笙ヶ岳、月山、姥ヶ岳

笙ヶ岳
月山、姥ヶ岳


【日時】 2018年7月13日(金)〜15日(日) 2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 13日:曇り 8日:晴

【山域】 鳥海山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 笙ヶ岳・しょうがたけ・1635.3m・二等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新庄/鳥海山/湯ノ台
【コース】 鉾立より
【ガイド】 山と高原地図「鳥海山・月山」(昭文社)

【山域】 出羽山地
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 月山・がっさん・1984m・なし(1979.5m・一等三角点補点)・山形県
 姥ヶ岳・うばがだけ・1669.7m・三等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/月山/月山
【コース】 姥沢コース
【ガイド】 アルペンガイド「鳥海・飯豊・朝日」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「鳥海山、月山」(昭文社)

【時間記録】
7月13日(金)13:50 新潟=(R.7、蓮野IC、R.345、荒川胎内IC、日本海東北自動車道、朝日まほろばIC、R.7、あつみ温泉IC、日本海東北自動車道、山形自動車道、酒田IC、R.7、鳥海ブルーライン 経由)=18:00 大平駐車場  (車中泊)
7月14日(土) 6:20 大平駐車場=(鳥海ブルーライン 経由)=6:30 鉾立〜6:45 発―7:55 賽ノ河原―8:26 御浜小屋―9:43 笙ヶ岳―11:05 御浜小屋―12:31 鉾立〜15:30 発=(鳥海ブルーライン、R.7、酒田みなとIC、山形自動車道、荘内あさひIC、R.112、志津、R.112 経由)=18:00 姥沢  (車中泊)
7月15日(日) 4:20 姥沢―5:30 リフト分岐三叉路―6:00 牛首―7:00 月山〜7:30 発―8:15 牛首〜8:40 発―9:30 姥ヶ岳―9:48 リフト分岐―10:05 リフト分岐三叉路〜10:30 発―11:38 姥沢=(R.112、R.345、R.7、鶴岡西IC、日本海東北自動車道、あつみ温泉IC、R.7、朝日まほろばIC、荒川胎内IC、R.345、蓮野IC、R.7 経由)=16:10 新潟

 笙ヶ岳は、鳥海山の南西に延びる尾根の長坂道の上部に位置する山である。鳥海山の代表的登山ルートの鉾立から登り、御浜から尾根沿いに進むと、比較的容易に登ることができる。

 月山は、羽黒山、湯殿山と合わせて、出羽三山と呼ばれ、古くからの信仰の山である。なだらかな山頂を持ち、日本海近くの豪雪地にあることから、夏遅くまで残雪を抱き、高山植物が豊富なことから人気の高い山になっている。

 海の日がらみの三連休は、鳥海山と月山に登ることにした。東北方面は、この連休中に梅雨明けするようであったが、土曜日は曇りというのが気がかりであった。
 鳥海山までは、細切れの高速道であるが、通じていないところは街中ではなく車の流れの良いところなので、快適に走ることができる。無料区間があって、高速代金を節約できるのもありがたい。車のナビに従って走っていると、酒田で下りるような指示があって酒田の街中を抜けるのに少し時間がかかった。ここは酒田みなとICで下りるべきであった。
 鳥海ブルーラインを上がり始めると、霧の中のドライブになった。登山口の鉾立の駐車場は混み合うため、夜は大平の駐車場で過ごした。ここはトイレもあって、夜を過ごしやすい。鳥海山は時間がかかるために4時に起きたが、濃霧で駐車場の反対側の木立も見えない状態であった。霧が薄くなるのを待ち、ようやく6時過ぎになって、車を動かすことができた。鉾立駐車場は、かなりの台数が停めることができるが、半分ほどが埋まっていた。霧のために歩きだすのを躊躇している登山者もいた。歩きだす準備をしていると、霧が流れる中、御浜小屋あたりの稜線が見え始めた。湿った霧が流れているため、雨具の上下を着込んだ。
 歩きだしの時間が遅くなったことで、鳥海山の山頂ではなく、笙ヶ岳を目指すことにした。笙ヶ岳は、2010年5月30日に登っているが、この時はほとんどが残雪歩きで、登山道歩きは行っていない。この時期の花を確かめたかった。
 歩き始めの展望台までは、観光客用の石畳になっており、その先も石が敷き詰められて歩きやすくなっていた。この登山道ならば、霧の中でも問題なく歩くことができると、歩きだしを遅くしたのを少々後悔した。霧も消えて、鳥海山の山頂も見えるようになった。青空が広がると同時に暑くなって、雨具は脱いでTシャツだけになった。
 時おり傾斜を増す尾根道を登っていき、賽ノ河原に到着すると、豊富な残雪が現れた。残雪を登って大平からの登山道に出ることも考えられるが、夏道を忠実に辿って御浜小屋を目指すことにした。残雪の縁を階段状のステップを辿って数か所登ると、稜線への最後の登りになった。左にトラバース気味に登っていくと、御浜小屋に到着した。草原の向こうに稲倉岳が全容を見せていたが、残雪期限定の山とあって、気にしている登山者はいないようであった。
 尾根の南側に進むと、縁が残雪に覆われた鳥海湖の眺めが広がった。鳥海山の山頂とは逆方向の、南西へ続く尾根に進むと、鳥海湖と鳥海山の山頂の眺めが広がった。鳥海山の山頂が見えたのはこの時だけで、笙ヶ岳から戻ってきた時には雲に隠されていた。
 最初のピークは、山頂付近がガレ場になっており、直進して登山道を探しながら左右に移動したが見つからなかった。鞍部の先には登山道が見えているので、不思議であった。戻って鳥海湖を見下ろす巻き道に進むと、これが正解であった。この道を鳥海湖に下るものと思ったのが間違いであった。ピークを巻きながら下っていくと、尾根一面にニッコウキスゲの花が広がるようになった。扇子森付近にもニッコウキスゲのお花畑が広がっているが、ここの花園は密度が高く見事であった。
 ニッコウキスゲの向こうには、残雪を纏ったピークが続き、霧が流れていた。鞍部で大平への登山道を分けると、小ピークへの登りになる。笙ヶ岳に至る道は小ピークが連続しており、意外に体力を消耗した。花も多いため、一眼レフを首から下げて歩いたのも、余計に体力を使ったようである。
 三峰を越し、二峰と呼ばれる小ピークの先は、登り返しも僅かで笙ヶ岳に到着した。下りに掛かるところで右に分かれる登山道に進むと、ガレ場の中に三角点が頭を出した笙ヶ岳の山頂に到着した。山頂標識は無いので、注意が必要である。
 花の写真を撮りながら来た道を引き返した。笙ヶ岳は、あまり知られていないピークであるが、この日は10名ほどの登山者とすれ違った。笙ヶ岳は、鳥海山の山頂を目指さなくとも楽しめるピークであった。
 御浜小屋から鉾立へ下る途中、日差しがきつく、歩くのも辛くなってきた。昼になって気温が上がってしまったようである。
 下界は猛暑になっているようなので、大平の駐車場で時間をつぶし、午後も遅くなってから移動を開始した。鳥海山から月山への移動は高速道が利用でき、酒田や鶴岡の街中を通らずに通過できるので楽になった。ただ、終点の湯殿山ICで下りるとコンビニが無いので、手前の荘内あさひICで下りた。
 当初の予定では、自然博物館から歩こうかと思っていたが、猛暑になる昼前に登山を終えたいと思い、いつものコースであるが、姥沢から歩きだすことにした。
 早朝に姥沢を出発した。今は撤去されて無くなっている姥沢小屋跡から登山道に進んだ。尾根の末端部を横断して右手に沢を見下ろすトラバース道に入ると、黄金清水が現れる。歩き始めで清水を飲む必要は無いが、下山の場合には、この付近に数か所ある清水がありがたく思われる。
 登山道のほとんどに木道が整備されていて歩きやすいので、リフトの開始を待つよりは、このコースを歩いた方が良い。チングルマなどの花が見られる草原が広がるようになると、リフト駅からの登山道が合わさる三叉路に出る。
 ここから稜線上の牛首までは、雪渓の登りが現れた。早朝とあって氷状になっており、滑りやすくなっていた。雪渓が急な所があり、設置してあったロープの助けを借りないと登れない所があった。時間が遅くなって雪が柔らかくなればもう少し楽に登れるはずではあるが、この時はアイゼンを持ってこなかったことを後悔することになった。ただ、このコースは、リフト経由の一般登山者が登るコースでもあるので、運行開始前にはステップが切られるなどの整備が加えられるように思う。
 牛首に出てひと息ついて、次は岩場の急坂になる。登山者はまだいないので、マイペースで登ることができた。登るにつれて、背後に残雪豊富な姥ヶ岳に至る稜線の眺めが広がった。その向こうには朝日連峰や蔵王連峰の眺めが広がっていた。
 月山山頂の台地に出ると、登山者にも多く出会うようになった。山頂泊の登山者も多かったようである。三角点まで進んで山頂到着とした。北には鳥海山が山頂を突き上げる姿を見せていた。先日とは違って、絶好の登山日和になっていた。山頂部のお花畑のクロユリは終わっていたが、ヒナウスユキソウはまだ見られ、霧による水玉を載せた姿を見せていた。
 下りにかかると、登山者とも多くすれ違うようになった。リフトの山頂駅で流すアナウンスの音も聞こえてきた。牛首まで下ったところで、雪渓を登ってくる登山者を見下ろしながら、朝食をとった。牛首から姥ヶ岳に向かう登山道に進むと、雪渓がようやく消えて跡にチングルマやヒナザクラが咲いており、写真撮影のために足が停まった。
 金姥からの登り返しに入ると、続々と登山者が下ってくるのにすれ違うようになった。木道が二列に渡って敷かれているにもかかわらず、こちらが登ってくる木道をそのまま進んでくる者が多いのには困った。登山道は右側それとも左側通行かという議論はあるが、尾瀬のように木道は右側通行と表示しておいて欲しい。なお、右側の木道を登っていったが、急斜面で横木も外れていて下るのは危険なところが一か所あった。
 山頂手間の台地に出ると、ニッコウキスゲのお花畑が広がっていた。この日の月山では一番のニッコウキスゲのお花畑であった。姥ヶ岳の山頂部は木道が敷かれており、大勢の登山者が休んでいた。姥ヶ岳だけを目的とする登山者も多いようであった。
 姥ヶ岳からの下りは木道や階段が整備されているが、途中で残雪の下りが現れた。ステップが造られていたが、登りの登山者の列が続いているので、脇の斜面を慎重に下ることになった。登山者の中にはアイゼンを付けて登っている者もいた。脇の雪渓では、さほどの広さも無いのにスキーの講習が行われていた。リフト山頂駅分岐から緩やかに下っていって牛首三叉路に戻ると、周辺の雪渓ではポールを立ててスキーが行われていた。
 姥沢への下りは、気温が上がって、登りよりも辛い歩きになった。黄金清水を飲んで、冷たい水に生き返った思いをした。
 駐車場に戻ると駐車場に入りきれない車が長い路上駐車の列を作っていた。月山を下山したのは昼で、翌日に山に登るために夕方まで過ごすのは難しい猛暑になっていた。三日目の山は諦めて家に戻ることにした。

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