斉藤山、鏡山

斉藤山
鏡山


【日時】 2018年10月19日(金)〜21日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 20日:曇り 21日:晴

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 斉藤山・さいとうさん・1278.3m・二等三角点・福島県
【コース】 登り:雷神様コース 下り:早生栗コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/田島/田島
【ガイド】 分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 芦ノ牧ドライブ温泉 400円

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 鏡山・かがみやま・1338.9m・三等三角・新潟県、福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/大日岳/大日岳
【コース】 弥生より
【ガイド】 分県登山ガイド「福島県の山(改定版)」(山と渓谷社)、山と高原地図「飯豊山」(昭文社)

【時間記録】
10月19日(金) 14:30 新潟=(R.49、会津坂下、南原、R.118、湯野上、R.121 経由)=18:30 会津長野駅  (車中泊)
10月20日(土) 6:35 会津長野駅―7:45 見晴らし台―7:59 登山道入口―8:31 マイクロ塔―8:44 斉藤山〜8:50 発―9:00 マイクロ塔―9:33 登山道入口―9:44 見晴らし台〜9:55 発―10:22 早生栗―10:48 会津長野駅=(R.121、湯野上、R.118、南原、会津坂下、R.49、宝川、R.459、飯里 経由)=15:00 弥平四郎  (車中泊)
10月21日(日) 5:30 弥平四郎―6:23 急坂取付き―7:23 分岐―8:45 鏡山〜9:30 発―10:14 上ノ越―11:30 祓川駐車場―12:35 弥平四郎=(飯里、R.459、宝川、R.49 経由)=15:10 新潟
 斉藤山は、会津田島の下流の阿賀野川(大川)右岸にある山である。麓からは、山頂に立つ中継基地が目に入り、良く目立つ山になっている。以前は登山道ははっきりしない状態であったが、最近は登山道が良く整備されて、10月第三日曜日には「斉藤山ふれあい登山」と題するイベントが行われるようになっている。

 飯豊連峰の実川源流部の左岸、三国岳から南東に延びる尾根上には、疣岩山、卷岩山、鏡山、七森山、立石山、高森山、高陽山といった峰々が連なっている。福島県側における飯豊の代表的登山口の弥平四郎から鏡山に登り、北上して疣岩山に至り、従来から歩かれてきた飯豊本山へのルートに合わさる登山道が整備されている。鏡山は、実川を挟んで大日岳と向かい合っており、その山頂からは飯豊連峰の大展望を楽しむことができる。飯豊連峰の展望台というべき山はいくつも挙げられるが、その中でも代表的な山頂といって良い。

 紅葉の盛りを迎えているが、土曜日に新潟は雨、日曜日は全国的に晴の予報が出た。土曜日に雨を免れる方面をさぐると、南会津なら曇りで済むようであった。土曜日に斉藤山、日曜日に鏡山という計画をたてた。
 斉藤山は2003年6月に、会津百名山及びうつくしま百名山のピークハントで登っているが、アプローチの荒れた林道とはっきりしない登山道の記憶しか残っていない。最近改定された「分県登山ガイド福島県の山」を読むと、麓の会津長野駅から二本の登山道が整備されてイベントも行われていることを知った。現在では、登山コースは全く異なるようなので、改めて登りなおすことにした。
 時間に余裕を持たせるため、前夜に出発した。会津長野駅と登山口のある南側の車道周辺を確認したが、車を停めて夜を過ごすのに適当な場所は無かった。それほど遠くない所にある観音沼に移動して夜を過ごした。新しく広大な駐車場が設けられていた。寝る頃には雨が降りだしたが、真夜中には星空が広がっていた。朝になって車を動かすと、道路脇のスペースに多くの車が駐車していた。どうやら観音沼の紅葉を目的としたカメラマンが集まっているようであった。
 会津長野駅に車を停めて、ここから歩きだすことにした。会津長野駅は無人駅でプラットホームに上がると、頂上にパラボラ塔の立つ斉藤山が目の前に大きく広がっていた。翌日の登山イベントのための横断幕も張られていた。
 駅前広場から西に向かうと、プラットホームの端で斉藤山近道という看板があったので、線路を横断して南側の車道に出た。二つの登山道のうち、左に曲がった雷神様コースが近いので、こちらから登りだすことにした。
 標識に従って山に向かうと、杉林の中の歩きになった。すぐ先で右手の丘の上に雷神神社のお堂が見えたが、そのまま通過した。雑木林の中を緩やかな登りが続いた後にようやく尾根の急な登りが始まった。急な所にはトラバース後に折り返すように登山道が設けられて、歩きやすい道であった。
 ひと汗かくと二つの登山道が合流する見晴らし台に到着した。ベンチも設けられ、阿賀川沿いの平地部広がる集落を見下ろすことができた。向かい合う那須沢山の稜線は見えるものの、その奥の山は雲に隠されていた。雨を避けてこの山を選んだので、曇り空なら喜ばしいということになる。
 展望台から先は、ほぼ平坦な林道跡の歩きになった。急な尾根に突き当たって、左に曲って少し下ると、登山道の入口に出た。以前のガイドブックに書かれていた「あかまつ荘脇から延びる林道の終点から登山道が始まっている」というのとは状況が全く違っていた。登山道は、丸太や硬質ゴムの階段で整備されて細かいジグザグも切られ、登りやすくなっていた。急斜面の登りを終えると、両脇に延びる尾根の合流点に出た。
 この先は尾根の傾斜も緩み、ひと登りするとパラボラ塔の下に出た。塔の一段上には、最近は撤去されることも多くなった反射板も置かれていた。この付近になると、紅葉も美しくなった。鉄塔からひと登りして山頂到着かと思うが、ここはヘリポートで、尾根を少し辿った先が斉藤山の山頂になる。木立に囲まれているが、西側の木立が切られて展望が開けていた。狭い山頂なので、団体の場合はヘリポートまで戻って休んだ方が良い。
 見晴らし台まで戻ったところでひと休みした後、早生栗コースに進んだ。こちらも尾根が急になる所では細かいジグザグが切られて歩きやすくなっていた。沢状の窪地に下り立ってから山裾の台地を進むと、栗の古木の早生栗が現れた。林道を緩やかに下っていくと、両側にリンゴ園が広がるようになって、それを抜けると線路南側の車道に出ることができた。
 斉藤山は、整備の手が充分すぎるほど加わって、日帰り登山としてお勧めの山に変わっていた。
 翌日は紅葉に彩られた飯豊連峰を眺めるために鏡山を登ることにした。鏡山にはこれまで5回登っているが、1998年と1999年の最初の二回は弥平四郎から登ったが、最近の三回は弥生コースばかりになっていた。様子を確認するために、今回は弥平四郎から登ることにした。
 温泉に入ったりして時間をつぶし、夕方に弥平四郎近くに移動し、朝になって移動して学校跡の広場に車を停めた。秋も深まって日の出も遅くなり、薄明るくなって歩きだしたのは5時半になっていた。学校跡からは、集落の中を通り抜けることになるが、空き家が目立ち、二軒あった旅館のうち一軒は廃業したようで窓に板が打ち付けられていた。高齢化が進み、この弥平四郎や弥生など、飯豊の登山口となる集落が無人になるのではと危惧する。
 集落の外れで四ツ沢を渡ると、林道の分岐となり、鏡山へは左の林道に進む。下山は上ノ越から祓川の駐車場へ進むつもりなので、帰りは右手の林道を戻ってくることになる。
 四ツ沢沿いの林道歩きが続くが、周囲には休耕地が広がって、林道にも草が茂って徐々に荒廃が進んでいる感じがした。大きな砂防ダムに出て左脇を乗り越えると、その先の沢は美しい流れを見せるようになった。沢の渡渉も度々現れるようになったが、木の橋は架かっておらず、流れを見て渡れるコースを考える必要があった。水面下の石を踏み台にして越そうとすると足が滑って、靴が水に浸かってしまった。結局、三回も水にはまって、濡れた靴下で頑張ることになった。
 左の沢に入って少し進むと、ようやく尾根の取り付きになった。最初は足場の悪い急登であったが、ひと登りすると一定の傾斜の登りが続くようになった。標高820m付近でようやく急登から解放されてひと息できるが、その先で988mピークへの登りが再び始まる。幸い頂上手前でトラバースに入り、足場の悪い崩壊地を通過すると、幅広尾根に出て弥生からの登山道が合流する。両登山口からこの分岐までの歩きを考えると、鏡山の往復だけということなら、林道終点からの登りが僅かな弥生からの方が楽である。
 この先は最近も歩いて記憶も新しい区間になった。紅葉も盛りの尾根を進むと水場となり、そこから再び急な登りが始まる。七森峰と呼ばれる1168mピークを越すと、その下り部からは紅葉に彩られた鏡山が見えて、写真ストップとなる。お気に入りの眺めである。その先のピークを乗り越すと、ようやく鏡山の山頂への詰めの登りになる。木立の間から大日岳が見え始めたが、雲が掛かっているのが気がかりになった。
 鏡山の山頂は、手前に騙しのピークがあり、初夏には残雪の残る窪地を過ぎてひと登りしてようやく登頂となる。疣岩山から種蒔山、飯豊本山、御西岳、大日岳に至る飯豊の稜線の眺めが広がっていた。大日岳の山頂だけは雲が流れて隠されていたので、待つことにした。上ノ越に至る稜線の紅葉は盛りで、太陽に照らされて朱色に輝いていた。大日岳に掛かる雲が晴れるのを待ちながら大休止としたが、太陽が陰ると寒さを感じるようになった。休憩時間中に登山者が現れると思ったのだが、結局独り占めの山頂であった。紅葉の盛りの晴天の飯豊の展望台ということで、それなりに混み合うと覚悟していたので、拍子抜けとなった。
 下山のために上ノ越へと尾根を北に進んだ。下山コースではあるが、上ノ越までは小ピークの乗り越しが続いて、気を抜くことはできなかった。上ノ越の分岐からは、一旦来た方向に戻るようにトラバースした後に本格的な下りに入る。下りの途中、5名グループとすれ違い、この日はこれが出会った登山者のすべてとなった。「上ノ越まではもうすぐか」と聞いてきたところを見ると、かなりばてていたようである。祓川駐車場から鏡山を目指すのは、距離は短いが急登が続くので、楽とは思えない。
 急な下りを終えて山裾の台地を進むと、祓川の駐車場に出た。驚いたことに、10台以上の車が停められていた。登山道で出会ったのは一組だけで、飯豊本山への泊まりの登山者も土曜日の雨を考えると、いたかどうかは判らない。キノコ採りの車のようであった。
 駐車場はしっかり整備整備されており、その後の林道も車の走行には問題ない状態であった。道幅の狭いところもあるので、対向車に注意する必要なところもあるが。以前のように流水で削られたでこぼこ道とは大違いであった。林道歩きも1時間で終わって弥平四郎の集落に戻ることができた。

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