宝蔵山

宝蔵山


【日時】 2020年4月4日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 白山・粟ヶ岳山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 宝蔵山・ほうぞうざん・897.1m・三等三角点・新潟県
【コース】 上高柳口より周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【ガイド】 なし

【時間記録】 5:55 新潟発=(R.49、亀田、R.403、加茂、上高柳 経由)=6:50 林道分岐〜7:15 発――7:40 鉄塔登山道口―9:56 宝蔵山―10:53 橋立〜11:05 発―11:37 林道終点―12:33 林道分岐=(往路を戻る)=13:40 新潟
 宝蔵山は、白山の隣りに寄り添う山で、粟ヶ岳へ至る稜線上のピークである。縦走路以外に、上高柳あるいは小乙から橋立経由、さらに中大谷から尼池山経由のコースがあり、現在ではいずれも登山道が良く整備されているにもかかわらず、宝蔵山を訪れる登山者は少ない。

 久しぶりの晴天の予報が出て、少し歩きでのある山を考えることになった。ただ、新型コロナの影響で、人に出会わない山を選ぶ必要がある。そこで春先定番になっている宝蔵山に出かけることにした。隣の白山と違って、この山に登る者は少ない。
 上高柳から高柳川沿いの林道に進み、尼池尾根に立つ鉄塔へ続く林道の入り口に車を停めた。宝蔵山へは、中大谷から歩き出すのが一般的であるが、この林道入り口から歩き出して橋立へと周回する方が面白い。林道には鎖が掛けられているが、朝食をとっていると、軽トラックがやってきて鎖を外して林道を上がっていった。春先のこの付近は、登山者よりも山菜採りで入山する者が多い。
 林道の登りは結構急で息が上がるが、その分一気に高度も上がる。傾斜が緩んでトラバースに変わると尾根上に立つ鉄塔に出て、中大谷から上がってきた登山道に乗ることができる。この先は幅広の登山道が続いているが、以前の林道幅であったものと比べると、次第に細くなってきている。尾根沿いに進んでいくと尼池山に出るが、尾根の通過点というだけで標識も無く、そのまま通過してしまうことになる。
 尼池山の先で高柳川沿いから上がってくる登山道が合わさるが、入り口は藪に覆われていた。2016年5月にこのコースをなんとか歩ききったが、その後手が入っていないようで、現在は廃道といって良い。
 炭焼場跡の標識を過ぎると急登が始まる。幸い急坂はそれほど長くはなく、傾斜も緩んで息を整えることができた。前宝蔵山が近づくと、谷越しに宝蔵山へ続く稜線の眺めが広がった。宝蔵山の山頂付近に僅かな残雪が見られるものの、茶色の冬枯れの姿であった。春先に宝蔵山に登ったのは二回で、2015年5月の時は残雪たっぷり、2016年5月の時は完全な雪融け状態であった。それよりも1月早く、異例ともいえる暖冬のため、今回は残雪歩きは無いであろうとこの時は思った。考えが甘かったことをこの後で思い知ることになるのだが。
 前宝蔵山へのトラバースに入ると、残雪が現れた。ぐずぐずの雪で、一歩ずつ足が潜る状態であった。わかんを持ってこなかったことを後悔したが、断続的に土道を歩くことになるので、いずれにせよわかんを装着することにはならない。古いわかんの跡がコース判断の助けになったが、登山道から外れないように注意が必要であった。右上に尾根が近づいてきて、そちらに方向を変えるのかと思ってしまうが、トラバースを続けていくと、前方に雪の消えた枝尾根が下ってきており、自然にそれに乗ることができた。ここからは最後の急登になるが、振り返ると歩いてきた尾根を一望でき、汗をぬぐいながら一息つくことになった。
 傾斜が緩んで幅広尾根に出ると、一面の雪原が広がっていた。山頂まではもうひと頑張りであったが、雪に足がとられて歩くペースは落ちてしまった。結構頑張ったなという充実感を持って宝蔵山の山頂に到着した。夏山の時期の宝蔵山の山頂は灌木に囲まれて見晴らしは良くないが、残雪期には雪原の上で場所を選べば、白山や粟ヶ岳の眺めを楽しむことができる。もっと登られて良い山であるが、今回も独り占めの山であった。
 雪に足が潜るので少し迷ったが、橋立経由で下山することにした。宝蔵山からの下り初めは幅広斜面で、木立の間隔も開いており、雪原のどこでも歩けるため余計に難しくなっている。GPSは必携のコースである。新しい赤布が取り付けられていたが、夏道とは微妙にずれていた。少し下ると、幅広の切り開きになっている登山道を確認でき、ひと安心になった。足が雪に潜るものの、重力まかせに足を運ぶことができ、一気に高度を下げることができた。土道が現れると、濡れ落ち葉で滑りやすく、かえって歩くのに苦労することになった。急坂を終えてさらに737小ピークを越すと、ようやく雪も無くなった。
 冬枯れの登山道を歩いていくと橋立に到着し、コースとりの心配も無くなったのでひと休みすることになった。歴史ある旧道を下っていくと小乙との分岐にでるが、右下に林道が上がってきている。尾根を直進した方向に延びる笠峰への道を見ると、藪に閉ざされていた。林道を下っていくと、カタクリの花が見られるようになってきた。ただ、今年のカタクリは、例年よりも小さいように感じた。
 高柳川沿いの林道に出て歩いていくと、笠峰登山口の標識が新しくなっているのが目に入った。翌日は天気が崩れるようなので、笠峰の偵察を行おうかと思った。宝蔵山は、何度も歩いてお馴染みの山になっているが、山を歩けば新しい課題に出会うことができる。


山行目次に戻る
表紙に戻る