には、馬ノ髪山の案内板も置かれて判りやすくなっていた。しばらくは、舗装された林道の走行が続く。林道が南に向かってカーブすると、山の別荘なのか建物があり、その向かいの空き地に石造りの馬ノ髪山登山口を示す記念碑が置かれていた。
 ガイドブックには書かれていないが、馬ノ髪山登山には通常の登山靴ではなく長靴が必須である。しかも急坂が続くため、下りのスリップ防止のため、この日はスパイク長靴を履いた。
 荒れた林道を少し歩くと、砂防ダムの堰堤が現れる。壁際に階段状に整備された登り口があるので、ひと登りして堰堤を越す。この先しばらくは、増谷沢沿いの歩きが続くようになる。沢を何度も横断することになり、長靴なら浅瀬を渡れば良いが、登山靴では飛び石伝いのコースを探すのに時間もかかりそうである。そのうち、水に落ちて靴を濡らしてしまうのは必至であろう。沢岸の道事自体はしっかりしているが、沢の横断が度々あるので、目印の赤布を注意して辿っていく必要がある。以前の記憶では、沢岸の道はあまりはっきりしておらず、水の中をジャブジャブ歩くことが多かったような気がする。今回で気になったのは、倒木が多く、沢が荒れた感じになっていたことである。
 馬ノ髪山へと突き上げる尾根の末端を北側に回り込んだ所が登り口になる。赤布に導かれて自然に尾根に取りつくことになるが、注意深く地形を見ながら歩いていると、取り付きを通り過ぎてしまったかなと不安を覚えるかもしれない。
 尾根に乗ると、後は標高差350mの急坂の連続になる。木の根を足掛かりの急坂であるが、尾根沿いに並ぶ天然杉に目が奪われる。悲鳴を上げる足をなんとか前に進めていくと、570m地点で展望の開けた空き地が現れた。ザックを下ろし、風景を眺めながら息を整えた。菱ヶ岳を中心とした五頭連峰、台形状の笠菅山の向こうには菅名山塊、その左には川内山塊を眺めることができた。それよりも山の麓の森が、新緑の中に芽吹きの赤や黄色の木立が混じる春もみじの眺めが美しかった。
 ひと息付いた後、再び登りに汗を絞ることになった。あい変わらずの急坂で、ロープが固定されたところも現れた。ようやく傾斜が緩むと、扇の平に到着する。窪地から尾根に乗ると、その先で小広場になった馬ノ髪山の山頂に到着した。
 馬ノ髪山の山頂からは、大展望が広がっている。曇り空のため飯豊連峰の稜線部は隠されていたが、谷向こうには焼峰山が険しい姿を見せていた。稜線の先には俎倉山と蒜場山、南には、低くなった笠菅山の向こうに、菅名山塊や五頭連峰、川内山塊の山々が広がっていた。標高以上に高度感のある山頂である。
 ひと休みの途中、二人連れとすれ違った。この日の登山者は三名だけのようであった。  登っての感想であるが、沢絡みの遡行、急坂の連続。赤布も取り付けられて一般的登山道ではあるが、決して家族で行ける日帰りの軽登山の山でないことは確かである。
 時間もあったので、1999年10月以来になる要害山に寄ることにした。この山に気がついたのは、国道49号線の白崎橋付近で山頂に東屋があるのが目に入ったことによる。最近は木立が伸びて東屋が見えなくなり、さらに登山口の三川温泉スキー場が廃業になったため、登山道がそのまま維持されているのか気になっていた。
 三川温泉スキー場への道を上がっていき、スキー場のゲートをくぐると、右手に広い駐車場が設けられており、その脇から林道が始まっている。林道の左脇には、円錐状の要害山が山頂を見せていた。
 林道を進んで南東の肩に回り込むと、遊歩道が始まっている。もとは階段状に整備されていたものが朽ちてしまっているが、遊歩道自体は歩くのに問題のない状態であった。九十九折りの道を登っていくと、山頂手前で道が二手に分かれる。とりあえずよりはっきりした左手の道に進むと、山頂をほぼ一周する道に出て、すぐ先で右にひと登りすると、東屋の置かれた山頂広場に到着する。東屋のテーブルは壊れていたが、屋根は保たれていた。山頂は木立に囲まれて展望は閉ざされていた。反対側にも下り口があり、すぐ先で分岐に戻ってあとは九十九折の道を戻ることになった。
 要害山の遊歩道の維持にも関係すると思われる三川温泉スキー場の今後が気になる。

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